【開催報告】「世界NTDの日」ウェビナー開催 ~『学生コンテスト』A部門最優秀賞は「西郷隆盛から覗くNTDs」~

2024年1月30日「世界NTDの日(World NTD Day)」には、日本で標題のウェビナーが開催されました。主催は「世界NTDの日・日本準備委員会」で、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)も準備委員会の一員として協力させていだきました。

司会、ご登壇者、学生コンテスト参加者の一部

司会はイベント幹事団体である「一般社団法人NTDs Youthの会」代表理事の轟木亮太氏でした。

そして以下の方々はNTDsの現状、課題解決のためのこれまでの取組みや今後の展望についてメッセージを頂戴しました。
・上野裕明氏(日本製薬工業協会 会長)
・國井修氏(GHIT Fund CEO)
・井谷哲也氏(厚生労働省 大臣官房国際課 国際保健室長)
お三方からNTDsの現状、課題解決のためのこれまでの取組みや今後の展望についてメッセージを頂戴しました。

さらに、『第一回顧みられない熱帯病学生コンテスト』表彰式では、以下の方々が表彰され、各賞の授与者から受賞理由が述べられました。
・最優秀賞(A部門)牧功大さん(大分大学医学部医学科)
・最優秀賞(B部門)涌井謙佑さん(大阪市立大学医学部医学科)
・日本製薬工業協会賞 廣野彗香さん(東京学芸大学付属国際中等教育学校)
・GHIT賞 磯妃葵さん他3名(千葉県立幕張総合高等学校)
・U-18特別賞(A部門)山本莉子さん他3名(千葉県立幕張総合高等学校)
・U-18特別賞(B部門)久我彩乃さん他1名(福岡県立修猷館高等学校)

A部門最優秀賞の大分大学医学部の牧さんのプレゼンのテーマは、『西郷隆盛から覗くNTDs 顧みられない熱帯病』。西郷隆盛が、 リンパ系フィラリア症によって馬に乗れなくなった、というよく知られた話から始まるユニークなプレゼンです。ぜひ、以下サイトからご覧ください。
https://youtu.be/CfBwVTZKtrM


最後のセッション、『教えて!國井先生』 では、以下の方々から若者に対してわかりやすくご説明いただきました。
・國井修氏(GHIT Fund CEO)
そもそもNTDsとは何か?なぜ顧みられないか。
・飛弾隆之氏(日本製薬工業協会/エーザイ株式会社)
日本の製薬企業のNTDsへの取組みについて教えていただきました。
・牧野由佳氏(WHOアフリカ地域事務局)
 昨年末にWHOのNTDリストに加わった『水癌(NOMA)』について教えていただきました。
・中谷香氏(DNDi Japan)
非営利組織のNTDsへの治療薬の開発や制圧についての取り組み。
・吉岡浩太氏(長崎大学/JAGntd)
日本にはNTDsはないのか?。

最後には、國井氏がマザーテレサの言葉『愛の反対は憎しみではなく無関心である。』を引用し、世界中で数多くの苦しみや悲しみを持つ人々が存在することに対して無関心であってはならないと結びました。

当日、ご視聴いただいた方には誠にありがとうございました。セミナー全体の動画は以下に公開されています。
多くの皆さまにご視聴いただけれる事を関係者一同望んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=T0FbJUsjUls

このようなウェビナーにより、 皆さまがNTDsについて少しでも関心をお持ちいただけいただけましたら嬉しく存じます。


ガーナ職業訓練校建設運営支援事業の進捗 ~ 次のステップヘ!~

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)の鈴木りえこ理事長は、2024年1月にガーナを訪問しました。 これまでもお伝えしたように、SPJはガーナのアシャンティ州アマンシエ・ウエスト、マンソ・ンクワンタ(Manso Nkwanta)にて職業訓練校建設運営支援事業を行っています 。

昨年中は非常に雨が多かったことも影響して、工事は遅れていますが、訪問当時は地元の材料を使って壁に使用するレンガを作っています 。

2024年1月の様子

また生徒募集も開始し、既に一部の教師も雇って10名以上の生徒が、現地にあるMPA Ghana(Millennium Promise Alliance Ghana:SPJの連携NGO)の事務所を教室代わりにして、授業を受けています。今回の訪問では、日本国内にてこの事業に特化したご寄付(82,000円)をいただいたため、クマシで購入したPC2台を直接教師と生徒へ手渡ししました。 。

鈴木理事長は、現地事業統括者スタンとともに現地で様々な会合にも出席しました。 マンソ・ヌクワンタでは、MPA Ghanaのジェネラル・マネージャー、エリック氏も加わり、昨年5月にも面談させていただいた伝統的指導者オマンヘネ(Nana Bi Kusi Appiah/ナナ・ビー・クシ・アピア2世)やそのお孫さんであるクィーン・マザー、ナナ・ニャルコ・アボラー・シーカ2世にも事業の進捗状況を説明しました 。

