現在、当プロジェクトはバオバブ商品を通じた農民グループの収入向上、自立支援の促進に取り組んでいますが、バオバブ商品をより多く販売して収入を増やしていくためには、市場の拡大が必要です。
しかし、マラウイの人たちはバオバブがマラウイに多く自生していることは知っていても、現在私たちが販売を勧めているバオバブパウダーやバオバブオイルの存在、そしてその効果を知っている人はまだまだ少ないのが現状です。
そこで、人が多く集まる休日のショッピングセンターにおいてプロモーションブースを出展し、現地の人たちにバオバブパウダーやバオバブオイルについて紹介し、バオバブ商品の消費者を増やすというのが今回の狙いです。
まずはバオバブ商品の持つ魅力について簡単にご紹介します。
実はバオバブオイルは欧米ではスキンケア用の美容オイルとして注目を集めています。
バオバブオイルはバオバブの種子から作られています。この種子が保湿に有効な脂肪酸、また、ビタミンEやカロテンなど、お肌の調子を整える成分も多く含まれています。バオバブパウダーはバオバブの実から作られており、ビタミンCやカルシウム、鉄分、食物繊維など多くの栄養素を含んでいるため、スーパーフードとして注目を集めています。
マラウイでは、女性はもちろん男性もお肌の手入れには気を遣っており、シャワーの後にはボディクリームなどを使ってスキンケアをしているという人が非常に多いのです。日本でも、最近では男性用の化粧水などが店舗に並ぶ様になってきて、若い男性たちを中心にお風呂上りにスキンケアというのも徐々に浸透してきていますが、実際にマラウイ男性の美意識に対する関心の高さには私たちも驚きました。
また、近年では健康に対する意識も高まってきており、特に富裕層のマラウイ人を中心に、ジムでのトレーニングやジョギングを日課にする人、モリンガなどの健康食品をサプリメントとして摂取する人が徐々に増えています。
そのため、バオバブ商品のもつポテンシャルはマラウイの人たちが持つスキンケアや健康に対する意識やニーズとも一致すると私たちは考えています。
さて、では実際にどの様にプロモーションを行ったのかをご紹介していきたいと思います。
【首都リロングウェ】
リロングウェでは、同県でバオバブオイルやパウダーを製造販売しているMaluso Cooperative Unionと一緒にブースを出展しました。リロングウェにはいくつかのショッピングセンターやモールがありますが、今回私たちが選んだのは、通称Game Complexと呼ばれているショッピングセンターです。バスターミナルからも近く、町の中心街に位置するため、平日休日問わず、いつも多くの買い物客で賑わっています。
今回は、すでにMaluso Unionがバオバブオイルを卸している、コスメティックショップの前のスペースをお借りしました。隣には大きなスーパーマーケットが並んでいるため、スーパーに買い物に来たお客さんたちも取り込むことができる良い場所です。
ブースでは、バオバブオイルやパウダーの商品ポスターを設置し、日本から持ってきたお肌の水分や油分量を測ることのできるスキンチェッカーを使った、お肌の状態チェック体験と、バオバブオイルのテスターを用意しました。
土曜日ということもあり、買い物に来た多くの人たちがブースに詰めかけ、バオバブオイルを知らない人たちにその存在を知ってもらういい機会となりました。
特に大人気となったのが、お肌の状態チェック体験でした。マラウイではスキンチェッカーなど手に入らないため、全員が初体験ということもあり、女性はもちろん、男性も多くの人が集まりました。
スキンチェックしていると、マラウイ人のお肌はオイリー肌であるが、水分量が少ないという人が多いことが分かりました。つまり、お肌の表面には油分が多いが、内部は乾燥している人が多いのです。そんな人にこそ、バオバブオイルの出番です。バオバブオイルはお肌に自然と浸透していくため、油分を適切に調整する働きがあり、さらに保湿力の向上にも期待できます。
バオバブオイルの特性を説明し、実際にオイルを着けてもらい、使い心地を確かめてもらいました。マラウイ人はすでにボディクリームやワセリンなどのケア用品を使っている人がほとんどなので、そこにオイルを混ぜて使うなどの使用方法なども提案しました。
スキンチェックの効果もあってか、多くの人がバオバブオイルに興味を示し、ブースの場所を提供してくれたコスメティックショップからもバオバブオイルの新たな注文が入りました。また、ブースを訪れた、ホテルでマッサージ店を運営しているという女性から「ぜひ私の店で使いたい。」と業務用の注文を獲得することもできました。
【マラウイ最大の商業都市ブランタイヤ】
ブランタイヤでは、同県でバオバブオイル・パウダーの製造販売をしているHome Oils Cooperativeと一緒にブース出展しました。今回私たちが選んだ場所はブランタイヤ最大のショッピングセンターであるChichiri Shopping Centerです。
今回は、リロングウェ同様にスキンチェッカーとバオバブオイルのテスターの他に、バオバブジュースの試飲も用意しました。さらに、ブースを訪れた人たちが普段どんなスキンケア商品を使っているのか、その種類や価格帯を調べるアンケート調査も実施しました。
こちらの会場も土曜日の買い物客で賑わっており、多くの人がブースを訪れてくれました。
今回もスキンチェッカーは大人気でしたが、最も効果的な成果を上げたのはバオバブジュースの試飲でした。ブースを訪れた人の多くがバオバブの実を口にしたことはあっても、パウダーとして売られている商品を買ったことはないという人ばかりでしたが、組合が作ってきた特製バオバブミルクセーキを試飲してもらうと、「おいしい!」という声と共に、レシピを尋ねて1瓶買っていくというお客さんが続出しました。併せて、バオバブは様々な栄養素が豊富で、日常的なサプリメントとしても最適であることをアピールすることができました。
また、スキンケアに対するアンケート調査では、多くの人が2,000K台(日本円で約400円)のスキンケア商品を普段購入しているということで、Home Oilsが販売しているバオバブオイルも2,000Kであったため、スキンチェックやオイルの試用後に購入してくれるお客さんもありました。ブースに参加していた組合のメンバーもプロモーションブースの効果を実感した様で、次は自分たちだけでもやってみると嬉しい意見が出ました。
今後も引き続き、マラウイでのバオバブ市場開拓に向けて活動を進めていきます。