ウガンダレポート(インターン報告)

 今年4月から7月にかけて、MPJインターンとしてウガンダ共和国のミレニアム・ビレッジ、ルヒーラ村に滞在された湯川真美子さんの滞在レポートをお届けします。
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 こんにちは。2011年4月20日~7月1日までウガンダ共和国のミレニアム・ビレッジ・プロジェクトのインターンシッププログラムに参加しました湯川真美子です。今回、私は約2ヶ月半の間、ウガンダ西部にあるルヒーラ村というミレニアム・ビレッジで村の女性が作るクラフト製品(バナナの皮で編んだカゴやビーズアクセサリーなど)の商品開発と商品販売企画に携わりました。
村の女性と商品開発について打ち合わせ.jpg ルヒーラ村の中心部1.jpg ルヒーラ村の中心部2.jpg
【写真】村の女性たちとお話をする湯川さん(左写真・向って右側)、ルヒーラ村の中心部(中央・右写真)

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第11回MPJ研究会を開催しました!

P1020550.JPGP1020532.JPG ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)では、去る6月9日、第11回MPJ研究会を開催いたしました。
 講師は元 JICA南アフリカ事務所長で、現・株式会社福永設計 下村則夫氏、テーマとして(1)アフリカ支援の現場から、(2)南アフリカ真実和解委員会という二つの興味深い内容のお話をいただきました。ご自身が翻訳なさった『国家の仮面が剥がされるとき』(第三書館)も10冊ほど参加者にご寄贈下さいました。
 下村様、ありがとうございました!
 研究会内容はこちらをご覧ください。→第11回研究会報告書.pdf


ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの全体会議と新ミレニアム・ビレッジ視察のご報告

MVP会議.JPG 7月25日よりタンザニア連合共和国の首都ダルエスサラムで開催されたミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの全体会議に、MPJ理事長・鈴木りえこが参加してまいりました。
 7月25~26日の前半2日間にわたり教育と保健・衛生のワークショップ、27~28日の後半2日間は全体会議が開催され、ニューヨークやアフリカ諸国から200名以上が参加して、地元のニュースなどでも紹介されました。
 全体会議では、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの開始から5年を経て、コロンビア大学地球研究所の研究者たちより信頼度の高いデータ分析が発表され、地元のプロジェクトチームからこれまでの活動を報告するDVD等が紹介されるなど、年々プロジェクトの成果が明らかになっていることを実感いたしました。地球研究所のデータ分析は、近々、アメリカの一流紙で発表されることになっています。
サックス教授.jpg ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト全体としては、5年の第1フェーズを終了後、第2フェーズに移行するにあたり、2015年のミレニアム開発目標(MDGs)達成期限に向けて、以下の2点に焦点を当てることになりました。
(1) 全ミレニアム・ビレッジにおけるMDGs達成を目指す。
(2) 教育と保健・衛生の2部門に力を入れる。
ピーター.jpgスティーブ.jpgソニアと.jpg
写真】トップ:全体会議の様子(右端エチオピアのコーディネータ、アワッシュ―マラリア研究の権威、2列目ウガンダのコーディネータ、ジョンソン―元国会議員で獣医、 右上:サックス教授とザンジバル副大統領
   下の段:左からミレニアムプロミスの新CEOピーターと前CEOジョンとペドロ―農業博士、
    中央 ミレニアムプロミスの中心的な役割を果たしてきたスティーブ(左)、ケニア・サウリのチームリーダほか
    右 サックス教授夫人ソニア、鈴木、ジョアンナ(地球研究所チーフ・オブ・スタッフ)、スーザン(MP理事、MCI担当)

中川大使と.JPGムタンゴ大使.JPG ダルエスサラムでは、駐タンザニア日本大使館を表敬訪問し、中川坦大使公邸でディナーにご招待いただき、タンザニアの政治・経済状況など貴重なお話しを賜りました。また、前駐日大使のムタンゴ氏のご自宅へも伺い、ご夫妻に最近のご活動、タンザニア情勢についてお話を聞かせていただきました。そのほか、JICAタンザニア事務所の勝田幸秀所長、パナソニック エナジー タンザニアの佐古佳幸社長にもお時間を割いていただき、様々な角度からお話しを伺いました。皆さま、お忙しいところ、本当にありがとうございました!
【写真】右上:前列右から中川大使と鈴木、後列右から本田氏、小熊氏、左上:ムタンゴ大使ご夫妻
ザンジバル諸島地図_edited-1.png さらに、タンザニア連合共和国の自治区であるザンジバル諸島の一島・ペンバ島には、KPMG支援の新ミレニアム・ビレッジが7月より開設されたばかりで、鈴木が会議後に視察してまいりました。
 ペンバ島へは、ダルエスサラムから6人乗りのセスナ機でウングジャ島ザンジバルを経由してたどり着きました。ウングジャ島ザンジバルは世界遺産の街で観光客が多いのですが、ペンバ島はひっそりとしていました。島の最北端にはダイビングの名所があり、ハネムーンにも最適な高級ホテルはあるそうですが、概して一日一ドル未満で暮らす人々の多い貧しい地域です。ミレニアム・ビレッジができたMicheweni地域(北部)は貧困層が多い島内で最も貧しく、イスラム教の規律が厳しい地域だそうです。
 ラマダン(断食月)の初日でもあり特に神聖さが要求され、私はビレッジ担当者からショールを渡されてそれを被るようにアドバイスを受けました。そして、先ずは地域を統括する地方政府の長へ挨拶にでかけ、この地域へ入る許可を受けました。
ペンバの担当者.jpgラマダン一日目ショールで覆う.JPGしぇーファー.jpgペンバ島ミレニアムビレッジの子供たち.JPG水汲み.jpg海藻ビジネス.jpg 
【写真】上段:左から ミレニアム・ビレッジの担当者、地方政府の役人と鈴木(右端)、村のファシリテーターとクリニックに来ている赤ちゃん(体重測定)
 下段:左から 子供たち、水を汲む女性たち、海藻ビジネスの現場

