ご挨拶

MDGからSDGへ

理事長 鈴木りえこ

2004年4月、東大法学部教授だった夫・北岡伸一が国連次席大使に任命され、私も当時勤めていた電通(電通総研)を退職して、夫と共にニューヨークへ向かいました。

その頃、世界の貧困削減を目指した「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」が動き始めていました。その中で、コフィー・アナン国連事務総長(当時)のMDGs担当特別顧問だったジェフリー・サックス教授が、MDGs 達成への一つのアプローチとして(後の)「ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトー(MVP)」を打ち出し、これを日本政府が支援することになったのです。

貧困削減は、国際社会の重要課題の一つであり、世界的なスターたちが先進諸国に対して、協力を呼びかけていました。2005年の春には、セネガルのダカールにて、ユッスー・ンドール氏が中心となってアフリカ中のスターを集め「ロールバック・マラリア」というコンサートが行われました。私も、まずは自分で現地を見なければと思い、ニューヨークから一人で出かけ、このイベントに参加しました。アフリカへの旅は生まれて初めてのことでした。

その後、夫やサックス教授とともに、アフリカの経済発展を妨げている大きな要因の一つであるマラリアを予防する蚊帳の普及に取り組みました。2006年秋に帰国した際、世界の貧困削減のために活動を続けようと決意し、2008年に夫とともにSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)を設立しました。

SPJは、サハラ砂漠以南の貧しい村の農民の自立を目指したMVPを支援するとともに、小学校の建設や女児の中・高校就学支援、点滴灌漑、電力調査事業等、様々な活動を行ってきました。最近ではウガンダ北部の難民居住区にて南スーダン難民の子どものメンタルヘルスケアを実施しました。私は2005年以降、毎年2、3回アフリカを視察し13か国を訪れ、とりわけ10カ国12村のミレニアム・ビレッジは何度も訪問しました。また、東大生が中心となり自発的に設立したSPJユースの会は、毎年アフリカに研修に出かけ、今では様々な大学の学生が集まってアフリカの研究を続けています。

3・11以降は国内外での自然災害支援にも着手しました。フィリピンでのハイエン台風の際にはレイテ島で小学校の校舎を建設し、マラウイの大洪水時には食糧等を配布しました。
3・11の2年後、2013年3月11日には、皆様からいただくご寄付が税制控除の対象となる認定NPO法人となり、5年後の2018年には更新することができました。

国連では、2015年9月、MDGsにかわる新たな目標として、「持続可能な開発目標(SDGs)」を定めました。これに対応し、SPJは、2018年4月に設立満10周年を迎えたことを機に、名称を「SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)」に変更することとしました。

これからSPJは、SDGsの「誰も取り残さない」をモットーに、これまでのアフリカ訪問の経験を基に、最も必要とされているグローバルヘルスの分野に力を入れ、最も取り残されている難民の女性や子供たち、最も貧しい地域の人々に寄り添い、微力ながら支援活動を続けていきたいと願っています。