ミレニアム・プロミスのニュースレター

1月28日付 ミレニアム・プロミスからのニュースレターを翻訳しました。

MTVオバマ新大統領特別番組にてケニアのミレニアム・ビレッジを特集
2009年1月20日(火曜日)に放送されたMTVの米国大統領就任特別番組は、ケニアのリハンダ村ミレニアム・ビレッジにおけるミレニアム・プロミスの活動を特集しました。この特別番組(Be the Change: Live from the Inaugural)は、主要な奉仕活動を通じて変革を推進する若者たちや、オミンド小学校にコンピュータールームの設置を支援したミレニアム・ビレッジ在住の一人の学生ボランティアの姿をレポートしています。このコンピュータールームでは、ケニアの若者500人以上が知識の向上に有用なツールを得ることができ、また、同プロジェクトは地域社会全体の情報格差(デジタルディバイド)の解消にも一役買っています。(以下のミレニアム・プロミスのサイトより、映像がご覧いただけます。)
http://www.millenniumpromise.org/site/PageServer?pagename=home
セネガルのミレニアム・ビレッジにおける水供給施の完成については続きをお読みください。


セネガルでJMイーグル社がミレニアム・ビレッジと共同で新たな水供給施設を完成
米国の世界最大のプラスチック管メーカーであるJMイーグル社はミレニアム・ビレッジと共同で、ガーナ、マリ、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダのミレニアム・ビレッジ・クラスターおいて、飲料水の供給施設を建設してきました。これまでに同社は、ミレニアム・ビレッジ内の持続可能な水供給システムの開発に80万ドル以上にのぼる硬質の塩化ビニール管を寄付、供給しています。
2009年1月、同社とミレニアム・ビレッジは、ミレニアム開発目標達成にむけた約束の一環として、セネガル、ポトウにて水道管の敷設プロジェクトを完了させました。現在、同国の北西部に住む1万3000人の住民に安全な飲み水を届けています。この事業の開始前、未整備な水供給施設のため水利用はポトウ地域のコミュニティーの3分の1の住民に限られていました。今回の事業では、65マイル(108キロ)以上に渡り水道管を延長し、63の村を結びつけました。これにより、同地域の人口の99%が飲み水を確保できることになりました。
JMイーグル社の最高経営責任者ウォルター・ワング氏は、「水は健康と世界全体の経済発展にこれまで以上に欠かせないものです。」と述べました。また「残念ながら、水の利用のみならず、水の管理においても世界は危機に直面しています。セネガルで水道施設の建設支援を通じ、我々は今緊急に必要とされているもの満たし、長期的かつ持続的な解決に向けての基礎づくりをしています。最終的な目標は、この地域全体のコミュニティーの健康と経済発展に結びつく基礎的な水道施設を建設することです。」と付け加えました。
また、ワング氏は多くの発展途上国では、水が足りないのではなく、水施設が不足しているのだとも語っています。ワング氏は、「これらの国々には水はあります。しかし水を供給する方法を持っていないのです。これを変えるのが我々の目標です。」と語りました。
コロンビア大学地球研究所長・ミレニアム・プロミス代表・創設者のジェフリー・サックス教授は、水供給に関するJMイーグル社の深い知識と技術により、同社はミレニアム・ビレッジのこの手のプロジェクトにかかせないパーフェクトなパートナーになったと語っています。サックス教授は、「セネガルにおける同社の成功が刺激となって、他の企業が世界の貧困削減の取り組みにさらに積極的に参加するよう願っています。」述べました。
サックス教授はJMイーグル社の提供する水供給設備により作物の灌漑などに使用する農業用水の使用も可能になったことに注目しています。不安定な雨水に依存するのではなく、安定した水供給が受けられることで、農家の人たちは、すべてのコミュニティーが貧困から脱することが可能になる付加価値の高い作物を生産することができます。また、水汲みに時間や体力を消耗させることなく、人々がより生産的になるための能力をもつようになることも重要なことです。
