セネガルでのシアバター石鹸作り・ワークショップ開催

・セネガル・シアバターワークショップ.jpg2セネガル・シアバター・ワークショップ.jpg3セネガル・ワークショップ.JPG
ミレニアム・プロミス・ジャパンでは、2009年12月18日より22日までの5日間、セネガルとマリのミレニアム・ビレッジ・プロジェクトとともに、セネガルのLeona地域にて、ミレニアム・ビレッジの女性たち約25名を集め、シアバターー石鹸作りのワークショップを共催いたしました。
マリのビレッジではすでにシアバター石鹸を製造していますが、このたび、JICAのご紹介にてJICA、JETROとUNDPガーナなどが共同で実施したシアバタープロジェクトで訓練された地元NGO、Pagsung Associationの代表Safiaをセネガルに招待して、マリからシアバターの原料200kgを持ち込み、セネガルの女性たちを訓練しました。
実現に向けては、地方出張したSafiaと連絡が取れなくなったり、ガーナのUNDPへ電話しても通信状態が悪くてなかなかつながらなかったり、経費詳細が最後まで不明だったり、本当に実現するのか?とドキドキする時期もありました。実現できて、関係者一同ホッとしています。
シアバターは、西アフリカに自生しているアカテツ科の木で、地元では古くから女性しか触ることができないと言われた神秘の木なのだそうです。私が2005年に初めてセネガルを訪れた際、日本の外交官夫人たちから勧められたのが、修道院の尼僧たちが作っているシアバタークリームでした。それ以来、気にいって愛用しています。というわけで、セネガルのシアバター石鹸作りには、個人的な思い入れもありました。実現できて非常にうれしく思っています。このまま、地元の女性たちの自立支援につながることを祈っています。

鈴木りえこ

報告書(一部抜粋)は「続き」をお読みください。


「シアバター石鹸」製造ワークショップ


場所:Leona地域
日時:2009年12月18日~22日

ワークショップ報告書


I : ワークショップの目的とその成果
(1) 目的
シアバター石鹸を作る技能習得により、若い女性の能力向上を図る。
(2)ワークショップの対象者とその選定基準
以下の基準を満たすLeona地域の若い女性を対象とする:
– 読み書きの能力があること。
– 女子ネットワークのメンバーまたは女子ネットワーク連盟の会員であること。 (1つのミレニアム・ビレッジ当たり4人から5人で、全体で25人)
– 石鹸を販売し、2ヶ月以内にその原材料費を回収する目的で、石鹸作りに関わろうとする意志をもつ者。
当該地域のMVP 従事者 (Marieme NDIAYE, Matel BA, Koumba FAYE et Daouda KEBE) が組織に対する責任を持ち、女子ネットワーク連盟のKhoudia SAMB理事長がこれを支援する。
(3) 成果
Leona地域に在住する若い女性25名がシアバター石鹸作成の技能実習を受講した。参加者の詳細については、添付資料Ⅰを参照のこと。
II : テーマおよび使用機材
 トレーニング・チーム
 指導者 Ms AL HASSAN SAFIA
 通訳 Oumar NIANG
 アシスタント Daouda KEBE ; Matel BA ; Coumba FAYE ; Marieme
NDIAYE
 資金貸与協力  Djiby DIAW ミレニアム・プロミス・ジャパン

トレーニングの内容

1日目
参加者がMVPの栄養活性関連コーディネーターMadame Coly Aminata Ndiayeに迎えられて、ワークショップが開催された。ワークショップの開始に先立ち、トレーニングへの期待と不安について発言する時間が設けられた。参加者は、ニーズを満たしてくれるような報いのある仕事を手にすることを望んでいる一方で、見通しのはっきりしないトレーニング・ワークショップが再び実施されるのではないかという不安を抱いているケースが多かった。
トレーニングは石鹸作りを歴史的に振り返ることから始まった。話は古代にまで遡り、そして現代の石鹸作りにおける科学技術の役割は重点的に解説された。石鹸作りが他の職業と同様にしっかりとした”職業”であり、良い石鹸を作るためには情熱が必要であることを参加者に理解してもらう必要があった。また、石鹸作りは危険な作業であり、十分な注意も求められた。特に、石鹸作りにおいて、作業者は適切な作業着を着て、手袋をはめ、目と口を保護するなどの予防措置が必要である(実習時に実演が行われた)。
ホット・メソッドの説明
この方法では以下のステップで行われた:
(詳細は省略します)
• 石鹸作りに使われる原材料が提示され、石鹸作りの最初のステップに入った。参加者は注意して指示に従うよう促された。
• 指導員は手袋をはめ、目と口を保護した上で、○○グラムのシアバターを○℃の温度で溶かした。

2日目


ワークショップ2日目は、まず、MVPモデレーターのMr Djiby Diawの指導のもと、初日のワークショップの理論的枠組みについて議論が行われた。続いて、Ms Safia が全員の前で、石鹸を型から取り出して小さい長方形に切り分け、今回はホット・メソッドという製法によって作成されたと解説した。この製法によって作った石鹸は、使用できるようになるまで○週間を要する。
コールド・メソッドの説明
このコールド・メソッドとホット・メソッドの違いは、ホット・メソッドでは各混合物が○℃まで冷めるのを待ってから両方を混ぜ合わせるのに対し、コールド・メソッドではシアバター・パームオイル混合物を水の入った大きな容器に入れて火をかけることによってそのプロセスを短縮する点にある。
3日目
Mr Djiby Diawの指導のもとで前日の作業について議論を行ったのち、Ms Safiaが希望者の中から人を選んで、石鹸を型から出して小さな長方形に切る演習を実施した。
両メソッドの実習
最後に、参加者が5人ずつ5つのグループに分かれ、指導員と他の参加者が見守る中、午前中に第1グループが2つの製法を実習した。午後は第2グループが同様の実習を行った。
4日目
少しダンスをして作業場のムードを盛り上げてから、第1グループと第2グループが順番に石鹸作りの両メソッドを説明した。その後、それぞれのグループが完成した石鹸を取り出し、小さくカットした。続いて、第3グループ、第4グループ、第5グループと同様に実習は進められた。それぞれのグループは追加で香りを一つ選んで石鹸作りに取り組んだ(ココナッツ、シアバター、パームオイル、ピーナッツ、など)。
研修で学んだこと:
上質の石鹸を作る上では、下記の用量を参考にするとよい:
(詳細を省略します)
この日のトレーニング終了後、参加者はトレーニングがとても有意義だったとスタッフに語り、また、分かり易く通訳してくれた通訳者の方にも感謝の意を述べた。
5日目
5日目は主に以下の事項について行った:
– トレーニングで行ったことの会社化
– 参加者によるプロジェクトの分析、プロジェクトの解釈、および、参加者の意思確認(添付書類(annex)参照)
– レオナ地域共同体・女子ネットワーク主導によるシアバター石鹸プロジェクト実施に向けた合意
– ビジネスや企業家精神の理解、経営チームの組成
– 以下の者の投票による選任:代表取締役・総支配人Khoudia SAMB 製造部長, Fatoumata KA; 販売部長, Ndeye MBAYE – 3交代制による製造チームの組成
– 石鹸製造の立ち上げに向けた行動プランの作成。当初はMVPの支援を受けた周辺農村地域と学生食堂を対象とする (初注文は 100,000CFAフラン)。

(翻訳:栗山延浩)