「Japan Up Close」にSPJ理事長・鈴木の投稿記事が掲載されました!

活動報告
【初めて訪問したセネガルの子供たちと(2005年)】

特定非営利活動法人SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)の鈴木りえこ理事長が投稿した記事が、「Japan Up Close」というサイトに掲載されました。

「Japan Up Close」は、国内外の各分野の専門家がさまざまな立場や視点から投稿し、国内外の方々に日本への理解を深めていただくための英語で公開されているプラットフォームです。(同サイト説明より)

投稿した記事は英文ではありますが、ご興味のある方はぜひご覧ください。

投稿記事⇒ https://japanupclose.web-japan.org/policy/p20230203_2.html      
Japan Up Closeについて:https://japanupclose.web-japan.org/about.html

参考⇒ 日本語原稿はこちら
全文は以下となります。

【SPJ設立の背景】
私が理事長を務めるSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、2008年に夫の北岡伸一(東京大学名誉教授、前国際協力機構‐JICA⁻理事長)と私が設立した東京都の認定NPO法人です(設立時の名称:ミレニアム・プロミス・ジャパン-MPJ‐ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)への移行に伴い、名称変更)。その設立の主旨は、ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学、当時国連事務総長特別顧問)らが設立したミレニアム・プロミス(MP)のグローバルアライアンスとして、微力ながら貧困削減を掲げたMDGs、2016年以降はSDGs達成へ向けて貢献することです。
2004年から2006年まで、政治任命にて国連日本政府代表部次席代表(特命全権大使)を務めていた北岡が、国連のミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(略称MVP―MPと国連開発計画(UNDP)らが連携)へ関わったことが、SPJ設立のきっかけでした。北岡は、サックス教授らが推進したこのプロジェクトに賛同し、日本政府に働きかけてプロジェクトのスケールアップ(2か国から10か国へ)に協力したのです。
MVPは、世界で最も貧しいサハラ砂漠以南のアフリカの僻地にミレニアム・ビレッジ(MV、10か国14カ村)を設定し、村人一人当たり年間120ドルの介入を行いました。そのコンセプトは、食料、教育、ジェンダ―平等、保健衛生、安全な水、インフラなど多角的な方面において包括的な支援を行い、村人たちが貧困のわなから抜け出しMDGsの期限(2015年)までに自立する、という非常に野心的なものでした。私は、サックス教授の「極度の貧困は私たちの世代になくすことができる」という言葉に心を動かされました。

【初めてのアフリカ訪問】
私は、2005年に初めてのアフリカ訪問として、ロール・バック・マラリア・コンサート“Africa Live”が開かれたセネガルの首都ダカールへ、ニューヨークから一人で訪れました。このイベントは、世界中のメディアで大きく取り上げられ、そこで、私はイベントの主要なスポンサー、住友化学の役員と知り合い、後日、彼をサックス教授とともにニューヨークの我が家(公邸)に招きました。その結果、MVに住友化学の蚊帳・オリセットが寄贈されることになり、マラリア対策として大きな成果を上げました。当時、サックス教授はアフリカの経済成長を妨げているのは、HIV/エイズとマラリアと主張され、世界中で講演する度に、オリセットがアフリカの発展に貢献していることを説いて回りました。

【ミレニアム・ビレッジの女児教育】
私は2015年までに、ほとんどのミレニアム・ビレッジを訪問しました。ウガンダのMV、ルヒーラ村を訪ねたとき、村では初めて、しかも数名の女児が小学校卒業資格取得試験(PLE)をデビジョン1(トップクラス)で合格した、と知りました。小学校の教室に裸電球を入れたとき、彼女たちは学校に泊まり込んで勉強を始めたそうです。そこで、SPJでは、小学校を建設し、優秀な成績ながら進学が難しい女児をインタビューして、それぞれ寄宿舎付きの中学・高校で6年間教育を受けるための支援を行いました。山の中腹の斜面に建ち電気も水道もない女児の家にも宿泊し、彼女らとの交流を深めました。その時、私と一緒に宿泊したMPJユース(SPJの学生連携組織)の女子大生は、現在外交官として働いています。支援した20名以上の女児の中でも特に印象的だったのは、100歳の祖母に育てられた孤児のエヴァリンでした。彼女は、日本の女性グループの支援を受け、ウガンダでも有名な女子学校で学び、看護士さんになっています。他にも自力で奨学金を得てマケレレ大学で学び、将来は日本で勉強したい、という女児もいます。

【SPJが支援した女児たち@ウガンダ・ルヒーラ村】

【ガーナ職業訓練校建設プロジェクト】
私は、日本の若者にその視野を広げてもらうために、2010年からほとんど毎年(コロナ禍を除いて)、MPJユースの学生約10名とMVを訪れ、2020年春にも、ガーナのボンサソ村に宿泊しました。その際、現地MPスタッフから「土地はあるので、ここに若者のための職業訓練校を建ててほしい」という依頼を受けました。この地域の金鉱山では中国人の違法採掘が盛んとなり、環境汚染や劣悪な労働環境が懸念され、ガーナ政府が規制した結果、現地の若者の多くも生活の糧を失いました。職業訓練校は、彼らに正規の職業を提供したいという地域住民の願いです。
幸運なことに、世界的な建築家の隈研吾氏(東大特別教授)が、ボランティアで設計イメージを作成してくださいました。隈氏は、若いころからアフリカ文化に魅了され、大学院時代には2か月間、西アフリカを車で縦断され、建設予定地周辺も訪問されていました。第8回アフリカ開発会議(TICAD8)では、岸田文雄首相が冒頭演説にて、隈氏とアフリカとの関係について言及されたように、隈氏の設計の原点はアフリカとの経験に基づくため、彼は「アフリカへの恩返し」とSPJに協力してくださっています。
このプロジェクトは、実現できれば、貧困削減、教育、人材・産業育成、環境などの複数分野でSDGsに貢献できることと期待しています。また、可能であれば日本語授業や日本文化も紹介し、相互理解を深め日本とガーナの友好にも役立つことを願っています。

【ガーナ・ボンサソ村の中学生とスポーツ交流を実施するMPJユースの学生達(2015年)】