オマンヘネからは現地スタッフに対して事業をより早く推進し、また進捗状況を定期的に報告するようにというご要望があり、クィーン・マザーは今後の学校運営に欠かせない地域コミュニティの協力を得ること、またクラウドファンディングを含む募金活動へのご協力を約束してくださいました 。

さらに、週末ではありましたが、ガーナTVET(Technical Vocational Education and Training)サービス・アシャンティ地域総局のリチャード・アッド・ギャンフィ氏(局長)、ダニエル・アモー氏(副局長)、職業訓練校を運営する理事会理事長のナナ・オポン・アプランパ1世ジェームズ・オッポン氏とも、具体的な今後のステップについての会合を持ちました 。

今後のステップについての会合参加者と

なお、事業サイトへの視察には、週末にも関わらず、MAGO MOTORS JAPAN株式会社 取締役の木村太一氏が参加してくださいました。お忙しいところ、ありがとうございました 。

前回訪問時(2023年5月)にガーナの教育大臣(Yan Osei Adutwum氏)から「職業訓練校の生徒にはクリエイティブなことも教えてほしい」という要請があったことから、今回の訪問では、世界の電子廃棄物が集まっている首都アクラ近郊のスラム、アグログブロシーも訪問しました。前述の木村氏にご案内いただき、廃棄物からアート作品を作るほか、子供のために学校を作り、彼らにアートを教えたり、廃棄物の再生工場なども設立したりして、現地の人々の自立を支援している長坂真護さんのギャラリーやスラム全体を訪れ、廃棄物から発生する有毒ガスなどに囲まれた生活環境の厳しさを実感しました。ちなみにアグログブロシー訪問の際は、木村様から有毒ガス対応マスクをいただきました。

また、鈴木理事長は、ガーナ北部の都市タマレも訪れ、TICAD4(2008年)にJICA(日本国際協力機構)とUNDP(国連開発計画)の招待で日本を訪れた女性グループ(Pagsum Shea Butter Processing Centre at Sagnarigu Community)を訪問し、代表のSafia Alhassanさんとも14年ぶりに再会しました。彼女は、シアバターを中心とした石鹸製造を女性たちに指導していて、貧しい女性の自立を支援しています 。

そのほか、タマレでは、ガーナを代表する国際的な現代アーティストのイブラヒム・マハマ氏のRed Clay Studioも視察しました。アクラから運んだという5機の飛行機や労働者の宿泊施設にも利用されたという車両ほか、膨大な数のストレチャーや靴磨きの箱、カカオの使い古された麻袋などが展示され、発想と規模の大きさに圧倒されました。マハマ氏のコンセプトは「社会貢献はアーティストの責任」であり、アート活動からの利益をコミュニティのために還元される姿勢は、サステナブルキャピタリズムを主張する長坂真護さんとも共通していることを実感しました。マハマ氏は、SPJの職業訓練校にも何かしらのご協力をお約束くださっています 。

今回の理事長訪問で、事業が促進されることを願っています。引き続き、皆さまのご協力を宜しくお願いいたします 。

【ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業 寄付口座】
SPJは認定NPO法人のため、ご寄付は税額・所得控除の対象となります。
•みずほ銀行 本郷支店 普通口座 2714991 
特定非営利活動法人 SDGs・プロミス・ジャパン
•郵便振替口座 00190−3−650992 
特定非営利活動法人 SDGs・プロミス・ジャパン

※ご寄付をお振込みいただく際、「ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業への寄付」と明記の上、下記をメール(office@sdgspromise.org 宛)にてご連絡ください。入金確認後、領収書を送付いたします。
➀氏名もしくは法人名、②ふりがな、③郵便番号と住所、④電話番号、⑤肩書、担当部署(任意)、⑥入金方法(みずほ銀行もしくは郵便振替)

● これまでの関連ブログ
2023.8.16: 現地スタッフからのレポート~現地での日本祭りイベント~
2023.8.16: 現地スタッフからのレポート~8校の学校訪問について~
2023.8.2: 現地スタッフからのレポート~ガーナでフォトコンテスト開催!
2023.6.21: ガーナの職業訓練校建設開始式典にガーナ政府・教育大臣なども参加
2023.4.27: 隈研吾氏 とSDGs・プロミス・ジャパン: ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業に着手
2023.3.27: ガーナにおける職業訓練校建設・運営事業に関して、外務省のNGO連携無償資金協力(N連)を締結
2022.8.31: 隈研吾氏、「アフリカの魅力とインパクトを語る」 ~アフリカへの想いと建築への原点もお伺いしました!~
2022.7.13: ガーナを訪問しました!