また、サックス教授は、「水は、生命と経済発展に不可欠なものです。この地域の何千もの家族が、初めて安定した水の供給を得ることができるのです。灌漑施設の拡大により農業生産性の大きな増大が見込めます。また、水道管の敷設により、汚水が除去されるでしょう。この汚水は水に関連する多くの疾病の原因であり、地域の多くのコミュニティーが疾病と貧困のサイクルにとらわれている理由の一つです。」と語っています。
セネガル、ポトウで安全な飲料水と基礎的な衛生設備に関するミレニアム開発目標を達成
ミレニアム開発目標の7番目のターゲットは、「環境の持続性を確保」です。これは2015年までに安全な飲み水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減することを目標としています。国連は、2008年ミレニアム開発目標レポートで、今日10億近くの人たちが安全な飲み水を利用できなく、また、適切な水供給システムをもたない人たちの3分の1がサハラ以南のアフリカに住んでいると述べています。多くの発展途上国における重要な課題の一つは、水供給に必要なインフラの整備です。農村部のコミュニティーにおいて水供給施設の未整備は特に深刻な問題です。こうした地域では飲み水用の水道管の普及は、全世帯の30%にとどまっています。この問題で最も大きな負担を背負うのは女性たちです。彼女たちは毎日数時間歩いて家族のために水くみに行かなければならないのです。
ミレニアム・プロミスは、ミレニアム開発目標達成の取り組みの一環として、サハラ以南のアフリカの農村部コミュニティーにおける水供給および衛生設備に関する目標を達成するための持続可能な解決方法に投資しています。その例がセネガルにおけるプロジェクトです。ミレニアム・ビレッジ事業、JMイーグル社、セネガル政府の水供給事業機関(PEPAM)が連携し、水道管を利用した設備が開発されました。
このプロジェクトでは、JMイーグル社が寄贈した塩化ビニール管を使用した水道施設が開発され、現在、クラスターに住む1万3000以上の住民がこの設備を利用しています。PEPAMはまた、水道管を増設して、近隣のコミュニティーに住む5000人以上の住人への水の供給を実現しました。この二つの取り組みは、約1万2500人を対象とした既存の水供給施設をベースに拡大したものです。結果的に、全体で3万1000人以上(この地域の人口の99%)の住民がより安全な飲み水を利用できるようになったのです。
PEPAMのカーリー・ディアグネ所長は、「以前は、たとえ水源が汚染されていても、長い道のりを歩いて(水を汲みに行きましたが)、学校、診療所、村において、今はもう、水の利用は困難な作業ではありません。」と語っています。
セネガルでこのプロジェクトが始まったばかりのときには、水供給システムの未整備により、多くの住民は近くの水源を利用することができませんでした。 女性や子供たちは、1日に数時間かけて5キロほど歩き、家族のために安全な飲み水を汲みに行っていました。
クラスター内のメリナ・シモング村の住人コドウ・バさんは、「毎回の水汲みはつらかった。水は一切ありませんでした。村の3つの井戸は乾ききっていました。時には、真夜中に起きて水を汲みに出かけたものですが、それでも実際、水を確保できることはあまりなかったのです。女性たちはひっきりなしに行ったり来たりせねばなりませんでした。」と語っています。
新設された水供給設備は、家族が水の確保にかける時間を大きく短縮し、生産的な社会的に有用な活動により時間を割くことを可能にしました。
レノア村の住人コウディア・ディアウさんは、「またこれは、女性にプラスの経済効果もたらします。彼女たちは、井戸で1日を過ごすのではなく、私同様、所得を生み出す活動により時間をかけるでしょう。」と語ります。
ミレニアム開発目標達成に向けた我々のミッションの中で、このセネガルの水道設備事業は、飲み水の確保の目標達成に向けた努力をいかに我々が支援していくかを示す数々の例の一つです。同事業により、セネガルのミレニアム・ビレッジは、飲み水の確保という目標を上回り、この地域にすむ多くの住民が人間の最も基本的なニーズへのアクセスを得ることを実現するでしょう。