【OVOPショップの改装】

今月は、6月に実施したOVOPショップの改装についてご紹介します。

まず初めに「OVOP」って何?という人のために、簡単にOVOPについてご説明します。

私たちは現在、5つの農業組合に対してバオバブを使った農産品ビジネスの促進を支援していますが、その全ての組合はOVOPプロジェクト(One Village One Product Programme:一村一品プロジェクト)によって作られた約100の組合の中から選ばれています。OVOPプロジェクトとは、日本の大分県が発祥の「一村一品運動」をモデルとした農村開発のプロジェクトで、マラウイ政府の産業貿易観光省が2003年から実施しており、JICAも2017年まで技術支援をしていました。

具体的には、各農村地域などで取れる特産物を活かして、市域振興につなげようという事業です。例えば、バナナがたくさん取れる地域において、ただバナナを販売していくだけでなく、売りさばけずに傷んだり、捨てられてしまったりするバナナをバナナワインに加工して販売するなど、商品加工、高付加価値化という側面が強いのも特徴です。

SPJのバオバブプロジェクトは、そのようなOVOPプロジェクトで作られた基盤を活かして、産業貿易観光省と連携して実施しているのですが、私たちが支援している組合の1つにはMaluso Cooperative Unionがあります。この組合は、先ほどお伝えしたOVOPプロジェクトで作られた約100の農業組合の上位組織で、マラウイ国内におけるOVOP商品の市場開拓や、都市部にある直営店舗(これがOVOPショップ)の運営、輸出対応などを担当しています。

今回は、Maluso Cooperative Unionが運営するOVOPショップ(日本でいう各県の地域産品を販売するアンテナショップを想像して頂ければ分かりやすいかと思います)の改装を実施しました。 まず、これまでのOVOPショップを見てみると、最初はJICA(日本人)の支援も入っていたこともあり、店内には広告ポスターが掲示され、パンフレットスタントが設置されているなど、OVOP商品のアンテナショップとしての役割を果たしていたことがわかります。

開店当時のOVOPショップ(2012年頃の写真)

続いて、改装前の状態がこちらです。実は、このショップがテナントに入っている建物が昨年にリノベーションを実施し、半年程お店を開け渡す必要があったため、その間はその建物前の敷地で毎日、ブース出展の様な形でショップを運営していました。しかし、実店舗に戻った後も、以下の写真を見ると分かる様に、広告ポスターなどがほとんどなくなり、せっかく商品を置く棚や机などがあるのに、それがそのまま放置されているといった、ただ商品が雑然と並べられているだけの、とても閑散とした雰囲気になっていました。


リノベーション前のショップの内観

そこで、今回は商品をただ並べるだけでなく、入店したお客さんに商品の魅力を見せることができる様に店内のレイアウトを改善しようとショップの改装を手伝いました。実際に改装した店舗の様子をご覧いただきましょう!!

①店舗入り口


まず、「OVOPショップ」という名前だけでは、実際に何を売っているお店なのかが分かりにくかったため、カウンターを入り口付近に配置し、外からも見える入り口には、販売している商品がパッと分かる様に、サンプル棚を持ってきました。これで、この店はハチミツやお米、ハイビスカスティーなど食料品をメインで販売していることが分かります。また、店舗の外にもスタンドを設置し、主な商品ラインナップを掲示する様にしました。

②商品棚のデコレーション

続いて、ショップの売れ筋商品であるバオバブオイルやバオバブパウダー、モリンガ石鹸などを1つにまとめて、Malusoの倉庫に眠っていた、アフリカのカラフルな布(チテンジ)や籠細工の入れ物などを活用して、魅せるディスプレイを意識したレイアウトに改善しました。また、商品の傍には、商品紹介のポスターなども設置し、商品の効果や使い方を簡単に説明できる様になりました。

また、それぞれの商品ごとに値段と商品名を記載した商品プレートも作成し、一目で値段が分かる様にしました。

③商品の強みを押し出す商品広報媒体

OVOPショップの人気商品の一つに全国各地の農業組合から集められるハチミツがあるのですが、せっかく8種類もの豊富なバラエティがそろっているのに、ただ一色単に並べて販売しているだけでした。そこで、現在取り扱っている8種類のハチミツが、どの地域で取れたもので、どんな木々や花の蜜から採取されたものなのか、味や香りがどう違うのかなどの特徴をまとめた広報ポスターを作成しました。お客さんに選ぶ楽しさを与えることで、味比べや、自分のお気に入りハチミツ探しなどの楽しみも増え、全国各地から集まったバラエティ豊富なハチミツの魅力を引き出すことができます。

④店舗全体

最後に全体として、店の運営に必要ない、無駄なものを排除し、OVOPプロジェクトや商品一覧などの広報ポスターを店内に掲示することで、店内への動線をスムーズにし、すっきりと商品を見せられるように改善しました。

この改装が、実際に売り上げの増加にどれほど影響を与えるのかが分かるのは、まだこれからですが、とりあえず、常連客の皆さんからは「店内がオシャレになった。」「他のハチミツも試してみたくなった。」など前向きなコメントが多く寄せられているとのことです。今回の改装で全て完了ではなく、今後もさらに良いアイディアを取り入れて行き、商品の売れ行きや店舗を訪問する客足の増加を目指して行きたいと思います。

【店舗情報】

OVOP SHOP
場所:Area3、県庁オフィスの道を挟んで向かい側
営業時間:平日(8:30~17:00)
     土曜日(8:30~13:00)
     日曜日・祝日(休業日)

作成日:2019年07月23日