【開催報告】 2026年「世界NTDの日」ウェビナー開催

特別セッション画像 活動報告

2026年1月30日(金)に「世界NTDの日」に標題ウェビナーが開催されました。主催は「世界NTDの日・日本実行委員会」でSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)も構成団体の一つとして協力させていただきました。

特別セッション

「一般社団法人NTDs Youthの会」の広報部・重富千春さん司会で、約80名の方々がウェビナーに参加されました。当日のウェビナーの様子は以下に公開されています。
アーカイブ配信:https://www.youtube.com/watch?v=ZBzH_hofcw0

開催に先駆け、司会者から2025年の世界的なNTDsへの取組みの紹介がありました。2025年のグローバルメッセージ「Unite, Act, Eliminate」は2026年も継承する事、58か国で少なくとも1つのNTDを絶滅出来た事(2030年迄には100か国目標)、日本で開催された第9回TICADでのセミナー開催とその後のユース団体の取組み等が紹介されました。

ウェビナーは先ず、以下3名の方々からのメッセージで始まりました。
・國井修氏 (GHIT Fund CEO)、
・高橋順一氏(厚生労働省大臣官房国際課 国際保健・協力室長)、
・井本大介氏(特定非営利活動法人DNDi事務局代表)

國井氏からは、日本では沖縄で多く蔓延していたフィラリア症の撲滅などの経験を伝えるなど、21のNTDs疾患のうち、自分なりの「推し」のNTDを見つけ、その撲滅に向けて知識を養い、行動に移すという提案がありました。

高橋氏からは日本政府の取組みを改めてご紹介いただきました。当日の視聴者の多くがまだ生まれてなかった1998年に、G8(当時)で橋本総理大臣(当時)が世界の寄生虫対策を既に提唱していたという事や、野口英世アフリカ賞の設立、UHCナレッジハブを東京に設置している事などをご紹介いただきました。

井本氏は、DNDiがNTDsの治療薬開発の推進を主に行っている事、2025年にNTDsの難病の一つであるアフリカ睡眠病の治療薬の開発と提供による功績によりアフリカ賞を受賞した事のご紹介がありました。

次に、「第三回 顧みられない熱帯病コンテスト」の表彰式が行われました。表彰式に先駆け、NTDs Youthの会理事・コンテスト事業部長の近藤裕哉氏からコンテストの概要、今年の応募結果、応募者属性、今年の広報活動などの説明がありました。

例年同様、コンテストは2つの部門に分かれ、今年のB部門はポスターとしました。
・A部門:分かりやすく伝える部門 〜NTDsって知っている?〜
・B部門:行動する人を増やす部門 〜NTDsを制圧するために〜

【ポスター部門の受賞作品】

それぞれの部門で最優秀賞(賞金10万円)、チーム全員が18歳以下対象のU-18特別賞(図書カード2万円)が表彰されました。また、スポンサー賞として、GHITパートナーシップ&イノベーション賞(図書カード2万円)と日本製薬工業協会賞(図書カード2万円)が授与されました。

各賞の発表、授与者からの受賞理由と受賞者からの声が紹介されました。個人情報の関係で、今年から、お名前は伏せて発表しています。(以下、発表順)
・U-18特別賞(A部門)
 
チーム名:A-12 チームなのかな
 作品名:人類は熱帯病に勝てるのか?
 作品リンク: https://youtu.be/098H1ToPEvg?si=ng0F8Mgcc51t_yy0
・U-18特別賞(B部門)
 チーム名:NAHOKARI 
 作品名:デング熱 (上記画像中央)
・GHITパートナーシップ&イノベーション賞
  チーム名:ぽてとふらい 
 作品名:顧みられない熱帯病~カードゲームを使って学んでみよう~
 作品リンク:https://youtu.be/89zgtgCJHlU?si=AAkL3zieitnOvbDO
・日本製薬工業協会賞
 
チーム名:BIGMA(ビグマ) 
 作品名:「無知」で止まるな。「知る」へ進め。(上記画像右)
・最優秀賞(A部門)
 チーム名:N-Lights 作品名:NTDsスコープ~NTDsってなんだろう?~
 作品リンク: https://youtu.be/YClTh3G4v58?si=HmlRZhxlroICtg2s
・最優秀賞(B部門)
 
