マラウィのビレッジ、Gumuliraについて

ミレニアム・プロミスより、マラウィの村Gumuliraの現状について、最新のレポートが入りました。
2008年夏より、村人たち45人が集まってTikondane(互いに愛し合おう)というコミュニティを立ち上げました。彼らはミレニアム・ビレッジ・プロジェクトと世界銀行の助成を受け、「サック栽培」による小規模な自家菜園を開始、最近は余剰野菜を市場で売り、収入を得るまでに成長しています。
malawi_mv_map[1].jpgslideshow-link-thumb[1].jpg
以下をクリックするとスライドショーを見ることができます。


* * * * *


栄養摂取の改善 – 小規模菜園を一つずつ着実に増やして
食物の選択肢が限られ絶えず栄養不良の脅威にさらされているGumulira(マラウィ)で、小規模な自家菜園が人々の健康と栄養摂取の改善、さらに追加収入をもたらしている。 (ここをクリックするとスライドショーが始まります。)

ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下、MVP)が実施される以前は、女性たちは乾季の間家族に栄養のある食事を提供するのに苦慮していた。食事は貯蔵した穀類や根菜にたよるしかなく、健康維持に必要なビタミンやミネラルの種類は偏っていた。
しかし現在は小規模な自家菜園で多様な野菜が収穫でき、乾季の間もよりカラフルで、おいしい、栄養もある食事がとれるようになった。
根付き始めた自家菜園
2008年8月、女性30人と男性15人のグループがコミュニティをベースにした組織、いわゆるTikondane(『互いに愛し合おう』)、を立ち上げた。MVPサイトのチームの支援を受けて、この組織は世銀小規模助成プログラム(Small Grants Program)にサック栽培(sac gardening: 鉢植え栽培と類似した、ラフィア袋を使った栽培方法)プロジェクトの企画を提案することができた。
2,700米ドルの補助金を得て、130人の女性と少女たちに小規模な野菜生産を通して家庭の食料の安全と栄養の多様化するための手段が与えられた。
それ以来、一部の女性たちがラフィア袋を使って育てた野菜をより規模の大きな菜園に植え替え、さらに家畜から収穫を守るために柵を作るという試みを始めた。菜園で採れた余剰野菜はすべて市場で売られ、家計の追加収入源とされた。
極めて少ないコストで、サック栽培は自生植物を求めて遠くまで足を運ぶ手間から女性や少女たちを開放した。プロジェクトに参加している女性たちはプロジェクトの継続に意欲的であり、自家菜園を使った野菜の栽培は持続可能な試みとして、今後もGumuliraの栄養摂取と所得の改善に貢献するものと期待されている。
Gumuliraについて
Gumuliraは人口5,000人ほどの独立したミレニアム・ビレッジで、住人の25パーセントは農民、首都Lilongweの西方1時間ほどのモザンビークとザンビアとの国境付近に位置している。Gumuliraプロジェクトは少人数のスタッフで運営されており、そのため近くのMwandama(マラウィ)のMVPから技術指導を受けている。
マラウィはアフリカ南東部の亜熱帯の国で、高地や谷、さらに国土の20%を占めるマラウィ湖を擁している。人口約1,300万人がペンシルバニア州程の国土に住み、またHIV/AIDS等の疾病の蔓延により平均寿命はわずか40歳である。首都はLilongwe。Bingu Wa Mutharika大統領の下、複数政党制民主主義体制をとっている。
開発課題の克服
MVPが始まる以前は、Gumuliraの喫緊の開発課題は不十分な医療サービス、農業に必要な種子、肥料および殺虫剤へのアクセスの欠如、乏しい作物生産および水資源の不足であった。しかしMVPの開始以来Gumuliraは大きな進展を遂げており、貧困の罠から抜け出すための機運が高まりつつある。
2006年10月にMVPが開始されて以来、コミュニティではミレニアム・プロミスの重点分野である農業、教育、医療、インフラおよびビジネス開発で以下のような変革的な成果が得られた。
• 肥料補助金プログラムによって農民たちはより丈夫で多様な作物生産が可能になり、栄養摂取が改善した。
・2008年4月のメイズ(トウモロコシ)の主要収穫期には余剰生産物が確保でき、農民たちは大きな成功を収めた学校給食プログラムへの拠出の形で補助金の一部を返済することができた。
・2008年に始まった山羊の『継承』(”pass-along”)プログラムでは50人に女性農民に若い山羊が与えられた。山羊の子は近隣の農民たちに引き継がれる。
・農業の生産性をさらに上げるための乾季の灌漑プロジェクトが進行中である。
・建設プロジェクトによって新たに教室、学校給食のためのキッチン、衛生状態改善のためのトイレ、およびより安全な水へのアクセスを可能にする給水所などが建設された。
・出張診療所ではマラリアの治療、ワクチン接種、妊婦管理相談や自発的出産コントロールが行われている。
・収入を得る新たな機会を創りコミュニティの自給自足を促すことを目的に、キノコ栽培、カッサバ製パン所などの新規ビジネス開発イニシアティブが進行中である。
◎スライドの解説
・新しいサック菜園の隣でポーズをとる一家。菜園では黄麻布の大袋を使って栄養豊富な野菜が乾季でも栽培されている。
・自家菜園のサックで栽培された緑豊かに成長した野菜。
・サック栽培の野菜の一部は貯蔵して後で消費するために天日干しにされている。
・Tikondane(『互いに愛し合おう』)のメンバーたち。Tikondaneはサック菜園プロジェクトの立ち上げを担うコミュニティーをベースとした組織。
・Tikondane(『互いに愛し合おう』)のメンバーたち。Tikondaneはサック菜園プロジェクトの立ち上げを担うコミュニティーをベースとした組織。
・Gumuliraの中心的なショッピング・センター
・ビレッジのリーダーと話すミレニアム・プロミスのCEOのJohn McArthur氏。(2009年のGumulira訪問時)
・Gumuliraの家。バナナの木は一般に貧困線で家々を区分するために植えられている。
・Gumuliraの農家の離れ家
・研修所に訓練生を運ぶGumuliraのコミュニティ所有のトラック
・新しく小学校が建てられる以前は、スペース不足のために授業は一部屋外で行われていた。
・新校舎建設後:Mwadzamila小学校では全生徒を収容できる十分なスペースが確保されている。
・ミレニアム・プロミスのスタッフと支援者たちを歓迎するGumuliraの住民たち(2009年のGumulira訪問時)

(翻訳:加藤尚美)