ウガンダでフォトコンテスト開催!

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、2023年8月に、ウガンダにてフォトコンテストを実施しました。2020年1月にもウガンダ北部の南スーダン難民居住区にて、難民の子どもを対象に同コンテストを開催しましたが、今回は「ウガンダ共和国カラモジャ地域における脆弱層への食糧支援事業」を行っているカラモジャ地域コティド県で、子どもを対象としました。

対象は10代の子ども達10名(男女5名ずつ)です。これまで(ウガンダの他、ラオス、ガーナでも開催)の参加者同様、初めてカメラを触る子どもがほとんどでした。SPJ国際派遣スタッフからキヤノンのデジカメの使い方を教わった上で、お互い助け合いながら好きなものを撮影してもらいました。

支援事業関係者の投票で、2点の優秀賞が選ばれました。

また、参加した子ども達全員にはジュースが配られ、優秀賞の2人には本とお菓子が渡されたところ、お菓子は全員で分けたそうです。

今回のフォトコンテストの様子は、SPJのSNSサイト(Instagram, Facebook, Twitter)にも、追加の写真を掲載いたします。そちらもぜひご覧ください。

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ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(3) ~事業地での日本祭りイベント ~

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、2023年6月にガーナのアシャンティ州アマンシエ西地区にあるマンソ・ヌクワンタで日本の遊びを体験できるお祭りを実施いたしました。

すでにお伝えしていますように、SPJは外務省NGO連携無償資金協力の採択を得て、ガーナで職業訓練校の建設・運営支援事業を行っています。建設地であるマンソ・ヌクワンタ村でリスナー約25万人以上もいる現地のラジオ局プロミス・ラジオ(Promise Radio)を活用して、現地駐在員のスタンと田沼が週2回、ラジオトークショーの司会を務めました。この活動は、マンソ・ヌクワンタ村の人々に日本の文化を知ってもらうことを狙いとしていました。そこで、日本の夏祭りの話題を取り上げたところ、村の人々がとても興味を示され、参加してみたいという子供達の声が上がりました。

州都クマシから車で3時間程度の田舎のマンソ・ヌクワンタ村でできることは限られていましたが、手に入る物で、できる限り村の子供たちに日本の文化を味わう体験をしてもらいました。 村の子供たちは、予想を超えて100人以上も集まり、特別でユニークなイベントとなりました。

夏祭りで、折り紙の「やっこさん」の折り方、ペットボトルでのけん玉の作り方、屋台で出る水風船ヨーヨー掬い、さらに日本の若者の間で流行っているアイドルダンスの踊り(AKB48)など、参加した子供たちはとても楽しんだ様子でした。

SPJガーナのインスタアカウント(@spj_ghana)では動画でもイベントを紹介していますので、どうぞご覧ください。

● これまでの関連ブログ
2023.8.16 ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(2)~ 8校の学校訪問について ~
2023.8. 2  ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(1)~ガーナでフォトコンテスト開催!~
2023.6.21: ガーナの職業訓練校建設開始式典にガーナ政府・教育大臣なども参加
2023.4.27: 隈研吾氏 とSDGs・プロミス・ジャパン: ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業に着手
2023.3.27: ガーナにおける職業訓練校建設・運営事業に関して、外務省のNGO連携無償資金協力(N連)を締結


ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(2) ~8校の学校訪問について ~

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)の学生インターンとして、ガーナの職業訓練校建設運営支援事業現地で活動した田沼そらからの現地レポートの第2弾をお届けします。

前回のフォトコンテスト開催に続き、今回は地元中学・高校合わせて8校を訪問した様子をお知らせします。

田沼そらレポート
「訪問した学校で、現地事業統括者スタンとともに、田沼が日本について、日本語での挨拶、SPJの紹介、SDGsについての解説ほか、ガーナの雇用状況や職業スキルの必要性について説明しました。それから、学生の好きな科目や職業訓練校での学習について質疑応答を行いました。

