首都リロングウェでの国連世界食糧計画(WFP)や日本大使館、JICA、マラウイ災害対策局への訪問、ミーティングを終え、いよいよ私たちは被災地の現場に向かいました。(写真左:被災家族への聴き取り調査の様子。家は壁を半分壊され、草で応急処置している)
マラウイの今年1月の洪水は全28県中15県にわたり広範な被害をもたらしましたが、とくに雄大なマラウイ湖から唯一流れ出るシレ川流域や、アウトフローを持たないチルワ湖岸にあるマラウイ南部の4県(ンサンジェ県、チクワワ県、パロンベ県、ゾンバ県)には被害が集中しました。その中で私たちが支援に向かったのはゾンバ県。ミレニアム・ビレッジのひとつ、ムワンダマ村がある県です。この3月にMPJユースの学生10名とともに訪れた際、ゾンバのみなさんはとても温かく迎えてくださいました。いまは、少しでもその恩返しができれば、との思いです。
ゾンバはリロングウェに遷都する前の旧都で、首都リロングウェから車で5~6時間南に走ったところにあります。朝から走り続けて午後3時ようやく県庁に到着すると、事前にメールで連絡を取り合っていた災害対策局担当官のFlorenceさんとゾンバ県庁の事業調査・評価担当官のEricさんが出迎えてくださいました。早速今後の方針についてミーティングを行いました。到着時は外出のためご挨拶ができなかったNkasala県知事とはEricさんが翌朝早々調整してくださり、表敬訪問を果たすことができました(写真右:ゾンバ県庁にて)。
そして、ミレニアム・ビレッジの事務所にも顔を出し、コミュニティー担当として現場を取り仕切るJosephさんと再会しました。Josephさんには3月にもお世話になっていて、ミレニアム・ビレッジへの訪問・ビレッジステイを調整してくださっています。ただ今回は、ご挨拶だけではなく大切なお願いをしに行ったのです。かつて日本政府の支援で開始されたムワンダマは、いまでは農業生産が向上しWFPに支援食糧を供給するほどになっています。そこでWFPからは今回の支援食糧の調達先のひとつとしてミレニアム・ビレッジを推薦されていました。加えて、支援の配布のためにはチームで一緒に活動してくれる有能なスタッフが必要です。Josephさんはその2つのお願いに対して、すぐに調整に入ってくださいました。ミレニアム・ビレッジとの強固な絆を再認識し、とても有難く感じられた瞬間でした。
今回私たちが食糧支援に入るのはゾンバ県北西部のクントゥマンジ(Kuntumanji)という地域で、先述のアウトフローをもたないチルワ湖岸に位置します。災害対策局およびゾンバ県庁によると、いま最も食糧支援が求められている地域がこのクントゥマンジなのです。舗装道から奥へオフロードを進むと、家や畑を流された後の野原が見えてきました。畑は、洪水で流されてしまった後に耕作をし直したものの、一転襲いかかった少雨のために立ち枯れてしまった所も多く見られました(写真左:枯れてしまった主食のメイズ(白とうもろこし)畑)。
さまざまな場所を手分けして訪れ村人のみなさんのお話を伺うなかで、着の身着のままの老人や家を失い草でつくった仮の家に住まう家族(写真右)、離婚してなお多くの子どもを養う母親など、さまざまな苦しい立場に置かれた人びとに出会いました。
マラウイ政府は、第一にこうした高齢者、子ども、孤児、社会的弱者へ支援を届けることを基本方針としています。私たちは、マラウイ政府、ゾンバ県と協調しながら、日本の顔の見える支援を最も必要とする人たちの元へ届けたいと願っています。