セネガルだより 4  Potouから~

現在セネガルを訪問中の伊藤より最新のレポートをお伝えいたします。
○コミュニティーを支えるさまざまな自治組織
ミレニアムビレッジプロジェクト(MVP)はコミュニティーとともに進められてきました。例えばここポトゥーでは診療所や救急車など設備の改善は、既存の自治会が主体となって関わっています。また村のボランティアによって定期的な清掃活動が行われている診療所もあります。そして、村の青年会も環境美化に取り組もうとしています。
さらに、海岸沿いの漁村では約200人の漁民が加盟する組合が立ち上がっています。運営費面での課題を抱えてはいるものの、組合組織であればファイナンスを受けるのも容易になります。そして、単に魚を獲るということから一歩進み、加工をして販売するというビジネスの主体になることもできるのです。

【青年会とのミーティング】

【青年会とのミーティング】

【漁業組合長(右)への聞き取り調査】

【漁業組合長(右)への聞き取り調査】

○一人ひとりの行動変容を促すプロジェクト
MVPが触媒となってコミュニティーの自律的な活動が活性化している場合もあれば、直接一人ひとりの意識に訴え行動変容を促す活動もあります。例えば、手洗い習慣の啓発。小学校では、子どもたちを教室の外に集めて輪をつくり、歌や踊りも交えながらの実地練習です。このように楽しく教えてもらえれば、きっと心に刻まれます。そして、この手を清潔に保つという一人ひとりの小さな行動が感染症の低減につながっていくのです。

【小学校での手洗い指導】

【小学校での手洗い指導】

○日本の技術やチエが貢献
MVPの活動はコミュニティーの広範囲に及びますので、自動車での移動が必須です。日本車(トヨタ、日産、三菱)が現場の活動を支えているのは、日本人として嬉しいことです。
そしてMVPによって診療所へのアクセスと衛生環境は改善してきました。さらにもうひとつ、診療所の看護師は蚊帳がマラリア対策に役立っているといいます。住友化学の蚊帳は、このコミュニティー全戸に無料配布されました。日本はここでも貢献しています。
日本の技術は農業分野でも役立っていて、灌漑農業のためにヤマハのポンプが活躍しています。
そして、皇后陛下が英訳をされた詩集「にじ」「けしごむ」をここのカレッジに寄贈させていただきました。フランス語が公用語であるなかで、このコミュニティーで唯一英語を教えている学校で、670名の生徒がいます。大変に喜んでいただき、英語の授業で読まれたいとのことでした。アフリカと日本――技術、チエ、そしてこころで、より深く結びついてきたいものです。

【皇后陛下ご翻訳のご本を手にするカレッジの校長先生】

【皇后陛下ご翻訳のご本を手にするカレッジの校長先生】