国連より「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」が発表され、潘基文国連事務総長は「極度の貧困をあと一世代でこの世からなくせるところまで来た」と、2000年に発表されて以降、貧困削減のための開発の枠組みとして用いられてきたMDGsの成果を強調されました。
(国際連合広報センター 7月7日プレスリリースより)
「ミレニアム開発目標報告2015」では、MDGsは、これまでの歴史で最も成功した貧困撲滅のための取り組みであり、その成功は世界規模での取り組みが機能していることの証明であると評価しています。
世界およびサハラ以南アフリカ地域では以下のような達成を遂げました。
ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
→貧困率が半分以下に減少。開発途上国の半数に近い人口が一日1.25ドル未満で生活していた1990年に比べ、2015年にはその割合が14%まで減少した。
ゴール2:普遍的な初等教育の達成
→2000年から小学校の児童の就学率が著しく向上。
開発地域における小学校の純就学率は、世界では91%(2015年)に改善した。
その最大の増加はサハラ以南アフリカで見られ、1990年時点の52%から2015年時点では80%に改善した。
ゴール3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
→すべての開発途上地域は初等、中等、高等教育で男女格差を解消。
サハラ以南アフリカでは、2000年時点では100人の男子に対し女子85人の割合だったが、現在は100人の男子に対し93人の女子が通学しており、より多くの女子が就学するようになった。
ゴール4:幼児死亡率の引き下げ
→予防可能な疾病による幼児死亡数の著しい低下は、人類史上で最も偉大な成果。
サハラ以南アフリカでは、5歳未満の幼児死亡率が、年0.8%の減少から年4.2%の減少へと改善ペースを加速。このペースは、1990-1995年と比べて5倍以上の急速な改善を見せた。
ゴール5:妊産婦の健康状態の改善
→妊産婦の健康状態に一定の改善が見られた。1990年以降、妊産婦の死亡率は45%減少し、これらの多くは2000年以降に起こっている。
サハラ以南アフリカでもこの20年で49%減少した。
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
→HIV感染者が世界の多くの地域で減少。マラリアと結核の蔓延が止まり、減少した。
2004年から2014年までの間に、9億以上もの殺虫剤処理をされた蚊帳が、マラリアが風土病となっているサハラ以南アフリカの国々に配布された。この結果、5歳未満の子どものマラリアによる死亡率を69%減少させた見込み。
ゴール7:環境の持続可能性の確保
→安全な飲み水とオゾン層保護に関する目標を達成。2015年には世界人口の91%が改良された飲料水源を使用しており、目標は期限である2015年の5年前に達成された。
ゴール8:開発のためのグローバル・パートナーシップの構築
→ODA、携帯電話加入者数、インターネットの普及における世界的な進歩を達成。
残された課題としては、以下の問題が挙げられています。
■男女間の不平等が続いている。就職率や政治参加で格差が残る。
■最貧困層と最富裕層、都市部と農村部の格差が存在している。最貧困層家庭の子供は就学率が1/4と低く、5歳未満の幼児死亡率も2倍高い。
■気候変動と環境悪化が達成すべき目標を阻んでいる。二酸化炭素排出量は1990年以降50%以上増加している。
■紛争は人間開発の最大の脅威である。脆弱な国、紛争の影響を受けている国々は、貧困率も高い。
■数百万人の貧しい人たちは、未だに基本的サービスへのアクセスがなく、貧困と飢餓の中で暮らしている。
出典:
国際連合広報センター 「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」の概要
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15009/
国際連合 地域別ニュースリリース(サハラ以南アフリカ)
http://www.un.org/millenniumgoals/2015_MDG_Report/pdf/MDG%202015%20PR%20Regional%20SSA.pdf