ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)のグローバルアライアンスであるニューヨークのミレニアム・プロミスでは、 「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿って、2016年以降の方針を以下のように発表しています。なお、この方針は2015年9月のSDGsが採択された国連総会前に発表された内容を、ECC国際外語学校の学生の皆さまがボランティアで翻訳してくださったので、その点、どうぞご了承ください。ご協力くださった学生の皆さま、どうもありがとうございます!
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ポスト2015年計画
ミレニアム・プロミス(MP)にとって、ポスト2015年期は形式上最終監査と最終評価が終わり、最終報告書が公表される予定の2016年7月に始まり、その際、MPは焦点をミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へと移す。 現在、MPおよびミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)チームは、どのようにSDGsを進めていくかを計画中である。2015年9月の国連サミットで、SDGsが世界の指導者たちによって採択されるかどうかが鍵となっているが、活動はいくつかの主要な柱となるものから成り、MPを含む機関がその活動の指揮を執り、支援していくだろう。 ポスト2015年計画はまさに計画途中であるが、いくつかの鍵となる要素を以下に述べる。
持続可能な開発目標
2012年のRio+20会議以来、国連は地球規模、地域、国レベルにおける持続可能な開発を加速させるための効果的な活動を方向づけるポスト2015年期の発展のためのプログラムを決定しつつある。この計画は2015年末の現行の「ミレニアム開発目標(MDGs)」に基づいて行う「持続可能な開発目標(SDGs)」を含んでいる。 SDGsは2015年9月に開催される国連サミットに参加する世界の指導者によって最終決定されて採択されれば、経済発展、環境維持、および社会的公正を実現させるための経路となるだろう。 SDGsは2030年までに達成されるべき目標として挙げられた17の優先目標に及び、それらにはすべての貧困、飢餓を根絶し、食料安全保障を達成し、全ての人の健康生活と教育を保証することが含まれる。 現在MDGsを達成するためにMVPの主催国で実行されている開発計画は、SDGsの枠組みの中で更に拡大され強化されていくだろう。MVPはパートナーと専門家との大規模ネットワークを構築したが、中でも注目すべきは農村の経済開発に関して優れた専門知識と経験を持つ集団がミレニアム・ビレッジで活動していることだ。 これらのチームが、地域レベルでの目標実行のためのモデル開発と試験を行い、SDGs計画への支援を継続的に行なっていくだろう。
持続可能な開発問題解決ネットワーク
国連事務総長の藩基文氏は2012年8月、地方、国家、地球規模レベルでの持続可能な開発問題の解決を支持して いる学会、市民社会や民間部門から科学的、技術的専門知識を集めるために、持続可能な開発問題解決ネットワーク(SDSN)を構築した。SDSNは共同学習を加速し、世界が直面している相関性のある経済、社会、環境問題に対する総合的アプローチを促進することで、技術および政策面における区画化を克服する手助けをすることを目標にしている。 すでに複数の地域レベルのSDSNが開催されており、科学に基づいた開発問題の解決を促進するため、複数の解決構想が主要な議題を中心に、世界の専門家による12のテーマ別グループが結成された。SDSNは2015年以降、MVPのいくつかの取り組みを進める上で主要な役割を果たしていくだろう。
農業とビジネス開発
リードファーマープログラム(LFP)は、ポスト2015年戦略のこの分野において、MPとその協力者にとって重要な役割を占めるであろう。2013年以降、MVPは各パイロットサイトで農業普及指導員やリードファーマー(LF:中心となる農業事業者)の専門家集団を結成してきた。LFPは普及事業を農場に届ける手段として推進されている。このプログラムは地域内で模範となる革新的なLFを選び出し、それぞれの地域に農業従事者経営管理部隊を設立し、研修を画一化し、各普及指導員とLFに明確な目標設定を行い、LFを積極的に指導することを伴う。LFが自分たちの働く地域をしっかりと代表できるようにこの過程は参加型でなくてはいけない。 LFPは小農家を組織化し、価値連鎖の当事者と連携し、農業資金の分配と農業生産物の取引を促進し、農業者に優良農業実践(GAPs)のやり方を訓練し、農業資金とサービスに対する支払いのための連帯グループとしての役割を担う。やがて、LFが指揮をとるこのような分配区域が融資を受ける基本単位になるだろう。 ポスト2015年の議題にLFPを組み入れることで、計画中のSDG1「世界のすべての形の貧困を終わらせる」こと、そしてSDG2「飢餓を根絶し、食料安全保障を達成し、栄養改善と、持続可能な農業を奨励する」という目標達成に貢献できる。MPとその協力者たちは、LFPをポスト2015年の課題として拡大しようと努力している。
健康と栄養
