ガーナ現地レポート(10)〜Ko Bra (またね)〜

クイーンマザーへのインタビュー 活動報告
クイーンマザーへのインタビュー

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)インターンの山本貴仁さん(*)から、第10弾現地レポートが届きました!
今回で、山本さんからのガーナ現地レポートは最終回となります。

************ 【インターン・山本貴仁さんのレポート】 ***********************
皆さん、こんにちは。
ガーナ大学に留学中のSPJインターン、山本貴仁です。

ガーナ大学での交換留学プログラムも終わり、日本へ帰国する前にSPJの事業地であるマンソ・ヌクワンタに戻ってきました。今回は、学校の様子や金の違法採掘、カカオ栽培の様子、私の研究テーマなど幅広くご紹介します。

5月に実際に新しい建物(ワークショップ棟)を使用開始して以降、多くの地域の人々が建物や学校の様子を見に来て、SNS用の動画を撮影する人もいるなど、人々の注目を得る場所になりつつあります。地域の憩いの場として人々から愛されることを望んだ、隈研吾先生(本校のデザインを設計)や私たちの想いが少しずつ実っているのだと感じます。

クラスルーム棟も9月中旬の完成を目指して工事中で、事務棟の建設もその後行われる予定です。

先日のセミナーでもお伝えしたように、当地では金の違法採掘が深刻な課題です。しかし、金で得られた富にコミュニティ全体が依存しており、単に摘発するだけではかえって社会の不満を高めてしまいます。職業訓練校プロジェクトは地域の関係機関と協力して、厳しい雇用環境の改善など中長期的な視点で問題を捉え若者のスキル向上と雇用確保に努める必要があります。

引き続き深刻な金の違法採掘の様子
引き続き深刻な金の違法採掘の様子

ところで、現在、事業地を含むガーナ全土でカカオの収穫シーズンとなっています。
日本のチョコレートの多くはガーナから輸入されたカカオを使用しており、マンソ・ヌクワンタのカカオも日本で口にされているかもしれません。収穫したカカオポッドの中からカカオ豆を取り出し、その豆を食用バナナの皮でくるむことで発酵させます。チョコの味の決め手となる発酵の質はガーナ産が特に高いと評価されています。そして、乾燥させたのちにカカオ豆は輸出されます。ガーナの雇用創出や付加価値の増加という点では、以前から豆のまま輸出するのではなく、豆を加工する過程を自国内で行う必要があるという指摘がなされています。

ガーナ留学の中で、私は開発事業におけるチーフ制が果たしている役割をマンソ・ヌクワンタの事例から研究しています。ガーナにおいて、地域の王様は土地の所有者、人々の監督・保護などを行う絶大な力を持っています。地域行政を担う政府の機関も地域に存在しており、伝統機関と政府機関が並立して開発プロジェクトをともに進めています。参加型開発を推し進める上で有益である一方、政府の地方行政のシステムや法的な側面で課題もあり、さまざまなステークホルダーにインタビューを行いました。職業訓練校の建設・運営も伝統機関、政府機関、NGOなどさまざまな関係者の連携に基づく事業です。実施した研究の成果もさまざまな方と共有したいと考えています。

クイーンマザーへのインタビュー
クイーンマザーへのインタビュー

1年間のガーナ留学中に、10回に渡り、私の現地レポートをお読みいただきありがとうございました。
ガーナの人々の視点を出来るだけ伝えられるよう努めてきました。
少しでも現地の活気に溢れた様子や人々の温かさ、地域で抱える問題について共有していただけたら幸いです。

Medaase!(Twi語で「ありがとう」)
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山本さんには、現地からSPJの職業訓練校の建設支援事業地の様子をはじめ、様々なガーナの生活・文化について報告していただきました。また、金の違法採掘問題については、横浜で開催された第九回アフリカ開発会議(TICAD9)に合わせ、8月18日にNHKの「国際報道2025」という番組でこの問題が取り上げられた事も紹介してくれました。ガラムセイの一般的な問題から水の浄化の話も含まれています。

NHK放送内容⇒ https://www.nhk.jp/p/kokusaihoudou/ts/8M689W8RVX/blog/bl/pDAZdogaO5/bp/p3XQGnNRWp/

SPJスタッフ一同、日本に帰ってからの活躍を心より祈っています。

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2025.7.23 ガーナ現地レポート(9)〜Suapɔn (大学)〜
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2025. 2. 5  ガーナ現地レポート(3)〜 Masaneaba (ただいま!) 〜
2024.12.18 ガーナ現地レポート(2)~ Maaha !(こんにちは)~
2024.10.10 ガーナ現地レポート(1)~ Akwaaba Ghana(ようこそガーナへ)~

(*) 山本貴仁さんは、「隈研吾先生の設計をガーナで実現!職業訓練校奨学金で誰も取り残さない明るい未来へ!」のクラウドファンディングを立ちあげてくれた若者です。(2024年8月からガーナ在住)
クラウドファンディング報告⇒ https://sdgspromise.org/archives/15712