チーム名:鳥取大学熱帯医学研究会
 作品名:トイレ募金で届けよう! ~感染しない・させない環境づくり~ (上記画像左)

表彰式終了後に、特別セッション「次世代NTD 〜 AIとテクノロジーがもたらす変革」が開催されました。
まずは以下の専門家の方々からのプレゼンテーションがあり、その後コンテスト最優秀受賞者も交えパネルディスカッションが行われました。尚、司会はNTDs Youthの会の近藤氏が務めました。

〇プレゼンテーション
・山口真広氏(SORA Technology株式会社 CMO: Chief Mosquito Officer)
山口氏は、「宙(SORA)から、人の生き方に変革を」をビジョンとして社名を名付け、ドローン技術とAIを用いてマラリア撲滅を目指す事を主な事業内容とした日本発のスタートアップ企業を設立した事を紹介いただきました。具体的には従来人手に頼っていたボウフラ対策(ボウフラのいる水溜りを発見しそこに殺虫剤を散布)にドローンとAIを活用してボウフラ対策を効率化できたとのことでした。今ではこの技術をNTDsの一つであるデング熱におけるボウフラ対策に活用しておりアフリカ各国で採用されているそうです。

・中山慎太郎氏(株式会社 OUI  COO: Chief Operating Officer)
中山氏は『予防可能な失明・視覚障害克服のためのSmart Eye Cameraの挑戦』についてお話を伺いました。中山氏が社長を務める『株式会社OUI』は慶応大学眼科医が創業した大学発のベンチャー企業であり、スマホで眼科診断を可能にする医療デバイス(Smart Eye Camera:SEC)を開発し、世界中の医療過疎地域の人々に眼科診察のアクセス(過疎地域の人々がSECを使って目の動画を撮影し、都市部にいる眼科医が診断)届けることに成功しました。NTDsの目の病気であるトラコーマやオンコセルカ症の途上国での予防や治療に役立っているとのことです。

〇パネルディスカッション(抄訳)

司会者:医療アクセスを重視されている中で、従来の方法(投薬、治療等)ではアクセスできない壁に対してどういった行動変容やコスト削減が起きているのか教えて頂きたい。

山口氏:ドローンやAIがまさに従来のインフラを飛び越えていることはまさに実感している。しかしながら、ドローンやAIが導きだした答え(この水溜りにボウフラがいる)に対する実査が極めて重要で、実際に出かけて行ってボウフラを発見した時の感動は忘れられない。

中山氏:さきほどご紹介したSECはローファイルであって、それゆえ現地の子供達にわくわく感を与えられていると思う。また、SECに対して診断はいいけれど医療過疎地域において治療はどうするのか?問われることがあるが、診断後、病気は治ると伝えることで人はまさに行動を起こす(遠路治療にでかける)わけで、啓発が大事だと日々感じている。

司会者:国内において特に若い世代にNTDsに興味を持ってもらうにはどういったことを進めればいいのか?

A部門受賞者:今、私たちの学校でSDGsに関しての授業があるが、NTDsについても授業で取り上げてもらうのはどうだろうか。

B部門受賞者:まさに。今回のコンテストの内容をSNSで取り上げ、認知度を上げていけばいのでは。

司会者:日本においても治療アクセス困難地域があるが、さきほどご紹介いただいたデバイスの日本への逆輸入について教えていただきたい。

山口氏:日本でも蚊は存在するし、将来これが大きな脅威になる可能性がある。水のたまりやすい場所を特定することで効率的な蚊の対策が打ち、『蚊のハザードマップ』作りにも寄与できると思う。

中山氏:日本の離島での展開は既に行っており、島しょ部の先生方とも連携して進めている。また、都市部に寝たきりの在宅高齢者の方々への展開も考えられると思う。

パネルディスカッションでは、専門家の方から他にも様々なお話しを頂き参加者、視聴者の方々も学ぶ事が多かったかと思います。再度、アーカイブリンクを以下に記載しますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
アーカイブ配信:https://www.youtube.com/watch?v=ZBzH_hofcw0

当日、ご視聴いただいた方々には改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。