日本についての説明を熱心に聞いてくれる学生たち

地元の学校訪問では、特に、本プロジェクトの職業訓練校については詳しく説明し、学生の皆さんにその概要を理解してもらいました。中学生の皆さんは、卒業後に職業訓練校に通ってスキルを学ぶことに関心を示してくれました。個人的な観察では、当プロジェクトは地域社会のニーズと人々の要望に適切に対応していると感じました。多くの人々が、職業訓練校について、スタンや私、MPAスタッフに対して質問してくださったので、地域社会がこのプロジェクトに大きな関心を抱いていることがわかりました。また、この学校に関するラジオ番組の終了時にはプロジェクトについて質問するため、たくさんの電話がかかって来たそうです。」

※訪問した8校の学校名と各校生徒との集合写真の一部
・Manso Nkwanta DA Model 中学
・Manso Dominase DA 中学
・Manso Nkwanta DA 中学
・Manso Nkwanta Methodist 中学
・St Francis Xavier Roman Catholic中学
・Atwere DA Experimental 中学
・Atwere Methodist 中学
・Mansoman 高校

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2023.8. 2  ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(1)~ガーナでフォトコンテスト開催!~
2023.6.21: ガーナの職業訓練校建設開始式典にガーナ政府・教育大臣なども参加
2023.4.27: 隈研吾氏 とSDGs・プロミス・ジャパン: ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業に着手
2023.3.27: ガーナにおける職業訓練校建設・運営事業に関して、外務省のNGO連携無償資金協力(N連)を締結


ガーナ職業訓練校建設運営支援事業、現地スタッフからのレポート(1)~ガーナでフォトコンテスト開催! ~

今回は、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)が実施しているガーナの職業訓練校建設・運営支援事業のために現地に派遣していた学生インターン、田沼の現地レポートをお届けします。

●田沼そらレポート
「SPJは、2023年6月にガーナのアシャンティ州アマンシエ西地区にあるマンソ・ヌクワンタの同プロジェクトサイトにてフォトコンテストを実施いたしました。

このフォトコンテストは、事業の建設予定地の村でカメラを手に持った経験もない多くの子供達に対して、新しい、クリエイティブな体験をしてもらう目的で開催しました。使われたカメラはキヤノンのデジカメです。SPJは2020年にウガンダ、2021年~2022年にかけてはラオスでも孤児院の子供たちを対象にフォトコンテストを開催しています。

今回は、日曜日の一日限りの開催でしたが30人も子供が集まり、とても賑やかなイベントになりました。コンテストのテーマは「子供達にとって絆がある光景を写真に残す」ことで、村でSPJスタッフが子供達にカメラの使い方、撮影方法を教えて、子供たちに写真を撮ってもらう方法で行いました。テーマに沿って、毎日通っている学校や友達と集まってサッカーなどを楽しんでいる公園で撮影することになりました。

子供達はたくさん写真を撮り、初めてカメラで写真を写すという経験をとても楽しんだ様子でした。

参加した子供達の写真の中からMPA Ghana(Millennium Promise Alliance Ghana:SPJの連携NGO)とSPJスタッフ数人で審査し、評価が高かった写真の撮影者3人に小さなプレゼントが送られました。

田沼からプレゼントが渡され、嬉しそうな入賞者イマヌエルさんの様子です。

イベント終了後、マティアスさんとイマヌエルさんは、約250,000 人の聴取者がいる地元のラジオ局プロミス・ラジオを訪れ、ラジオを通じて自分のフォトコンテストでの経験を話してくれました。

上位入賞した3人の写真や、フォトコンテストの様子を写した写真もSPJガーナのインスタアカウント(@spj_ghana)でも紹介していますので、どうぞご覧ください。」

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2023.6.21: ガーナの職業訓練校建設開始式典にガーナ政府・教育大臣なども参加
2023.4.27: 隈研吾氏 とSDGs・プロミス・ジャパン: ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業に着手
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SPJ、フィリピン・レイテ島へのスーパー台風オデット 災害支援事業を開始

