【開催報告】ホッテズ教授 x 詫摩教授『ポストコロナのグローバルヘルスを考える』

2022年9月26日(月)、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)主催で、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の外務省公式サイトイベントとして、ワクチン開発と顧みられない熱帯病(NTDs)に関する世界的な権威であるピーター.J.ホッテズ教授(Prof. Peter J. Hotez、ベイラー医科大学)と詫摩佳代教授(都立大学)をお迎えして、『ポストコロナのグローバルヘルスを考える』(オンラインセミナー)を開催いたしました(注:事前収録日7月27日)。アフリカ諸国では、以前から保健分野での遅れが指摘されていましたが、新型コロナのパンデミックで、その脆弱性がさらに懸念されるようになっています。

開催概要はこちら⇒ http://sdgspromise.org/?page_id=12908

セミナーの様子を以下にて公開いたします。
動画はこちらから⇒ https://www.youtube.com/watch?v=1zz1epQ8Hk0

セミナーでは、最初に、ホッテズ教授から近著の内容を含む最近のグローバルヘルスを取りまく状況の講演をしていただきました。

近著「PREVENTING THE NEXT PANDMIC」の内容を紹介しながらのセミナーの様子

ホッテズ教授は、感染症拡大の原因が多様化していること(貧困・戦争・政情不安・都市化・森林伐採・反科学運動さらには気候変動など)、パンデミックによる犠牲者が戦争やテロによる犠牲者を上回っている現状で、医療関係者と地政学専門家も含めた国際協調の必要性を説いています。また、同教授は、“反貧困ワクチン”と教授たちが指摘されるワクチンの開発経緯や、反ワクチン運動との闘いなど、一般の方には知られていないグローバルヘルスを取り巻く現状と課題を分かりやすく説明してくださいました。

セミナー後半では、ホッテズ教授と詫摩教授に、未来への対策について対談していただきました。詫摩教授はホッテズ教授のご著書『次なるパンデミックを防ぐ』の日本語翻訳をされていたため、的確なご質問を含めた対談となりました。

和訳された『次なるパンデミックを防ぐ』を見せる詫摩教授

最後に、詫摩教授から本日紹介されたホッテズ教授の近著の日本語版が、出版直後から売れ行きが好調で、日本の書店の主要コーナーに置かれるようになったことを紹介した所、ホッテズ教授は書店で実際に見てみたいと笑顔で応えていました。

SPJでは、今後もアフリカ大陸を中心とした低・中所得国での開発活動や、グローバルヘルスやNTDsのアドボカシーなど、持続可能な開発目標の推進に向けた活動に取り組んでまいります。


SPJ、『グローバルフェスタJAPAN2022』に出展!

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、2022年10月1日(土)~2日(日)に開催される『グローバルフェスタJAPAN2022』に、MPJユース(※)と共催で出展いたします。

「グローバルフェスタJAPAN」とは、国際協力活動、社会貢献活動、SDGsなどに取り組む官民様々な団体が一堂に会する国内最大級の国際協力イベントです。31回目となる今年のテーマは、『ここからつながる世界。ともにここから創る未来。みんなが参加する国際協力』です。

SPJは、コロナ過のため、昨年はオンライン出展でしたが、今年は新型コロナウイルスの感染防止対策を行った上で、ブース出展をいたします。

【開催日時】  2022年10月1日(土)・2日(日)10:00~17:00
【リアル会場】 東京国際フォーラム ホールE2/ロビーギャラリー
【SPJブース】 ブース番号20
【オンライン】  イベント当日、以下サイト「オンライン会場」ボタンより
        ⇒ https://gfjapan2022.jp/

SPJブースへのお越しをお待ちしています。

※MPJ Youth(ミレニアム・プロミス・ジャパンユースの会)は、アフリカの貧困削減を支援し、日本におけるアフリカの広報につとめるSPJ(設立当初の名称:ミレニアム・プロミス・ジャパンーMPJ)の活動に賛同する学生たちによって立ち上げられた東大の学生サークルです。MPJ Youthは2009年3月に、SPJよりアフリカ・モザンビークに派遣された学生を中心に結成され、今年で13周年を迎えています。今では東大と東京外語大学を中心として、約150名の学生が集まっています。


フィリピン・リマサワ島へのスーパー台風オデット 災害支援事業の新たな展開

本年2022年3月から、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)が株式会社ココウェルのご協力を頂き実施している、フィリピンスーパー台風ライ(現地名:オデット)の災害支援事業について、6月から新たな展開がありました。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)からご支援をいただき、「南レイテ州リマサワ島における住環境改善事業」として上記のSPJ独自事業に加え、リマサワ島でより多くの仮設住宅を建設できることになりました。事業期間は、6月15日から9月6日。

昨年12月のオデット台風に続き、4月に起きた熱帯低気圧アガトンの影響で、SPJ独自事業も遅れが生じています。そのような 環境下でしたが、JPFのご支援の下、レイテ本島から招致した大工さん(有償)、フィリピンンの陸軍派遣の大工さん(無償)、現地警察が本島から招致した大工さん(有償)も加わり、6月から事業が進展しました。

リマサワ島町役場の協力を得ながら、SPJの国際スタッフ、現地スタッフが現場監督としてスケジュール管理などを行い、最終的には町役場所属のエンジニア(建築家)が完工検査を行い、町役場として仮設住宅がミニマムスタンダードに沿って建設されていることを第三者の専門家として確認・保証していただきました。