 地域全体としては、新しいことを受け入れることが容易ではないため、プロジェクトも地元の人々に信頼されているコミュニティーリーダーたちとの会合を重ねて、彼らとともに徐々に今後の活動を展開することになっているそうです。
 私は、コミュニティ・リーダーやファシリテータと面会し、地元のクリニック(医者はいない)や井戸、海藻を輸出する事業現場を訪ねました。クリニックでは、以下の3つの病気が多いことが報告されました。
①呼吸器系の疾患 ②下痢 ③目の病気
 子供たちは外国人を見つけてたくさん集まってきました。彼らの中には栄養失調で水がたまりお腹が膨らんだ子が目立ち、村の貧しい状況がよくわかりました。村には水道は広場にひとつだけありましたが十分ではなく、村の女性たちは深い井戸に容器を投げ入れて水汲みしていました。ショールを被るだけでも暑く、ラマダンで断食中の中、肉体労働をしている女性たちの体力がとても気になりました。
 今後、この村がどのように発展していくのか、注目していきたいと思います。


『負げねぞ、東北!』被災地支援事業視察のご報告

MPJは3.11の東日本大震災を受け、6月の総会で定款を変更して事業の範囲をこれまでの途上国支援・人材育成に加えて国内外の災害救援まで拡げました。
そこで、今後の事業展開の参考とするため、7月23日から3日間、西アフリカ酪農プロジェクトのビジネスパートナーであり、岩手県遠野市を拠点に震災直後から釜石市で地域に根付いた支援を続けていらっしゃる多田農場様と、日本リザルツ様とが実施している『東北マイクロクレジット』事業をMPJ職員が視察させて頂きました。

写真1.jpg写真2.png

【写真左】津波に巻き込まれた時間で止まっている大槌町町役場周辺の建物の時計
【写真右】津波で釜石港に打ち上げられた大型船舶】


『東北マイクロクレジット』事業では、被災者の生活再建、事業再建の実現を図るという目的のもと、具体的には内閣府作成の「生活支援ハンドブック」「事業再建ハンドブック」の配布の徹底、解読の補助を行っています。
事業の説明はリザルツWebサイトをご覧ください:http://www.resultsjp.org/active/01d.html
MPJ職員も、このハンドブックを抱えて、リザルツのメンバーと共に釜石市や大槌町の仮設住宅、避難所を合計7箇所まわってきました。
ハンドブックには、住民税などの減免、支援金や見舞金給付といった非常に重要な手続が記載されているにも関わらず、現地では読んだことがないという方が大多数を占めます。そこで、仮設住宅や避難所等をまわり、一軒一軒家庭訪問してこのハンドブックを配布し、被災者の皆さまからの疑問点や要望をヒアリングして行政との間をつなごうという試みです。
「自分のようなよそ者が突然訪ねて不審がられるかも…」という不安を吹き飛ばすかのように、どこのお宅でも「わざわざ東京から来てくれて有難う」、「暑いのに大変ね。(家へ)上がってお茶飲んでいって」という温かい労いの言葉をかけてくださり、むしろ支援にいったこちらのほうが励まして頂き、勇気を頂くことしきりです。

写真3.png写真4.jpg

【写真】釜石市の避難所外観                   【写真】釜石市の仮設住宅


一軒一軒訪問すると、仮設住宅の構造に対する不満、駐車場の使い方に対する意見、隣人が知らない人ばかりで心細いという不安…訪問先の皆さまから様々なご意見ご要望を頂きます。
当たり前のことなのですが、被災という共通の体験をしながらも、幸運なことに全員無事だった家族、数名を失った家族、たった一人取り残された人、既に勤務を開始している人、失職して仕事が見つからない人、足が不自由でどこにも出かけることができず一日中家にこもっているご高齢の方…各家庭によって現在おかれている状況は千差万別だということに気がつきます。
仮設住宅では、そういった被害状況、経済状況が全く異なる人々が地縁も血縁も切り離され、全く知らない隣人の中で暮らしているのです。住宅という「モノ」作りの次は、コミュニティ作りというソフト面での支援が必要だと考えました。
また、若い世代は比較的新しい環境に順応して新たな生活を築いているものの、高齢の方々には、周囲に知り合いもいない中で一日中家の中で閉じこもっているという方が非常に多く見受けられます。阪神大震災では、孤独死ということが問題になりましたが、今後長期化すると見られる仮設住宅での生活を考えると、高齢の方々の心と身体のケアが特に必要なのではないかと感じました。

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【写真】釜石で生まれ育った現地ドライバーさんの車


車体に貼ったステッカーに「負げねぞ(負けないぞ)、釜石!」とあります。
現地ではこういったステッカーを到る所で見かけ、皆さんの復興にかける心意気を感じます。
MPJも、皆さんのそういった強い気持ちを後押しできるよう、効果のある事業を速やかに進めていけたらと強く思いました。