2023年7月4日に、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)※」制圧に関する声明「長崎アウトカム・ステートメント」が発表されました。
既にお伝えした通り、今年の5月13日、14日に長崎市にて『G7長崎保健大臣会合』が開催され、その前日の5月12日(金)に、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)も協力団体として参加した「G7長崎保健大臣会合開催記念 国際シンポジウム『顧みられない熱帯病に対する研究開発とアクセス&デリバリーの加速化に向けて』」が開催されました。
参照⇒【開催案内】G7長崎保健大臣会合時に国際シンポジウムを開催!
【開催報告】国立大学法人 長崎大学のサイト
その際、「長崎アウトカム・ステートメント」が策定され、NTDsに対する持続的な資金拠出と公平なアクセスの必要性を呼びかけました。その表明に、GHIT Fund、長崎大学、Uniting to Combat NTDsおよび、SPJを含む約20の団体と個人も署名し、7月4日に上記がプレスリリース内にて発表されました。
プレスリリース⇒ NTDs制圧に関する声明「長崎アウトカム・ステートメント」を発表
NTDsの専門家ではない方を対象に、以下に「長崎アウトカム・ステートメント」の背景をお伝えします。
2012 年1月に、関係者が一堂に会して「NTDs に関するロンドン宣言」に署名し、2020 年までに NTDs の 10 疾患の制圧、撲滅、根絶を約束。
2022 年 6 月にはルワンダの首都キガリにおいて「NTDsに関するキガリ宣言」が発表され、政治的意思、地域社会のコミットメント、リソース、関係者の行動を動員し、個人、地域社会、国を NTD対策の中心に据えるハイレベルな政治宣言を発表しNTDs制圧に関する更なる気運を高めました。この宣言では、すでに 15 億米ドルの資金拠出を表明という大きなコミットメントを集めました。
この勢いを持続させるために、継続的なエンゲージメントとコミットメントへの連携への行動喚起が必要との思いで、グローバルリーダー達による「長崎アウトカム・ステートメント」が策定されました。
この呼びかけに応じるかのように、岸田文雄内閣総理大臣はG7サミットにおいて、GHIT Fundに5年間で2億米ドルのプレッジ(誓約)を発表しました。
本シンポジウムは、日本のNTDs研究の中心地である長崎市において、世界から関係者が集まり、NTD対策についての情報共有と連帯強化を目的として開催されたものです。SPJも、引き続き関係各所と連携しながら、NTDs制圧に関する日本での認知度向上の一助を担いたいと思います。
※顧みられない熱帯病 (Neglected Tropical Diseases: NTDs)とは、世界保健機関(WHO)が定める20の疾患の総称のことで、発展途上国地域の149の国々に暮らす中低所得者層を中心に約10億人もの人々が苦しんでいると報告されている病気です。NTDsは貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となって蔓延し、これらの疾患にかかると、重度の身体障害が残る場合もあり、生涯にわたる身体的、精神的影響を及ぼし、経済成長の妨げにもなっています。そのため、適切な時期に適切な治療を受ければ治癒が可能なのにも関わらず、貧困のためにそれができず、病気のためにさらなる貧困に陥るという負のスパイラルが発生しています。