昨年20211216日から18日にかけて、フィリピンをカテゴリー5(最大風速68/秒)の大型台風ライ(現地名:オデット)が横断しました。 

中部と南部を中心に被害は広がり、被災者は20221月時点で約800万人に上りました。2013年に襲ったスーパー台風ハイエンの際の死者数6,300人に比べ、死者数は405人に留まったのは、当時の経験を踏まえて政府が早期に避難指示を出し、また高潮被害も少なかったためと思われます。その一方で、家屋倒壊数は2013年時の20万軒を上回る140万軒で、1月時点で約20万人が避難生活を送っていました。少しずつ避難生活を送る方の数は減ってはいるようですが、2月でも約13万人が不便な生活を強いられていました。

被害を受けた南レイテ島の空撮
被害地域は、セブ、ボホール、スリガオ、南レイテと広範囲の島に及びました。支援は、人口が多く現地のNGOの数も多いセブ島を中心に行われているため、最も被害が大きい一つと言われている南レイテ島では支援が遅れています。更に、南レイテはラニーニャ現象による豪雨に見舞われ、家屋の損害が甚大で避難所に収容しきれない避難者が、豪雨の中での屋根のない環境での生活を行うことで、被災者の状況は更に悪化しています。

レイテ島南沖に浮かぶ直径約10キロメートルの孤島リマサワ島の様子

リマサワ島の集落全体がテント村のような状態
 SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、201312月のスーパー台風ハイエンの際に、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を得て、レイテ州タバンゴ町にて6校の仮設教室を建設しました(20145月)。支援事業を担当した赤坂友紀さん(当時SPJ国際派遣スタッフ)が、その後も個人的に日本から継続して現地の貧困支援・交流を行っていました。ちなみに、レイテ島は第二次世界大戦の激戦地であり、8万人以上の日本軍兵士が戦死、病死、餓死し、現在でも島内のいたるところに日本人兵士の慰霊碑が残る地域です。

過去にSPJからの支援経験があり、歴史的な所縁も深いレイテ島でのオデット台風の被害に関して、再び赤坂さんを通じて株式会社ココウェルや現地プロジェクト推進者との協働をセットアップさせていただき、支援の開始を行うことになりました。限られた予算をどのように使うか、現地調査後、家屋の再建ニーズが高い事が判明しました。最貧困家庭に対しての支援となりますが、今後も進捗状況をお知らせいたします。


ウガンダの小学校のエコキッチン、完成! 列を作る子供たち

SDGsプロミス・ジャパン(SPJ)が、昨年20212月から取り組んできたウガンダのスターリング小学校へのエコキッチン建築事業の続報をお伝えします。

スターリング小学校は、ウガンダの首都カンパネラから約59.8kmに位置するルエロ県カサナにあります。ウガンダでは、北部にて政府と神の抵抗軍(LRA)との内戦が20年に及びました。現在、LRAは勢力を失い海外に拠点を移していますが、紛争はこの地域から始まり、周辺地域の開発が遅れているということす。スターリング小学校は、貧しい地方の子供たちに質の良い教育を提供する目的で、ベネディクトさん夫婦らが3年前に設置されました。学校に通えなくなる子供たち(特に女子)が多くいる中、より良い教師や経験豊富な理事たちを迎え、この小学校は地域にとって大きな存在意義を持っています。

SPJは学校への寄付ではなく、エコキッチン建築を学校側に申し出て、SPJ独自事業として行ってきました。この度、現地の窓口となってくださっているベネディクトさんから今年20222月初旬に嬉しい知らせが届きました。

子供たちが、2年間のロックダウンを終え学校に戻ってきたそうです。そして、エコキッチンが完成し、フル稼働しているそうです。子供たちが列を作って昼食を待っている写真を送ってくれました。


エコキッチン全景


昼食を楽しみに待つ子供たち


もうすぐ順番が来るよ!

