第34回MPJ研究会のお知らせ!「大使館専門調査員の視点から見た、ウガンダ支援最新事情」

第34回MPJ研究会のお知らせ

「大使館専門調査員の視点から見た、ウガンダ支援最新事情」

 

ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)では8月27日(月)19:00より、大使館専門調査員の勤務を終え、帰国したばかりの橋本奈保氏を講師として研究会を開催いたします。

 

研究会では、専門調査員の仕事内容の紹介から、NGOや国際機関などがウガンダで実施している支援事業の現状、ウガンダのユニークな難民政策などについてお話いただきます。

 

専門調査員のお仕事に関心をお持ちの方、アフリカ・ウガンダでの支援事業にご興味をお持ちの方、ぜひお気軽にご参加下さい!

 

橋本奈保氏プロフィール

2010年米国Smith College卒業(心理学及び人類学専攻),2014年3月大阪大学国際公共政策研究科博士前期課程修了(国際公共政策修士)・同博士後期課程在籍中。2015年8月から2018年8月,在ウガンダ日本国大使館経済開発協力班にて専門調査員として勤務。草の根人間の安全保障無償資金協力案件,日本NGO連携無償資金協力案件,国連機関を通じた人道と開発連携案件等を担当。

 

(難民居住区で調査中の橋本氏)
(難民居住区で調査中の橋本氏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究会の開催要領は、下記の通りです。

 

 

*******************************************************

第34回MPJ研究会

「大使館専門調査員の視点から見た、ウガンダ支援最新事情」

 

【日時】2018年8月27日(月)19:00~20:30(18:45開場)

【場所】文京シビックセンター 4階会議室B

(地下鉄南北線・丸の内線後楽園駅直結)
 アクセス→http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html

【講師】橋本奈保氏

【会費】無料

【申込方法】お名前、ご所属、ご連絡先を明記の上、mpjapan@drive.ocn.ne.jpまでメールにて

お申込み下さい。

【申込締切】8月24日(金)

 

*******************************************************

 


◆(ウガンダ事業)教員や難民コミュニティを対象にメンタルヘルスセミナーを実施しました!

<教員とコミュニティ向けのセミナー>

5月から始まった南スーダン難民への心理社会的ケア事業では、ウガンダで20年以上心理的ケアを実施している現地NGO「TPO Uganda」とパートナーシップを結んでいます。「TPO Uganda」から精神科医や臨床心理士を派遣してもらい、難民居住区でメンタルヘルスの基礎知識を伝えるセミナーを実施しています。

 

7月末までに、難民居住区で働く103人の先生方と779人の南スーダン難民がセミナーに参加しました。セミナーでは、鬱やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など難民が頻繁に患う精神的疾患についての説明や、不安やストレスを和らげるための簡単なエクササイズの方法を紹介しています。

 

教員向けセミナーで先生方に講義するTPO Ugandaの臨床心理士
教員向けセミナーで先生方に講義するTPO Ugandaの
臨床心理士

 

難民居住区の教会で実施された コミュニティ向けセミナー
難民居住区の教会で実施されたコミュニティ向けセミナー

 

コミュニティ向けセミナーに参加した難民の方からは「はじめて聞いたことが多くて勉強になりました。セミナーに参加出来なかった近所の人々にもこの知識を伝えたいし、今日習ったエクササイズを実践しようと思います。」といった声が聞かれました。

 

正規の教員として働くウガンダ人と補助教員として働く南スーダン人の先生方は、紛争のトラウマを抱えていたり、居住区での生活にストレスを感じていたりする多くの子ども達と毎日学校で会っています。

 

参加者の一人は「セミナーでの知識は、精神的な問題を持った子ども達に接するうえで欠かせないものでした。子ども達のトラウマを認識して、学校でも適切な支援をすることが大切だと学びました。」とおしゃっていました。

 

教員を研修することでMPJが直接支援を届けられない難民の子ども達にも、心理的ケアが実施される事が期待されています。

 

精神を落ち着かせるための誰でも簡単にできる エクササイズ
精神を落ち着かせるための誰でも簡単にできるエクササイズ

 

教員向けセミナーでMPJの活動を説明する駐在員・片野田
教員向けセミナーでMPJの活動を説明する駐在員・片野田

 

 

<心理社会的ワークショップ>

南スーダン難民の子ども達を対象にした「心理社会的ワークショップ」も継続しています。「嫌いなもの・こと」「失ったもの・こと」「忘れられないあの日」といったテーマで粘土細工をしたり、針金と粘土でこれまで生きてきた人生を表現する「針金の人生」ワークショップを実施しました。MPJのワークショップに慣れてきた子どもたちは、徐々にトラウマ体験を自分の言葉で語れるようになってきました。

 

MPJスタッフと友達の前でトラウマ体験を語る児童
MPJスタッフと友達の前でトラウマ体験を語る児童

 

7月ブログ67月ブログ8

 

7月ブログ77月ブログ9

子ども達の作品「忘れられないあの日」

 

7月3日~19日まで、日本人のボランティアの方が現地を訪れ、実際に心理社会的ワークショップに参加しました。その方が感じたことを文章にしていただいたので、是非ご一読ください。


「これは誰?」

「お父さん。」

「お父さんは何をしているの?」

「銃で撃たれて殺されたところ。」

「お母さんは?」

「いない、死んじゃったから。」

 

これは、MPJによる心理社会的ケアの粘土細工ワークショップに参加した際の、ある子供とのやり取りです。初めはあまりの悲惨さに驚きを隠せませんでした。ですが、これはここにいる子供たちに共通した会話だとすぐに気づくことになります。

 

南スーダンの紛争により、ウガンダへ逃れてきた子供たち。ワークショップに参加している子供たちの多くが家族のほとんどを失っていました。遠い親戚や赤の他人が保護者になっている子供もいれば、保護者が全くいない子供もいます。一見、普通に学校に通っている生徒に見えますが、ほんの少し話を聞くだけで凄惨な過去が浮かび上がります。目の前で親が殺された子供、家を燃やされた子供、死んだ親の姿を見て失神してしまった子供、大量の人が殺されるところを目撃してしまった子供。子供たちのストーリーは少しずつ違っていますが、子供たち全員が想像することすら難しい状況を経験しています。

 

ワークショップでは造形等を使い、子どもたちに自分の経験を話してもらうのですが、聞いていると不自然なところに気づきます。

 

多くの子どもたちが初めに体験を語る際、自分の感情に全く触れないのです。聞くだけでも辛い経験だというのに、まるで他人事のように感情を交えずに話すのです。感情を切り離して生きることだけに集中してきたのかもしれません。

 

ワークショップではファシリテーター達がその不自然さをすぐに読み取り、怖がらせないように質問を繰り返します。初めは淡々と答えていた子供達も、次第に言葉に詰まったり、涙を流したりしながら少しずつ自分の感情を表現していきます。一連のやり取りが終わると、自分の感情を吐き出した子供達に笑顔が見られます。その笑顔には清々しさと達成感のようなものが見て取れます。

 

幼くして家族を失い、悲しむ暇もなく生存のためだけに全力を注いできた子供達。彼らに自分に起きたことを振り返り、話を聞いてもらう機会が今までどれだけあったのだろうかと考えずにはいられません。ここにいる子供たちのレジリエンス(精神回復力)には目を見張るものがあります。ですが、彼らの経験はそのレジリエンス(精神回復力)だけでは超えられないのではないか、食べ物や服と同じように心理的な援助が必須なのではないか、と改めて感じています。子供たちが笑顔で家路につく姿を見ながら、このような機会を与えられることによって彼らの未来は確実に変わっていくのだろうと確信しています。