元厚生労働大臣の塩崎恭久衆議院議員(自民党)と秋野公造参議院議員(公明党)が呼びかけ人となり、今年5月に設立された「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」の第2回目会議が開催されました。議員関係者、政府系機関、大学、企業、市民社会等から約100名が参加し、前回に引き続いて盛会となりました。
同会議では、事務局長である秋野公造参議院議員が司会進行役を務め、会長の塩崎恭久衆議院議員の挨拶の後、鷲見学外務省国際保健政策室長からTICAD7についての報告がありました。報告では、NTDs関連のイベントがいくつか開催されたこと、また、首脳宣言である「横浜宣言2019」の中の「行動計画」において、NTDsに関する行動主体及び周知目標が示され、「TICAD7における日本の取り組み」の中の我が国支援の方向性においても、NTDsが記載されたこと等について説明がなされました。続いて、一盛和世長崎大学客員教授が、NTDsの概要、制圧に向けたWHOによるロードマップの状況、オンコセルカ症を例としたNTDs対策の現状について説明されました。
次に、佐原康之厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)からは、GHIT(グローバルヘルス技術振興基金)を通じた住血吸虫症及びマイセトーマといったNTDsの治療薬開発支援、WHOアフリカ地域事務局のNTDs制圧に向けた拡大特別プロジェクトであるESPEN※への支援とその必要性についての報告がありました。その後、参加された議員のなかから、自見はなこ参議院議員、国光あやの衆議院議員、古屋範子衆議院議員、逢沢一郎衆議院議員が、NTDs治療薬の開発の現状、ESPENへの支援等に関する活発な質疑やコメントをいただきました。
最後に事務局長の秋野公造参議院議員より「顧みられない熱帯病に係る対策の推進に関する決議」案の説明、そして議員連盟による決議がなされました。決議案で示された実施要請内容は、
1) アフリカにおいてNTD蔓延による健康被害が甚大であることを認識し、我が国としてNTDに対する支援を積極的に行っていくことを再確認すること、
2) GHITを通じた、NTD対策に必要な医薬品等の研究開発に引き続き積極的な支援を行っていくこと、
3) アフリカのNTD対策へ向け、医薬品の研究や開発のみではなく、医薬品の流通を促進する保健システムの強化に対しても積極的な支援を行っていくこと、
4)令和元年度補正予算が編成される場合には、TICAD7及び日本企業のアフリカ進出のために一刻の猶予も許さないことを踏まえ、ESPENに対して必要額の予算を確保し、その後も継続的な支援を行うこと、
の4つでした。
持続可能な開発目標(SDGs)では、ゴール3.3 にNTDsの流行を終わらせ、「顧みられない熱帯病に対する治療介入を必要としている人々の数(SDGs 3.3.5)」を減らすことが明記されています。SDGsの達成のための支援活動の1つとしてNTDsのアドボカシー活動を行っているSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)では、今回の会議によって、NTDsの問題と支援状況についての理解が促進され、議員連盟による決議により我が国による新たなNTDs対策への支援の道筋ができたことをしっかりと確認することができ、非常に心強く思っています。
*:ESPEN(Expanded Special Project for Elimination of Neglected Tropical Diseases)は、WHOアフリカ地域事務所(AFRO)による2016年から5年間のプロジェクト。5つのNTDs(オンコセルカ症、フィラリア症、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、トラコーマ)に対する医療サービスのアクセスを改善することで、制圧と排除を加速することを目的に、AFRO加盟国のNTDsプログラムに技術的支援及び資金調達の支援を提供するもの。