エコキッチン内部

子供たちはもちろん、その両親も近代的なエコキッチンを大変喜んでくれているそうです。

 

昨年9月にお知らせした支援概要はこちらhttp://sdgspromise.org/?p=12213

 


トルコでのシリア難民・地元住民支援事業、目標の120%を達成

2021年7月にお伝えしましたように、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を得て、4月~7月まで「トルコ共和国における新型コロナ危機の影響を受けたシリア難民・ホストコミュニティへの衛生用品配布事業」をイスタンブールにて実施しておりました。この事業は現地のNGO(RA— Refugees and Asylum Seekers Assistance and Solidarity Association)と連携し、事業目的を「新型コロナウィルスの更なる感染拡大の予防とリスクの軽減」として、2つの目標(「衛生用品の配付」と「衛生啓発活動」)を設置しました。 このたび、イスタンブールで事業を管理したプロジェクトマネージャー片野田氏より、実施部隊を率いて多大な協力をくださったTahsin氏(RA所属)の写真と一緒に、目標以上の達成ができたという嬉しい報告が届きましたので、皆様へお伝えします。

現地提携団体「難民協会」(Refugees and Asylum Seekers Assistance and Solidarity Association) スタッフ Tahsin氏
「2021年4月から7月にかけて、トルコ最大都市イスタンブールのシリア難民が多く住んでいる地区「スルタンベイリ市」にて、新型コロナの感染拡大の影響で失業や給与カット等を強いられ厳しい生活を余儀無くされているシリア難民や地元の貧困者層の支援を行いました。合計3,000世帯へマスク・消毒液・ハンドソープ・清掃用漂白剤・トイレットペーパー等、コロナ対策と衛生的な生活に必要不可欠な衛生用品を配布しました。
衛生用品を渡す現地スタッフ
当初は2,500世帯への配布を目標としていましたが、予定よりも低価格で衛生用品を調達出来たため、より多くの難民と地元住民に支援を届ける事が出来ました。この支援により約1万8千人の方々が、一定期間コロナ感染対策を実施しつつ家庭の衛生状態を保つ事が出来ました。物資配布後のアンケートでも、99%以上の方々が「配布物の品質に満足した」と回答しており、お陰様で適切な支援が出来たと考えます。             
現地スタッフが厳選した衛生用品
長期にわたるコロナ禍で感染対策意識が薄れてきている中、今一度意識を高めていただく事を目的として、アラビア語とトルコ語の2言語で作った啓発チラシを用いて衛生啓発活動も実施しました。チラシは衛生用品と同時に配布し、手洗い・マスク着用・ソーシャル・ディスタンス確保の重要性等をリマインドしました。
衛生啓発用チラシ
トルコでは日本よりも新型コロナ感染者数や死者数が多く、厳しいロックダウン措置が取られていた時期もありました。ワクチン接種の普及により状況は徐々に良くなってきていますが、経済の悪化により難民や貧困層へのダメージは計り知れません。残念ながら日々の食料や生活用品でさえ満足に購入できない家庭がたくさんあります。まだまだコロナ禍は終わりそうにありませんが、この支援により弱い立場にある人々の生活再建に多少の貢献が出来たと思います。」 SPJとしても、引き続きトルコのシリア難民や貧困層へのサポートを心掛けて行くつもりです。皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願いたします。


トルコでシリア難民・地元住民支援事業を開始

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を得て、2021年4月より「トルコ共和国における新型コロナ危機の影響を受けたシリア難民・ホストコミュニティへの衛生用品配布事業」を開始しました。シリア難民や脆弱な地元住民に衛生用品を提供し、また衛生啓発活動を実施することによって、新型コロナウイルスの更なる感染拡大の予防とリスクの軽減に寄与する事を目的としています。

トルコの現地提携団体「難民協会」(Refugees and Asylum Seekers Assistance and Solidarity Association)の職員で本事業のプロジェクトマネージャー片野田より、現地イスタンブールからの報告です。

「我々「難民協会」は、SPJとパートナーシップを締結し、イスタンブールのシリア難民が多く住んでいる地区にて、今年4月から新型コロナの感染拡大の影響で、失業や給与カット等を強いられ厳しい生活を余儀無くされているシリア難民や地元の貧困者層の支援を行っています。約3ヶ月間かけて3,000世帯へマスク・消毒液・ハンドソープ・清掃用漂白剤・トイレットペーパー等、コロナ対策と衛生的な生活に必要不可欠な衛生用品を配布しています。この支援により約1万8千の方々が、約1か月間、感染対策をしつつ家庭の衛生状態を保つ事が出来ます。

