ミレニアム・ヴィレッジからレポートが届きました ③

Sauri-101613-296-680x382すぐわかる、マラリア検査

Kyu Leeからの報告

昨年の雨季、ジャクトン・オルコ氏は一日300組を超える母子にマラリアの検査をしたことを思い出した。「こんなに忙しいのは生まれて初めてだったよ。」と彼は話しました。しかし、ケニア西部に位置するサウリ村(ミレニアム・ビレッジ)では、マラリア病の感染率は、これまで年々急激に減少してきました。医師の絶え間のない取り組みがその理由の一つだと彼は考えています。

オルコ氏は2005年からバル・サウリ医療施設で研究員として勤めています。当時彼は物置小屋のような部屋で顕微鏡に目を釘づけにして、血液のスライドを一日中観察していました。同氏によると、ドアの周りには日干しされているスライドが散らばっているので、それらを踏まないようにするのが大変だったそうです。オルコ氏は一日に30枚、あるいは40枚のスライドを検査することもありました。Sauri-101613-275

アーテミシニン併用治療法[ACTs]を処方するために必要な第一歩は、血液中に熱帯熱マラリア原虫、つまりマラリア寄生虫がいるかどうかを検査することです。クロロキンのような抗マラリア治療薬は何年も前に、効果がなくなってしまいました。サハラ砂漠以南の地域で治療薬の過剰投与により、体内のマラリア寄生虫が耐性をもってしまったのがその原因です。

2011年、迅速診断検査[RDTs]が導入され、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下、MVP)は、同検査をいち早く採用し、MVPで運営する多くの病院で利用されました。針で指先をちくりと刺し、板ガムのような小さいプラスチック装置にわずか一滴の血をたらすだけで、子供がマラリアに感染しているかどうかが、ほんの数分でわかるのです。そして、検査の結果が陽性の場合は、一回分の抗マラリア薬が患者に手渡されます。

ここサウリ村で、マラリア感染率が人口の約半分から10%未満まで減少したとオロコ氏は証言します。最近では、MVPが新しく建てた大きな研究室で、一番忙しい6月と7月でも、一日平均100件近くの検査を行うことが可能になりました。

現在、迅速診断検査[RDTs]は、地域の医療従事者には欠かすことのできないものになりました。それは、必要に応じて、家庭でも短時間で検査及び薬の処方ができるからです。年々、目にする(状況の)変化がオルコ氏の原動力になっています。そして同氏は、マラリアが過去のものとなり、この検査が必要でなくなる日が訪れることを待ち望んでいます。

 [翻訳ボランティア] 学校法人山口学園 ECC国際外語専門学校 国際ビジネス学科

総合英語コース<翻訳専攻>1年 上田 湧也、鹿谷 卓史、李 春姫