円安の影響による建材価格の高騰により、建設数を当初予定していた39軒から38軒に減らすことになりましたが、町役場所属のエンジニア助言のもと、残った予算を使い仮設住宅基礎部分のコンクリートを補強し、仮設住宅の耐久性を強化することもできました。

そして、ようやく8月30日に住人、町長はじめ町役場関係者や陸軍、警察など建設に関わった方々を招き、仮設住宅引渡式を行うことができました。

リマサワ島からSDGs・プロミス・ジャパンに対して感謝状もいただきました。

リマサワ島の一部の方々ですが、仮設住宅をご提供できた事を、SPJスタッフ一同喜んでおります。SPJ独自事業についても、一刻も早く完了させるべく努力を続けて参ります。

リマサワ島支援事業報告1=> http://sdgspromise.org/?page_id=12527
リマサワ島支援事業報告2=>  http://sdgspromise.org/?page_id=12575


【TICAD8公式サイドイベント】ホッテズ教授 x 詫摩教授『ポストコロナのグローバルヘルスを考える』~ 9月26日にセミナー録画をオンライン配信 ~

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、去る2022年8月27、28日の両日、チュニジアにて開催された第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の外務省公式サイドイベントを2つ企画いたしました。一つは、既にお伝えしている日本を代表する建築家の隈健吾氏による『アフリカの魅力とインパクトを語る』で、すでに8月22日に開催済みです 。
報告サイトはこちら:http://sdgspromise.org/?page_id=12866

もう一つは、7月29日に事前収録させて頂いたピーターJホッテズ教授(Prof. Peter J. Hotez)と詫摩佳代教授による『ポストコロナのグローバルヘルスを考える』です。

ホッテズ教授(ベイラー医科大学)は、廉価なCOVID-19 ワクチン開発の貢献により今年のノーベル平和賞候補のお一人に選ばれています。そのホッテズ教授をメインゲストにお迎えして基調講演をいただき、その後、同教授と詫摩教授(東京都立大学)との対談を実施いたしました。

SPJでは、同セミナーを9月26日(月)にオンライン配信させていただきます。どなたでも参加可能ですので、皆様のお申し込みをお待ちしております。

【開催概要】
日時:2022年9月26日(月)16:00~17:00(事前収録日:7月29日)
主催:特定非営利活動法人SDGs・プロミス・ジャパン
テーマ:『ポストコロナのグローバルヘルスを考える』
メインスピーカー:ピーターJホッテズ教授(ベイラー医科大学 テキサス州ヒューストン 国立熱帯医学校創設学長)
対談相手: 詫摩佳代教授(東京都立大学法学部教授)
開催方法: Zoomウェビナー
言語:英語(日本語字幕あり)
参加費:無料
参加登録:下記リンクより、2022年9月25日18時までにお申し込みください。
https://bit.ly/3KQX30B

【講演概要】
近年、貧困・戦争・政情不安・都市化・森林伐採・反科学運動、さらには気候変動など感染症拡大の原因が多様化しています。ホッテズ教授は、パンデミックによる犠牲者が戦争やテロによる犠牲者を上回っている現状で、これまで以上の国際協調の必要性を説いています。また、同教授は、反ワクチン運動との闘いや貧しい人にも提供できるCOVID-19 ワクチンの開発など、グローバルヘルスを取り巻く現況と課題をわかりやすく説明して下さいました。セミナー後半では、ホッテズ教授と詫摩教授に、未来に向けての対策について議論していただきました。

【登壇者プロフィール】

【ピーター・ホッテズ教授】

ベイラー医科大学国立熱帯医学校の校長。ベイラー医科大学で小児科学、分子ウイルス学、微生物学を教えている。ベイラー医科大学のテキサス子ども病院ワクチン開発センターの共同所長のほかベイラー大学の生物学の教授、テキサスA&M大学のハグラー高等研究所のフェロー、ライス大学ベイカー公共政策研究所の病気と貧困に関するフェロー、テキサスA&M大学スコウクロフト国際問題研究所のシニアフェローも務めている。1980年、イェール大学で分子生物物理学の学士号を取得し、1986年にロックフェラー大学で生化学の博士号を取得、1987年にコーネル大学のワイル医科大学で医学博士号 (MD) を取得した。米国熱帯医学衛生学会の会長を務めた経験があり、学術雑誌PLOS Neglected Tropical Diseasesの創設者兼初代編集責任者でもある。全米医学アカデミーならびにアメリカ芸術科学アカデミーの選出メンバーで、2011年には世界保健機関 (WHO)の全米保健機関からアブラハム・ホロウィッツ賞を授与された。2014年から2016年にかけてホッテズは、米オバマ政権下で、米国科学特使を務めた。2018年には、米国-イスラエル二国間科学財団理事会のメンバーに任命された。また、テキサス州の二期連続の知事のもとで、感染症タスクフォースにも参加した。これらの取り組みが評価され、ブナイ・ブリス・インターナショナルから功労賞を授与された。2018年、Research! Americaから「持続したリーダーシップ」賞を授与された。2022年、新COVID-19ワクチンを開発し、Maria Bottazzi博士と共にノーベル平和賞候補にノミネートされた。

【詫摩佳代教授】

東京大学法学部卒業後、同大学院総合文化研究科国際社会科学専攻国際関係論博士課程単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、東京大学東洋文化研究所助教、関西外国語大学外国語学部専任講師、首都大学東京法学部准教授などを経て2020年より東京都立大学法学部教授。専門はグローバル・ヘルス・ガバナンスと国際政治。著書『人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差』(中公新書、2020年)で、2020年度第42回サントリー学芸賞政治経済部門を受賞。