トルコでは日本よりも新型コロナ感染者数や死者数が多く、非常に厳しいロックダウン措置が取られていた時期もありました。ワクチン接種の普及により状況は徐々に良くなってきていますが、経済の悪化により難民や貧困層へのダメージは計り知れません。日々の食料や生活用品でさえ満足に購入できない家庭がたくさんあります。実は、去年から本事業の策定を始めましたが、やっと支援を届ける事が出来ました。残念ながら、まだまだコロナ禍は終わりそうにありませんが、弱い立場にある人々の生活再建に少しでも貢献したいと強く思っています。

日本の方々の温かいご支援には、スタッフ一同とても感謝しています。今後ともトルコの難民や貧困層へのサポートをどうぞよろしくお願いいたします。」

Refugees and Asylum Seekers Assistance and Solidarity Association(難民協会)
プロジェクトマネージャー
片野田義人


難民居住区の様子を紹介します。

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)では2019年11月27日から2020年3月7日まで、ウガンダ北部ユンベ県のビディビディ難民居住区にて「ウガンダ北部における南スーダン難民への心理社会的支援強化事業」を実施しました。

今回の記事は、事業地のユンベ(ウガンダ北部)のビディビディ難民居住区における南スーダン人の日常生活などについて報告します。

まず、南スーダン人の難民居住区とはいえ、難民居住区内に一定の秩序があることに驚かされました。ビディビディ難民居住区は、5つのゾーンに分かれていますが、ゾーンことに難民居住区に住んでいる南スーダン人によって選挙で選ばれた代表者が一人ずつ配置されており、代表者が中心になって、各ゾーン内にある村々の住民の揉め事を仲裁したり、ウガンダの政府機関や難民居住区内で活動する国連難民高等弁務官事務所などの国連専門機関や国際NGOなどと調整を行ったりしており、難民居住区が南スーダン人の手によって統治されていました。私たちが活動しましたゾーン3の代表者は協力的な方で、心理社会的ワークショップの活動を行う上でとても助かりました。

さて、ウガンダの北部と南部では気候が違います。南部は雨が多く、雨期と乾期のサイクルも比較的はっきりとしているようで、北部は乾燥していて雨も少ないです。首都のカンパラ(南部)から事業地のユンベ(北部)まで車で約10時間かけて移動するとよく分かりますが、カンパラ近郊の緑と自然の多さは北上するにつれて少なくなっていき、北部では南部に見られない植生、例えばパームツリーがあちこちに自生しています。パームツリーは乾燥に強いのでしょう。南部では、移動中の車窓からマツの木が生えているのを見かけますが、北部ではほとんど見かけないマツの木が、標高の高いところで自生することが多いことを考慮すると、カンパラからユンベに北上するについて、標高が下がる、裏を返せば気温が上がっていくようです。実際に活動中、ユンベの高温と乾燥で喉がやられてしまうことが度々ありました。

そして、北部の高温や乾燥に対応するかのように、北部のウガンダコミュニティや南スーダンビディビディ難民居住区では風通しのよい茅葺き屋根と土壁で作られた家が建てられます。実際に、私も難民居住区にある茅葺き屋根の家の中に入って確かめてみました。すると、茅葺きと土やレンガでできた質素な建物ではあるものの、日中の暑さとは裏腹に建物の中は涼しく過ごしやすいです。ただ、建物は小さく、家の中に間仕切りのようなものもなかったので、家族や親族が生活しているとは言え、家の中で個々人のプライバシーを確保することは難しいと思いました。また、南スーダン人の住居に関して言うと、北部のアジュマニで活動されている京都の国際NGOテラ・ルネッサンスさんの活動を視察させて頂きました。テラ・ルネッサンスさんでは、職業訓練の一環として建物の建築材料であるレンガづくりを職人が南スーダン人に教えていますが、この家の建て方、例えば降水量の多い地域や乾燥地域、突風などの風の強い地域によって、レンガの組み方を工夫して、建物の強度を高めている(雨風に強いレンガの組み方など)とのことでした。これは地域に根付いている生活の知恵そのものであり、職業訓練を通して熟練の職人が若い世代に伝えていくものの一つです。一見すると、ビディビディ難民居住区にある茅葺き屋根の家屋はどれも同じような作りに見えますが、ゾーンや村々ごとにその土地や気候に合った工夫がされているかも知れません。個人的には、南スーダン人の衣食住に関わる興味の尽きない話題です。

