2022年6月23日にルワンダの首都キガリにおいて『マラリアと顧みられない熱帯病(NTDs)に関するキガリサミット』が『第26回イギリス連邦首脳会議(CHOGM)』と時期を合わせ開催されました。
このサミットで『NTDsに関するキガリ宣言』が採択され、グローバルな官民学パートナーシップの方々が共同宣言に署名するとともに、2030年までに国連のSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の中の一つである『NTDs制圧ターゲット』及び『WHOのNTDsロードマップ(2021~2030)』を達成することが再確認されました。(2030年までにマラリアを撲滅するというコミットメントも再確認されました。)
日本からは、下記官民学パートナーシップがキガリ宣言に署名されました。(注:SPJが把握する限り)
・外務省 三宅伸吾外務大臣政務官
・厚生労働省 佐藤英道副大臣
・エーザイ(株) CEO 内藤春夫様
・栄研化学(株) 代表執行役社長 納富継宣様
・長崎大学学長 河野茂様
・SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)鈴木りえこ理事長
ハイレベルセッションでは、ボツワナ、ガーナ、ナイジェリア、ルワンダ、UAE,タンザニア政府首脳とともにWHOテドロス事務局長は、世界的な保健安全保障の基盤として『primary health care』強化の重要性を強調しました。また、同事務局長は若者の関与が次世代の医療従事者とグローバルリーダー育成にとって鍵であるとも述べました。
さらに、新しいパートナーやドナーの発掘、国際的な資金提供の増加(Global Fundの増資)が不可欠であるとの認識を示しました。
そして、マラリアとNTDsとの闘いにおいて革新的な手段や戦略が必要であることと、新たな生物学的脅威に先んじたイノベーションが必要であることも強調されました。薬品の開発製造もさることながら、アクセス向上についても議論が行われました。
サミットではグローバル製薬企業のトップが下記のようにコミットメントを行っています。
・GSKはアルベンダゾール供給を再確認、さらに今後10年で研究開発に10億ドル投資することをコミット
・ノバルティスがいくつかのNTDsと闘う研究開発に1億ドル投資(マラリア医薬品も含め2.5億ドル)
・ファイザーがInternational Trachoma Initiativeへの10億ドルの投資
・Wellcome TrustはNTDsのR&Dに8000万ドル投資
・エーザイは20億錠のジエチルカルバマジンを29ヵ国に供給
また、昨今の新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより、NTDプログラムが深刻な影響を受けました。2020年には医療サービスの中断により、NTDsの治療を受けている人数が1/3程度減少したことも報告されました。WHOはNTDsロードマップ(2021~2030)の目標もリスクに晒されていると危惧しています。
最後にキガリサミットにおいて『NTDs制圧にコミットするグローバルリーダー100人(Champion)』が選任され、日本からは安倍晋三元総理(事務局注:当日はご存命)と内藤春夫氏(エーザイCEO)が同Championに選任されました。(注:SPJが把握する限り)
また、お元気だった安倍元総理からはキガリサミットに対してビデオメッセージを頂戴いたしました。こちらにつきましては、SPJの別の記事をご参照ください。
今回のキガリサミット開催の中心的な役割を果たしたルワンダ政府、RBM partnership to End Malaria、Uniting to Combat NTDsによる開催後の共同声明は、以下からご覧いただけます。
⇒ https://bit.ly/3dR5zwW
【関係先リンク】
※United to Combat NTDsの報告サイト
⇒ https://bit.ly/3bXUJrl
※エーザイ様のサイト
⇒ https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202250.html
※安倍元総理へのSPJからの追悼記事
⇒ http://mpjapan.sakura.ne.jp/spj2023/?p=12778