第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に参加しました!!(サイドイベント編)

前回の記事に引き続き、TICAD7の様子をお知らせします。

今回SPJでは8/28に「『顧みられない熱帯病(NTDs)』がないアフリカへー日本とアフリカのパートナーシップ」(主催:JAG ntd, GHIT Fund )をJICA, DNDi, Uniting to Combat NTDs, JPMA(製薬協)とともに共催しました。今回はその内容を報告します! 本サイドイベントは定員が200名のところ当日は満席となり、受付前でも人が並ぶ盛況ぶりでした。このことからもNTDsに対する注目度が非常に高いことが伺えます。

会場の様子

最初にJAGntdの運営委員長である一盛和世氏から開会の挨拶が述べられました。本サイドイベントの目的はこれまでの日本のNTDs対策を認識し、アフリカの現状の把握、そしてこれからのNTDsに対する効果的な対策について方向性を一致させることだと表明されました。

続いて、衆議院議員の塩崎恭久先生(「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」会長)から、エーザイによるリンパ系フィラリア症治療薬の支援、アステラス製薬による住血吸虫症に対する小児用製剤の開発、2015年にノーベル医学・生理学賞を受賞された大村智先生のオンコセルカ症に有効な「イベルメクチン」の開発など日本のこれまでのNTDs対策についての説明、感染症対策におけるDNDiやESPENなどのパートナーシップの紹介、そして今後さらにNTD制圧を推し進めていくことでUHCの達成に貢献し、アフリカの経済成長にも寄与することができるという力強い提唱がなされました。

WHO)NTDディレクターのMwele Malecela 氏からは、WHOとしてNTDsを制圧するための戦略と具体的なロードマップが示され、その達成にはこれまで以上に日本からのコミットメントが不可欠であるというメッセージが打ち出されました。

また、国際協力機構(JICA)の北岡伸一理事長から、日本の外交戦略の柱である人間の安全保障という観念からもNTDsの制圧に取り組むことは不可欠であるという見解が述べられました。

続いて日本がこれまで講じてきたNTD対策への貢献と今後の取組みについて、学術・産業・政府開発援助という観点からそれぞれ平山謙二氏(長崎大学熱帯医学研究所教授)、内藤晴夫氏(エーザイ株式会社代表執行役CEO)、戸田隆夫氏(国際協力機構(JICA)上級審議役)が総括されました。

平山氏からは、日本が世界に先駆けて選択的集団治療や衛生環境の向上に取り組み、住血吸虫症やリンパ系フィラリア症を根絶したこと、またその経験が世界的NTD制圧プログラム 策定へ活かされていることが述べられました。

内藤氏からは、エーザイによるリンパ系フィラリア症制圧プログラムへの貢献と、その取り組みはリンパ系フィラリア症の制圧がなされるまで責任をもって続けられることが明言されました。また、NTDsへの新薬研究開発にも積極的に取り組んでいることを発表されました。

戸田氏からは、NTDsを制圧するには、長期的にかかわっていくことが必要であり、これまで日本政府が力を入れてきた人材育成を含め人中心のアプローチが重要性を増してくることが強調されました。

DNDiアフリカでディレクターを務めるMonique Wasunna氏からは、実際にアフリカにおいて制圧計画がどのように進んでいるかの報告がなされました。近年、トーゴとエチオピアが、アフリカ大陸では初めてとなるリンパ系フィラリア症制圧に成功しており、ガーナ​​はサハラ以南のアフリカの国として初めてトラコーマを撲滅した国として紹介されました。これらの国に限らず、他の国でもNTDsの治療はより多くの人々の手に届くようになっており、感染リスクが低下していると述べられました。また、近年、制圧プログラムに不可欠なリーシュマニア症、アフリカ睡眠病の診断薬や治療薬の開発が進んでおり、また、マイセトーマ治療薬の開発も大きく前進しているということが説明されました。

最後に、NTD制圧に向けて、今後、日本や国際社会がどうかかわっていくのか、外務省国際協力局国際保健政策室長の鷲見学氏とビル&メリンダ・ゲイツ財団国際開発プログラム総裁のChristopher Elias氏が登壇しました。

鷲見氏は、NTD制圧に向けた日本政府のコミットメントを約束し、日本の医療技術・研究開発力などの強みを活かせる仕組みとして、GHIT Fundが極めて重要な役割を果たせるという展望を述べました。Elias氏はここまでの成果は、当事者であるアフリカ諸国の努力と、それを支援する日米英諸国、そして、製薬企業など民間セクターや国際社会などの積極的な努力によりなしえたものであるとの見解を述べられました。

Elias氏はここまでの成果は、当事者であるアフリカ諸国の努力と、それを支援する日米英諸国、そして、製薬企業など民間セクターや国際社会などの積極的な努力によりなしえたものであるとの見解を述べられました。

閉会挨拶としてGHIT Fund CEO兼専務理事の大浦佳世理氏が総括されました。 NTDs撲滅に向けた3つのキーワード、パートナーシップ、コミュニティ、イノベーションが全ての話の中で出てきており、それぞれの団体が一体となって取り組む必要があるということが改めて協調されました。

左からElias氏、塩崎先生、北岡氏
女性の登壇者達との写真撮影。左から二番目:共催団体であるUniting to Combat NTDsのDirectorであるThoko Elphick-Pooley氏、中央:SPJ理事長・鈴木りえこ

今回のサイドイベントは改めて日本のこれまでのNTDs対策における貢献とアフリカにおける現状を認識し、未来に向けて日本とアフリカがどのようなアクションを取るべきか深く議論されていきました。これからもSPJはNTDsの撲滅の為にゲイツ財団など各関係団体と協働し、この問題に取り組んでいきたいと思います。

作成日:2019年09月19日