セネガルの伊藤です。Potouにあるミレニアム・ビレッジ(MV)の現場をお伝えいたします。
○Young Girls’ Networkの現金収入向上活動
ポトゥーは全体で約3万人の人口を擁するセネガルのミレニアムビレッジです。ここでは村の女性たちが主体となって協同組合をつくり、①石鹸づくり、②衣装縫製請け負い、③改良かまどづくりを行い、それらの販売活動を通して現金収入向上に取り組んできました。しかし、活動の継続には越えなければいけないいくつかの課題もあるようです
①石鹸づくり
衛生を保つためにだれもが必要とする石鹸。需要も大きいので、作れば売れます。作業場所は村役場から借りていますが、いつでも場所を確保できるわけではないのがボトルネックになっています。倉庫には、石鹸づくりのための道具や材料が出番を待っていました。
②衣装縫製請け負い
セネガルでは民族衣装をテーラーでつくってもらったりしますが、この女性たちのグループも衣装の縫製を請け負っています。注文さえあれば利益を出し、さらに大きな活動にしていけます。付加価値を高め受注を増やしていくためにデザインやマーケティングを洗練していく段階にきているのかもしれません。
③改良かまどづくり・販売
三点式かまど(脚が3つだけなので熱が外に漏れる)よりも効率のよい写真のようなかまどをつくっています。これを使えば少ない薪木や木炭で調理ができ、燃料の節約や自然保護にもつながります。ただし製作に適した砂は少し離れた場所から運んでこなければなりません。材料輸送も活動継続のポイントです。
○活動の継続・現地化に向けて
このように活動のひとつひとつの局面では障害にぶつかることもあるでしょう。ただ注目したいのは、ミレニアムビレッジにはいまや協同組合という自分たちでお互いに助け合う仕組みがあるということです。MGDセンターのサステナビリティー担当者は、プロジェクトを継続していくためのいちばん大切なカギは現場の意見を聞くことだと言っていました。私も、現場の主体性こそが活動を継続する力の源泉であることを感じています。
農業分野でも5人から10人を1グループとする協同組合があり、自給自足農業の段階ではこの相互扶助型の組合がうまく働いてきたといいます。農作物の販売を目的とした商業的な農業に移行していくに伴って、拡大再生産の循環にのせることも考えられます。そのときにはマイクロクレジットの仕組みも役に立つでしょう。これもまた自助のひとつのかたちです。
また、サステナビリティー担当者は保健分野での健康保険組合の構想も聞かせてくれました。診療所での保健サービス費を受診者と組合と政府の負担で支えていこうとするものです。現地のコミュニティー全体で活動を維持していこうとするこの仕組みも継続可能な方法です。
ポトゥーのミレニアムビレッジがプロジェクトの継続に向けて、みんなの知恵と力を集めながら前進しているのを感じることができました。