ちなみに、事業地のユンベやアルアなどのウガンダ北部には、南スーダン人だけではなく、隣国のコンゴ民主共和国からコンゴ人が多く流入しています。ウガンダ人の話によると、ウガンダ北部で家を建てる場合は、家の建設コストを抑えるために、ウガンダ人がしばしばコンゴ人を建設作業員として雇うそうです。ウガンダで家の建設作業に従事するコンゴ人は、夜が明けるか否かの早朝、コンゴ民主共和国から国境を越えてウガンダにやって来ます。そして終日ウガンダで建設作業をして、その日のうちにウガンダからコンゴ民主共和国に帰ります。典型的な出稼ぎ労働者です。


ビディビディ難民居住区にある茅葺き屋根の住居の様子。
写真②ビディビディ難民居住区にある茅葺き屋根の住居の様子。
家の周りで子供たちが遊んでいる。

ビディビディ難民居住区には、国連機関や国際NGOが活動しています。一方で、多くの南スーダン難民は仕事をしていません。そのため、自らの収入で食糧を買うことができない南スーダン人への食糧援助は喫緊の課題ですが、ビディビディ難民居住区では、世界食糧計画が南スーダン人に定期的に食糧援助を実施しています。今回、私たちが実施してきた心理社会的ワークショップでは、教員とコミュニティリーダーを裨益者としました。それが、世界食糧計画による食糧援助と相まって思わぬ影響を出てしまいました。既に説明しました通り、ビディビディ難民居住区はゾーンが5つに分かれており、そのゾーン内に多くの村々があります。例えば、ゾーン1のビレッジ1は、月曜日から水曜日までの3日間のうちに、世界食糧計画が指定する食糧配布場所まで住民が食糧を取りに行くといった感じで食糧配布計画が複雑に組まれていますが、私たちの活動の裨益者としたコミュニティリーダーは、村の代表者であり、3日間のうち最初の月曜日に自分が食糧を受け取ったからと言って、その場を離れることはできないことを、のちに知りました。つまり、ゾーン1のビレッジ1のコミュニティリーダーであれば、食糧配布日となっている3日間全て、朝から晩まで村人が食糧を受け取りに来るのを全て確認(検収)する必要があり、この3日間が、私たちの心理社会的ワークショップや事業モニタリングの日程とダブってしまった場合は、コミュニティリーダーと会うことはできないということです。実際に、心理社会的ワークショップが終わった後に事業モニタリングを実施しましたが、各村を巡回するとコミュニティリーダーがいないことがままありました。これは、次回のビディビディ難民居住区でのプロジェクトで考慮すべき点です。

また、他団体の活動で印象に残ったこととして、どこの国の国際NGOか知りませんが(少なくとも、日本のNGOではなかった)、南スーダン難民の啓発活動の一環として、ビディビディ難民居住区(ゾーン3)で南スーダンの子供たちが自分たちの意見を書いたバナーを手にもってパレードする様子をドローンで撮影していました。南スーダンの子供たちが「We are same blood」「Give us better」「My tribe is South Sudanese」などのバナーを手にもってパレードしていたのには、心を打たれました。ちなみに、ビディビディ難民居住区での活動は、ウガンダ政府によって厳しく管理されており、ウガンダ政府から活動許可が下りないと活動することはできません。しかしながら、難民居住区で写真や動画を撮影することは意外と問題ないようで、ウガンダ人から「写真はOKだ」と軽いノリで言われましたので、活動期間中にたくさん写真を撮りました。

南スーダン人の子供たちによる啓発パレードの様子(国際NGOの活動)
南スーダン人への食糧配布の様子(世界食糧計画による)。

最後に、ビディビディ難民居住区にある小学校に通う子供たちの様子について書きます。今回のプロジェクトでは、教員及びコミュニティリーダー向け心理社会的ワークショップを学校で実施したため、学校の教育現場を視察する機会に恵まれました。小学校には普通の小学生に加えて、15歳とか20歳ぐらいの南スーダン人の小学生が普通の小学生と一緒に教室で授業を受けています。南スーダンでの紛争や迫害によって、教育機会を奪われてしまった人たちです。そういった人々の中には、例えば自分の息子(普通の小学生)と一緒に自分も同じ小学校に通って授業を受けている人もいます。紛争によって教育機会が奪われてしまうことは、その国の損失そのものです。

