中等教育就学支援パートナーシップを通して、日本とウガンダを”繋ぐ”
すでに当ホームページでもご紹介しているMPJインターン生のナオミ・ウィリアムズさんは3カ月間のウガンダでの活動を終え、4月半ばに無事にイギリスへ帰国しました。彼女の報告書(英語)No1がニューヨークのミレニアム・プロミスのホームページ上に掲載されましたので、ここにご紹介します。
すでに当ホームページでもご紹介しているMPJインターン生のナオミ・ウィリアムズさんは3カ月間のウガンダでの活動を終え、4月半ばに無事にイギリスへ帰国しました。彼女の報告書(英語)No1がニューヨークのミレニアム・プロミスのホームページ上に掲載されましたので、ここにご紹介します。
アフリカからみれば日本は距離的にとても遠い国です。今回、ウガンダのミレニアム・ビレッジ、ルヒーラ村を訪れた私たちMPJの代表一行も、21時間のフライトと若干の飛行機の乗換トラブルで、距離的な隔たりを強く感じました。
とはいえ今回の訪問は、まさに”Connect”すること(繋がること)がテーマで、新しい出会いと経験に彩られたものでした。一行はMPJから理事長・鈴木りえこ、特別ゲスト・慶應義塾大学国際政治学教授の 田所昌幸先生、社会人ボランティアの鈴木勇貴さん、学生ボランティアの堀尾健太さん、國仲真太郎さん、アミティエ・スポーツクラブから代表・赤尾修さん、竹之内恒平さん、アドバイザーの本田民樹さんの合計8名でした。理事長以外は皆、初のアフリカ大陸訪問でした。MPJの一行はまずケニアのミレニアム・ビレッジ、サウリ村を訪れ、その後、アミティエの一行も加わり、ルヒーラ村を訪れました。
今回のMPJの訪問目的は、日本政府が支援しているルヒーラ村の視察、及び2010年2月(ウガンダの新学期)から始まったミレニアム・プロミス・ジャパンの中等教育支援プログラムから奨学金を受けている、11名の女子児童の状況確認でした。
一行が車で首都カンパラからルヒーラ村に向かう途中、本田民樹さんの携帯電話に着信が入りました。日本からです。荒れた道路をガタガタと、時には道路を横切るヤギやマトーケバナナ(ウガンダ原産のバナナ)を山盛り積んだ自転車を避けつつ進むため、隣の席に座っている人にさえ声が届かない状況でしたが、この電話での2分程度の会話は、彼をとても驚かすことになりました。アフリカ奥地にもかかわらず、電話の向こうの声が東京内での会話と変わらないくらいクリアだったのです。これも、ほんの一年前には想像しえなかった方法で文字通り全世代の人々を繋ぎ、普及に貢献している、ザイン社(アフリカの通信会社)、エリクソン社(スェーデンの通信機器・設備メーカー)、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの協力のおかげです。【写真】バナナを積んだ自転車
この日本とウガンダとを繋いだクリアな音声が、今回の訪問で目にすることになった、通信網拡大によるルヒーラ村の人々の生活の改善と、彼らが希望を取り戻したことの象徴と言えます。
ザイン社の提供するワイヤレスインターネット・モバイル環境によって、ルヒーラ村の学校は、スクール・トゥ・スクールプログラム(School 2 School Program)― 米コネティカット州の私立学校(Whitby School)とルヒーラ村の小学校(Omwicwanba Primary School)との間で実施される、オンラインプログラム ― に参加できるようになりました。
また、この通信環境の整備によって、病院で取得した患者情報の全てを、日次でデータ化することができるようになります。そのおかげで、病院管理を効率化させ、ニューヨークへ分析依頼する前に、現地病院が説明責任を果たすことができるようになりました。
更には、妊婦が急な陣痛を訴えた際に病院で助産婦のついた安全な出産ができるよう、現地のコミュニティ・ヘルス・ワーカーが即座に救急車と連絡がとれるようにもなりました。
以上はすべて、一行が背後で熱烈な歓迎を受けつつルヒーラ村を周る間に、村の専門家から詳しく教えてもらったことです。そして、このコミュニティがジェフリー・サックス教授が提唱する成長の梯子の1段目に足をかけつつあることが明らかであること、そして地理的な隔たりは、もはや乗り越えられる壁であることを気付かされました。
ルヒーラ村の多くの家族にとって、中等教育の費用は高くて手が届かないものであるため、ほとんどの場合小学校を卒業することが教育の終わりを意味します。特に女子児童の場合、それは顕著です。(詳しくは、マドンナさんがスポークス・パーソンとなったコネクト・トゥ・ラーン(Connect To Learn)のプレスリリースをご参照下さい。コネクト・トゥ・ラーン(Connect To Learn)とは、ミレニアム・ビレッジを通して、子供に中等教育に必要な奨学金を助成するための取組みです。http://millenniumpromise.sblo.jp/article/36945234.html)
しかし2009年のPLE(Primary Leaving Examination: ウガンダ政府が実施している学力調査、成績によってDivisionⅠ~Ⅳに分類される。DivisionⅠが最高位)の結果では、その地域で初めて、女子児童がDivisionⅠにランクされました。これはミレニアム開発目標の”目標3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上“達成に向けた素晴らしい成果の一つと言えます。
この目標3は、他の様々な取組みの達成に欠くことのできないものです。例えば、教育を受け地位のある女性ほど、子供を学校に行かせ、家族計画とHIV予防の重要性を理解しており、子供に予防接種を受けさせ、より良い農業を実践しています。
MPJは11名分の奨学金の提供を通して、奨学生自身の成功だけでなく、女子教育への注目度向上と、彼女たちが村に戻った際に女子教育を伝播する旗振り役となってくれること(中等教育の体験の共有、村の代表者の会合への参加、コミュニティ開発への貢献、などによる他の児童への教育、及び将来に向けた力強い活動の促進など)も期待しています。
ルヒーラでの滞在中、私たちは、奨学生の女子児童の様子を伺いに学校を訪れました。彼女たち11名は皆、与えられたチャンスをしっかりと認識し、トップクラスの成績を修められるようたくさんの時間を費やしていました。驚いたことに彼女たちはウガンダの最も優秀な層の女児とも互角にトップを争っていたのです。
以前はロウソクの灯でテキストを読み、どの鉛筆もギリギリに短くなるまで使い、毎日途方もなく遠く離れた場所まで水汲みに行きながら何とか宿題をやりくりしていました。
それでも彼女たちの一人、キコンコ・ハッピーはこう言っていました。
「志があれば、どんなことだってできる。私はどうかって?もちろんあるわ!」(「求めよ、さらば与えられん」ですね)