この分野におけるポスト2015年の焦点は、おそらく専門的な地域保健従事者(CHW)プログラムの拡大であり、これには地球研究所と他のパートナー団体の主導で行われる百万人のCHW(1mCHWs)キャンペーンが含まれる。1mCHWsキャンペーンは国家規模の専門的なCHWプログラムを支援する活動である。 2006年以来、MVPの健康プログラムの土台であるCHWたちは、出産前及び新生児の健康診断、サプリメントの支給、マラリアの診断と治療を含む基礎予防及び治療を行うようにトレーニングを受け、能力を備えた常勤地域基盤保健専門家である。CHWはまた診療所や病院への照会サービスも提供する。 CHWシステムは迅速診断検査(RDTs)や治療を生かして、健康データの管理やアルゴリズムを基盤とした判断支援の提供を行う革新的なスマートフォンベースのCommCareのようなモバイルヘルス(mHealth)ツールによって支えられている。CommCareを検診のための家庭訪問の一環として利用することにより、MVPのCHWたちは最近の地域における出産と死亡の情報や、急性栄養失調やマラリアのような疾病コスト、予防接種や妊婦管理や熟達した新生児分娩のような根本的な治療介入適用の情報を含むプログラムに関するリアルタイムの情報を提供する。 明確に文書化されたこの数十年のCHWプログラムの成功によって、国民皆保険制度の達成を加速するための組織的な取り組みの一環として、CHWへの投資を国々や国際舞台における政策議題へと急速に押し上げた。 MVPサイトで奨励されているCHWプログラムは、持続的な人材開発や州または地方政府へプログラムを分散できる強い管理体制を誇るので上記の目的に適している。そのうえ、プログラム特有の主要な操作プロセスにおける迅速なトレーニングやそれに続く支援的な監視やガイド付きの家庭訪問のためのスマートフォンベースのmHealthツールによる継続的なサポートのおかげで、プログラムの実施に要する時間は短く、プログラムのメンテナンス、現地化及び質の維持・向上に集中することができる。 CHWプログラムを拡大し続けると同時にそれを推進する戦略とシステムをより発達させることは、「年齢を問わず全員の健康的な生活を保証して福祉を促進する」という計画中のSDG3をサポートできる。
教育
ポスト2015年は、特に少女のための普通教育のさらなる普及だけでなく、教育の質や、学習成果に焦点を当てるだろう。適切な年齢での小学校への入学や、卒業の見込みに影響を与える要因としての幼児教育の重要性を認識し、幼児教育普及へ投資することが主な戦略となるだろう。サハラ砂漠以南のアフリカ地域の教育を財政的に支援するための世界教育基金を設立するための努力も進んでいる。 MP、地球研究所とエリクソンの教育パートナーシップ事業である〝 Connect To Learn″は、ポスト2015年期に継続し、拡大するであろう。ポスト2015年の焦点は初等教育と中等教育の両方のレベルで学習効果を高めることである。普通教育は初等教育だけでなく中等教育にまで拡大されるだろう。幼児教育が適切な時期での初等教育への入学やその後の卒業見込みに影響を与えていることを認識し、幼時教育の普及に投資することが主な戦略となるだろう。サハラ砂漠以南のアフリカやそれ以外の地域の新しい教育イニシアティブに、資金提供するための世界教育基金を設立する努力が進行中である。 おそらく地域教育従事者(CEW)プログラムも拡大されるだろう。地域への活発な参加は地域や学校での教育介入を強化するという前提に基づき、CEWたちは低コストながら献身的な普及指導員であり、「教育リスク」にある子供達を特定し、彼らの入学や出席を後押しするために家庭、PTA、学校や広域の地域と協力している。 CEWたちは彼らの出身地域から選ばれ、高等教育を修了していることが望ましい。彼らの主な役割は生徒とその家族に教育を継続するモチベーションを与え、退学する恐れのある生徒にカウンセリングや個別指導のサービスを提供することである。また、CEWたちは早期妊娠、収穫期、児童労働や雇用、貧困や低い学業成績などが原因であるとされている低い出席率や退学の主な理由を特定するアセスメントを実施する。 CEWプログラムとその他の教育イニシアティブは「すべての人に包括的で公正な質の高い教育を保障し、生涯学習の機会を提供する」というSDG4計画の支援に必要不可欠なものとなるであろう。
インフラとエネルギー
MVPのためのSharedSolarのような、送電線を使用しないエネルギーシステムを先駆けて開発するコロンビア大学のモディ研究所の研究を踏まえるために、これらのイノベーションを本格展開し拡大するために、公益法人が設立された。持続可能な経済ソリューション(SES)と名付けられたその公益法人は、持続的な社会的投資から資金提供を受け、アフリカ中のより多くの顧客にサービスを提供できるようになるだろう。送電線を使用しないシステムの他に、SESはMVPによって活用され、改良されたFormhubやそのほかの情報システムを促進し、保健医療制度やその他の持続可能な開発制度についての助言を行っていくだろう。
ミレニアム・ビレッジアプローチの拡大
その他のポスト2015年期の焦点は、ミレニアム・ビレッジアプローチの拡大や再現を試みたり、ミレニアム・ビレッジによって開発されたツールや制度やプロトコルの実行を試みる政府に対し、技術的サポートや顧問サービスを提供することである。すでに国内のより多くの地域に届くように、プロジェクトモデルの拡大に取り組んでいるギニア、ナイジェリア、ルワンダやウガンダを含むMVPの受け入れ国もある。疫病発症事例を追跡するためにCommCare制度を適応し、エボラ危機の解決を支援することを医療チームに委託したギニア政府のように、特定の問題を解決するためにプロジェクトのスタッフと共にMVPアプローチの構成要素(*MPJ事務局注:CHWプログラム)を導入している政府もある。今日までにアフリカの20以上の国が、ミレニアム・ビレッジ関連のプロジェクトを、それぞれ違う団体により主催したり、新たに始めたりしている。MVPチームは、2015年9月に世界が採択する予定であるこの新しい目標(SDGs)を達成するために、ミレニアム・ビレッジの中で過去10年内に作成、試行、改良されたツールや制度やプロトコルを各国政府が導入するのための手助けすることができるという好ポジションにいるのである。
翻訳協力:
ECC国際外語専門学校総合英語コース翻訳専攻1年
金授智さん、田城駿さん、ほか
ありがとうございました!