途上国の国際協力の全てが凝縮されているようなビディビディ難民居住区で多くの気づきと学びを得ました。

ビディビディ難民居住区にある小学校の授業の様子。

TPOUgandaと実施したメンタルヘルス講座をご紹介します。

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)では、2019年11月27日から、2020年3月7日まで、ウガンダ北部ユンベのビディビディ難民居住区にて「ウガンダ北部における南スーダン難民への心理社会的支援強化事業」を実施しました。

こんにちは。現地駐在員の飯田です。

今回は、私たちが心理社会的支援ワークショップの他に現地(ウガンダ)で実施した

メンタルヘルス講座についてご説明いたします。

始めに、私たちが現地で一緒に活動したパートナー団体(TPO Uganda)についてご紹介いたします。

TPO Ugandaは1994年に設立されたウガンダのNGOで、国内26のディストリクト(日本の県のようなもの)でメンタルヘルスや心理社会ケアを始め、HIV/AIDSの予防とケア、児童保護、元子ども兵士へのケア、災害対策、性暴力の抑止活動など、さまざまな分野で活動を行っております。

(団体の詳細な情報や各取り組み内容に関しては団体のホームページhttp://tpoug.org/をご参照ください)

今回、SPJの事業では、ビディビディ難民居住区で暮らす786名の難民の方を対象としたメンタルヘルスの基礎講座をTPO Uganda協力のもと実施しました。

TPO Ugandaから精神科臨床オフィサー(Psychiatric Clinical Officer)の資格をもつ職員Morren氏を講師として招聘しました。Morren氏はこれまでにもSPJ(MPJの時機も含め)が、3期の事業で毎回講師をして頂いております。今回は、1回につき50~70人の難民を対象に13回の講座を実施しました。

主な講座の内容は以下の通りです。

①ストレスや精神疾患の原因について

②ストレスや精神疾患に陥るメカニズムについて

③難民居住区内で起こりやすい精神疾患の種類とその症状について

④てんかんについて

⑤精神疾患に関する問題についての相談先、紹介先について

⑥リラクゼーション体操の紹介 1回の講座は約3~4時間程度で、難民居住区内の教会で実施しました。

会場の様子

難民の方の中には、学校で教育を受けたことのない方も参加しておりました。

そのため、ただ説明をするだけでは理解が難しい内容も多いため、積極的に参加者の方々に質問を投げかけたり、時にはデモンストレーションを行うことで、視覚的にわかりやすいように工夫をしました。 下の写真はストレスや精神疾患に陥るメカニズムを説明する際、参加者の方に「状況」「思考」「感情」「行動」についてどのように変化するかを説明した時の様子です。

精神トラブルのメカニズムを紹介する講師

精神的な問題が生じる際、「状況」によって私たち人間は「思考」をし、その「思考」をもとに「感情」が生まれます。その「感情」によって「行動」に変化が生じ、その結果また「思考」をし、「感情」→「行動」→「思考」のサイクルを繰り返します。

いつも架空の人物を例に、とある状況を例に具体的な説明を加えます。

例えば、「失業した」という状況を例に、もしAさんがそのことで「私は社会に必要とされていない」という思考を持ったとすると、「辛い、悲しい、孤独感」といったネガティブな感情が生じます。そして、その感情により「周囲に対して攻撃的になったり、関わりを断とうとする」という行動を起こします。すると周囲もAさんとの関係が希薄になり、あまり協力的ではなくなり、時には村八分のようになってしまうかもしれません。

ここで、Aさんはさらに「周囲は自分のことを理解してくれない」と考え、「怒りや孤立感」を感じ、「周囲に攻撃的な態度をとる」という行動に出る、そしてまた悪い思考が生まれ…とこの負のサイクルを繰り返し、どんどん追い詰められ、最終的に精神的な問題を抱えることになります。

