サックス教授と池上彰氏の対談 オンラインセミナー盛況に開催

活動報告
左:ジェフリー・サックス教授  右:池上彰氏

お伝えしておりますように、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、昨年2020年7月からオンライン・セミナー・シリーズ「ウィズ・コロナ時代のグローバル・ヘルスを考える:感染症と人間の安全保障」(全12回)を開催しておりました。本日は、去る2021825()に開催された最終回記念セミナーのご報告をいたします。

テーマは、「ウィズ・コロナの時代のSDGsを考える~世界がパンデミックに直面する今こそ、グローバル・ヘルスのための国際協力を再考する」というもので、講師にはSDGsのコンセプトを考案されたお一人であるジェフリー・サックス教授(コロンビア大学ユニバーシティ教授)と、日本を代表するジャーナリストのお一人、池上彰氏をお招きし、司会は朝日新聞の編集委員、北郷美由紀氏にお願いしました。視聴者には日本のほか、海外からの参加者約500名を迎えて、掉尾を飾る有意義なセミナーになりました。

セミナーの概要は、まず、サックス教授からの基調講演にて、国連の定めた17SDGs目標のうち気候変動への対応も重要であることを踏まえ、以下の5つの提言がなされました。

1.「人間の安全保障」に関して世界の公衆衛生状況の向上(国際社会の協力の重要性)
2.インターネット・アクセスの向上(デジタル・デバイドを解消)
3.国際的な技術共有(ワクチン開発・提供などを含む大国の協力など)
4.国際的な資金調達(アジア開発銀行、世界銀行などを活用)
5.地域間の格差をなくし紛争を回避すること。

さらに、サックス教授は、日本は人間の安全保障に関しては最も成功している国である、と日本のこれまでの活動に敬意を示されました。

左:ジェフリー・サックス教授           右:池上彰氏

池上氏からは、サックス教授に対して、コロナ感染拡大に関するWHOの機能不全、国際社会のさらなる協調のためのEUや日本の役割、脱炭素では水素燃料を作るために化石燃料が必要であることなどのほか、コロナ後の新たな感染症対策への視点など、鋭い質問が続きました。

これらの質問に対して、とりわけ、サックス教授からは、ワクチン開発への資金提供にも関わらず、私企業が利益を得ている状況への懸念が示されました。池上氏が提案された「炭素税」ならぬ「公衆衛生税」を世界的に設け、多大な利益をあげた製薬会社などに課すというアイデアに対し、サックス教授から賛同を得られました。

学生からの質問では、Youth Combating NTDs という顧みられない熱帯病(NTDs)と戦っている若者グループ(ケニア)からの質問に、サックス教授は、対策の一案としてGlobal Fundというエイズ・結核・マラリアへの資金を、NTDs感染症にも広げるべきという考えを述べられました。

最後に、サックス教授から、日本をはじめとする多くの素晴らしい若者に出会ったこと、世界を良くするために若者の力と責任が必要であることが強調されました。池上氏からは、私達が何かに取り組む際、「どんな事に取り組まなければならないか」を明確にする必要があるが、サックス教授の提言は非常に示唆に満ちたものであったこと、また、セミナー中には視聴者からチャット経由で沢山の質問が寄せられたこと、特に大阪で開催されるEXPO2025について、世界の公衆衛生の向上を促す良い機会になるかもしれないというサラヤ株式会社(事務局(注)‐第一回ジャパンSDGsアワード外務大臣賞受賞)の更家社長からのコメントが紹介され、セミナーが締めくくられました。

多くの視聴者の方に参加頂き、有難うございました。