【MPJユース報告②】
7月5日(金)に駐日ケニア共和国大使館を訪問して参りました。今回は、MPJユースの勉強会ということでMPJユースから6名、SPJ事務局インターンが1名、そしてSPJ理事長鈴木が参加しました。
初めに公使参事官カリー氏からケニアにおけるSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みや実施経験などについてのお話をいただきました。
まず、ケニアは、ニューヨークの国連本部、ジュネーブ事務局、ウィーン事務局に続き、発展途上国で唯一国連の事務局が存在する国であることについて熱く語ってくださいました。(首都ナイロビには国際連合環境計画(UNEP)と国際連合人間居住計画(UN-HABITAT)の本部があります。)実はケニアは国連における「ポスト2015年開発目標アジェンダに関するハイレベル・パネル」のメンバーとして、SDGsの開発段階から関わっており、国をあげて様々な取り組みを率先して行っているそうです。
ケニアではSDGsと合わせて、2008年からVision 2030という発展計画を実施しており、2030年までに「全国民が高い生活水準を享受する産業中所得国」へ発展させることを目標にしています。Vision 2030は経済・社会・政治という3本の柱で成り立っており、社会的な面では特にジェンダー平等な社会の実現に重点をおくなど、5年ごとにMTP (Medium Term Plan)という中期計画を立てて取り組んでいるそうです。
また、2010年には国民投票により新憲法が制定され、従来の8つの州が解体され、47のカウンティ(日本での都道府県のようなもの)が第一級行政区画になりました。地方分権化が進めば、Vision 2030やSDGsの取り組みを迅速化することができるとカリー氏が説明されました。実はケニアは国をあげて軽量プラスチックを禁止したそうです。日本でも東京五輪前までのプラ製レジ袋有料化などの話が出ていますね。
最後にカリー様はケニアが直面している課題について、①資金調達、②2016年に発生したような長期に及ぶ深刻な干ばつ、③発展途上国という立場上物資を輸出する際に価格設定ができるとは限らないこと、④公的債務の持続可能性など様々な例をあげて説明してくださいました。
第二部ではケニア特命全権大使ソロモン K. マイナ閣下が質疑応答の時間を設けてくださいました。
大使は、プレゼンテーションに関するインターン生とMPJユースからの質問に対し、2016年に発生した干ばつのような深刻な被害があった場合重要となるのは貯水率を上げるなど、事前の対策だと説明してくださいました。
また、最近話題になっている「一帯一路経済圏構想」について、このプロジェクトは世界的に高い評価を得ていて、ケニア国内では、日本がモンバサ港の開発を行って、中国がナイロビまでの鉄道を発展させるなど、日本、中国、ケニア三国にとってそれぞれ有利な開発であるのではないかとのご意見もいただきました。
8月末には横浜でアフリカ開発会議TICAD7が行われますが、大使曰くケニアは特にPublic Private Partnership(パブリック・プライベート・パートナーシップ)に重点をおいて会議に臨む予定だそうです。そのほかケニアは近年ICT(情報通信技術)に注力しており、その中でもケニアを中心にアフリカ大陸で広まっているM-Pesa(エムペサ)という電子マネーシステムは、今まで銀行が近くになく銀行口座を持っていなかった農村部の人たちをも巻き込み、急速な経済発展を促しているとご説明になりました。もっと日本の方にもケニアにきてもらってこのような電子技術を展開してほしいとのコメントも頂きました。最後に、ケニアの学校では食糧配給プログラムもあり、日本の日清食品がアフリカ風に開発したヌードルが大変人気であることなど、とても興味深いお話も伺うことができました。
この度はお忙しい中、マイナ閣下、そしてカリー様に貴重なお時間をいただきましたこと、心からお礼を申し上げます。