同じ「失業した」という状況でBさんは「これはもしかしたら新しいことに挑戦するいい機会かもしれない」と思考したとします。すると、「挑戦心や、わくわく感」などの感情を生み、「周囲への積極的なかかわり、情報収集」という行動を起こします。その結果、周囲のサポートを得られ結果的に前向きな正のサイクルが生まれます。

このように、精神的な問題の根源は状況や感情そのものではなく、状況に対して自分がどう考えたかという「思考」の部分にあるのだと説明をしました。

このように、文章で表現すると難しい内容の話も多いですが、実際の例を用いて話し、さらには、「何が原因だと思うか?」「どのような症状があるか?」「どうすればよいと思うか?」など、参加者に積極的に質問をすることで、どの会場でもとても積極的な姿勢で参加されてる方が多かったのが印象的でした。

メモを取りながら講義を受ける参加者

その他に私が特に印象に残ったのは、この講座で「てんかん」を1つの大きなトピックとして扱っていることです。

日本でもてんかんを持っている方はいますが、難民居住区ではかなりの頻度でてんかんの患者を見かけます。

てんかんの原因となる脳への損傷という部分で、マラリアの罹患率が高く脳性マラリアに罹る方が多いこと、交通事故が多いことなどの理由で、てんかんに罹る確率が日本より圧倒的に多いことが原因だと個人的に推測しています。

実際に、55人程度が参加したとある日の講座で「てんかん患者を実際に見たことがある人?」と尋ねると、実に7割以上の人が手を挙げました。

そして、問題はてんかんに対する知識が不足していることです。

多くの難民のみなさんは、てんかん患者の唾液や血液に触れるとてんかんがうつると誤解していたり、舌を噛まないように発作時に金属スプーンや木の枝をくわえさせたり、時にはてんかん患者には悪い何かが乗り移っていると考え、おまじないを唱えたり…という様々な誤解や誤った対応、偏見がみられます。

そのため、TPO Ugandaでメンタルヘルス講座を行う前に打ち合わせを行った際に、てんかんというトピックは必ず入れたいという意見を講師よりいただきました。

実際に講座が終わった後に参加者に感想を尋ねると、

「これまでてんかんはHIVのように感染するものだと思っていたので驚いた」

「周りもみんなうつると言っている、今でも完全には信じられないぐらいの衝撃的な話だった」

「周りのみんながてんかん患者に触ってはいけないと誤解しているので、帰ったらさっそくみんなに正しい知識を伝えたい」

といった感想が出てきました。

13回のうち、ランダムに数回実施した理解度テスト(講座の開始前と終了後に実施)では、75%以上の参加者のスコアが向上していました。

参加者の感想の中でも、

「私たちは南スーダンで様々なトラウマをかかえ、精神的なストレスを日々感じて過ごしてきたが、今日の講座を聞くだけでも、前向きな気持ちになれた」

「またこのメンタルヘルスの内容の講座を聞きたい」

「今日この講座を受けられていない人がたくさんいるので、自分が学んだことを伝えたい」

という感想や意見をたくさんいただきました。

南スーダン難民の皆さんの中には、目の前で大切な人を亡くしたり、自らの命の危険を感じる場面に遭遇した方もたくさんいらっしゃいます。

ビディビディ難民居住区内においても、食糧支援、医療的な支援、教育支援等、様々な支援が今も続けられていますが、目に見えない精神的な疾患や問題に対する支援は不足し、現場でのニーズの高さも感じました。

このような支援を行う上で、地元の方々の現状、考え方、文化的な背景を理解しておくことは非常に大切なことです。そのうえで、難民の方々が理解しやすく、かつ積極的に参加できるような講座を実現するために、TPO Ugandaのこれまでの実戦経験や現地で培った様々なノウハウは事業を進めるうえで必要不可欠なものでした。

メンタルヘルス講座は2月26日に最終回を迎え、計13回の講座を終了し、786名の難民の皆様に参加していただきました。

参加された方々が学んだことをコミュニティの中で伝えて下さり、精神的な問題で悩む1人でも多くの方の力になってくれればと願っています。

リラクゼーション体操の様子