2019年5月21日「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」の設立総会が開催されました。

顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)とは世界保健機関(WHO)が定める20の疾患の総称のことで、熱帯途上国地域の149の国々に暮らす中低所得者層を中心に約10億人もの人々が苦しんでいると報告されています。NTDsは貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となって蔓延し、これらの疾患にかかると、重度の身体障害が残る場合もあり、生涯にわたる身体的、精神的影響を及ぼし、経済成長の妨げにもなっています。そのため、適切な時期に適切な治療を受ければ治癒が可能なのにも関わらず、貧困のためにそれができず、病気のためにさらなる貧困に陥るという負のスパイラルが発生しています。

日本政府はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進することで国際社会での保健分野におけるリーダーシップを発揮してきました。人間一人ひとりの命、生活、尊厳を守るという「人間の安全保障」やUHCの実現のためには、NTDsの克服が欠かせません。

こうした機運の高まりをうけて、元厚生労働大臣の塩崎恭久自民党衆議院議員と秋野公造公明党参議院議員が呼びかけ人なり、2019年5月21日に「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」が設立されました。設立総会には、議員関係者、政府系機関、大学、企業、市民社会等から100名近い参加者があり、立ち見が出るほどの盛況ぶりとなりました。

同総会では、秋野公造参議院議員が呼びかけ人を代表してご挨拶をされたのち、司会進行役を務め、鷲見学 外務省国際保健政策室長からNTDsに関する簡単な概要説明がなされました。その後、国光あやの 自民党衆議院議員、小倉 將信自民党衆議院議員らから一言ずつご挨拶をいただきました。また、「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」の名称、規約の承認を受けたのち、最後は塩崎恭久衆議院議員より「NTDsを日本として前面に取り上げて、製薬企業やNGO、医療界などと連携しながら貢献する必要がある」と指摘され、NTDs対策の重要性を訴えました。

NTDsのアドボカシー活動を行っているSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)の鈴木りえこ理事長も、秋野参議院議員のご指名を受け、NGO側から、国会議員の皆さまが積極的にNTDs対策の推進を表明されたことに感謝の気持ちを述べさせていただきました。

国境がなくなりつつある国際社会では海外から感染症が国内に入り込む可能性も高まり、NTDsは私たちの生活にも無縁ではありません。

NTDs対策が今後の国際社会で重要課題になることを、この設立総会で改めて認識しました。