フィリピン・リマサワ島へのスーパー台風オデット 災害支援事業の新たな展開

本年2022年3月から、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)が株式会社ココウェルのご協力を頂き実施している、フィリピンスーパー台風ライ(現地名:オデット)の災害支援事業について、6月から新たな展開がありました。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)からご支援をいただき、「南レイテ州リマサワ島における住環境改善事業」として上記のSPJ独自事業に加え、リマサワ島でより多くの仮設住宅を建設できることになりました。事業期間は、6月15日から9月6日。

昨年12月のオデット台風に続き、4月に起きた熱帯低気圧アガトンの影響で、SPJ独自事業も遅れが生じています。そのような 環境下でしたが、JPFのご支援の下、レイテ本島から招致した大工さん(有償)、フィリピンンの陸軍派遣の大工さん(無償)、現地警察が本島から招致した大工さん(有償)も加わり、6月から事業が進展しました。

リマサワ島町役場の協力を得ながら、SPJの国際スタッフ、現地スタッフが現場監督としてスケジュール管理などを行い、最終的には町役場所属のエンジニア(建築家)が完工検査を行い、町役場として仮設住宅がミニマムスタンダードに沿って建設されていることを第三者の専門家として確認・保証していただきました。

円安の影響による建材価格の高騰により、建設数を当初予定していた39軒から38軒に減らすことになりましたが、町役場所属のエンジニア助言のもと、残った予算を使い仮設住宅基礎部分のコンクリートを補強し、仮設住宅の耐久性を強化することもできました。

そして、ようやく8月30日に住人、町長はじめ町役場関係者や陸軍、警察など建設に関わった方々を招き、仮設住宅引渡式を行うことができました。

リマサワ島からSDGs・プロミス・ジャパンに対して感謝状もいただきました。

リマサワ島の一部の方々ですが、仮設住宅をご提供できた事を、SPJスタッフ一同喜んでおります。SPJ独自事業についても、一刻も早く完了させるべく努力を続けて参ります。

リマサワ島支援事業報告1=> http://sdgspromise.org/?page_id=12527
リマサワ島支援事業報告2=>  http://sdgspromise.org/?page_id=12575


SPJ、フィリピン・レイテ島へのスーパー台風オデット 災害支援事業を開始

昨年20211216日から18日にかけて、フィリピンをカテゴリー5(最大風速68/秒)の大型台風ライ(現地名:オデット)が横断しました。 

中部と南部を中心に被害は広がり、被災者は20221月時点で約800万人に上りました。2013年に襲ったスーパー台風ハイエンの際の死者数6,300人に比べ、死者数は405人に留まったのは、当時の経験を踏まえて政府が早期に避難指示を出し、また高潮被害も少なかったためと思われます。その一方で、家屋倒壊数は2013年時の20万軒を上回る140万軒で、1月時点で約20万人が避難生活を送っていました。少しずつ避難生活を送る方の数は減ってはいるようですが、2月でも約13万人が不便な生活を強いられていました。

被害を受けた南レイテ島の空撮
被害地域は、セブ、ボホール、スリガオ、南レイテと広範囲の島に及びました。支援は、人口が多く現地のNGOの数も多いセブ島を中心に行われているため、最も被害が大きい一つと言われている南レイテ島では支援が遅れています。更に、南レイテはラニーニャ現象による豪雨に見舞われ、家屋の損害が甚大で避難所に収容しきれない避難者が、豪雨の中での屋根のない環境での生活を行うことで、被災者の状況は更に悪化しています。

レイテ島南沖に浮かぶ直径約10キロメートルの孤島リマサワ島の様子

リマサワ島の集落全体がテント村のような状態
 SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、201312月のスーパー台風ハイエンの際に、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を得て、レイテ州タバンゴ町にて6校の仮設教室を建設しました(20145月)。支援事業を担当した赤坂友紀さん(当時SPJ国際派遣スタッフ)が、その後も個人的に日本から継続して現地の貧困支援・交流を行っていました。ちなみに、レイテ島は第二次世界大戦の激戦地であり、8万人以上の日本軍兵士が戦死、病死、餓死し、現在でも島内のいたるところに日本人兵士の慰霊碑が残る地域です。

過去にSPJからの支援経験があり、歴史的な所縁も深いレイテ島でのオデット台風の被害に関して、再び赤坂さんを通じて株式会社ココウェルや現地プロジェクト推進者との協働をセットアップさせていただき、支援の開始を行うことになりました。限られた予算をどのように使うか、現地調査後、家屋の再建ニーズが高い事が判明しました。最貧困家庭に対しての支援となりますが、今後も進捗状況をお知らせいたします。


【第37回SPJ研究会】マラウイ被災支援・駐在員帰国報告会を実施しました!

去る11/7(木)、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」における駐在員帰国報告会を実施しました!!

SPJではジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、今年3月にサイクロン・イダイによる洪水の影響を受けたマラウイのゾンバ県において、5月~7月、8月~11月の二期に分けて、食糧配布支援とリカバリー物資の配布を実施しました。本報告会では事業での裨益者選定から物資の調達・配布・モニタリングまでの内容や、苦労した点、現地の状況等を濱田・飯田両駐在員より報告しました。

報告会の様子

講演時間は1時間程でしたが、写真や動画を多く用い、裨益者選定時のワークショップの様子や、物資配布時のトラブル等、現地の実際の状況が詳しく伝わるように心がけました。参加された皆様のアンケートからは「普段はあまり聞けない現地の経験や生の声を聴けて勉強になった。」「現場での詳しいお話を聞けて非常に重要な機会になりました。」といった声を聞くことが出来ました。

1期目の事業の様子を説明する駐在員・飯田
1期目の反省点をどのように2期目に活かしたのか説明する駐在員・濱田

SPJは今後もこのような研究会を実施していきたいと思います。

下記に本報告会の様子をアップロードしております。ご都合が悪くご参加出来なかった方はこちらをご覧下さい。

報告会で使用されたスライドはコチラ↓

20191107マラウイ被災支援帰国報告会資料-1-29

20191107マラウイ被災支援帰国報告会資料-30-60


マラウイサイクロン被災支援事業を振返って

SPJではジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、マラウイの大洪水被災者支援として、2019年5月17日から7月22日にかけて「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への緊急物資配布事業」(第1期)を実施し、8月9日から11月8日にかけて「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」(第2期)を実施しました。

 2019年3月4日に発生しましたサイクロン・イダイによってゾンバ県では家屋が倒壊したり、作物が流失したりするなどの大きな被害が出ました。そこで、SPJでは約5カ月間(第1期+2期)、ゾンバ県でマラウイサイクロン被災支援事業を実施しました。ゾンバ県に現地駐在員が赴き、実際に半倒壊した家屋を確認しましたところ、被災者宅はトタン屋根やレンガ造り、木造作りの簡素な家が多く、サイクロンで屋根が吹き飛んでしまったり、壁が崩れたりしていました。また、サイクロンでメイズなどの作物が流出してしまいました。さらに、場所によっては元々土地が痩せており、作物が育ちにくい所も散見されました。

サイクロンで屋根が崩れてしまった被災者宅

サイクロン被災者の衣食住に関わる基本的な生活を維持するために、現地で食糧支援などの緊急援助の必要性を強く感じましたが、毎年サイクロンがやって来ることが分かっている状況の中で、どのようにして住民が主体的にサイクロンの災害に対応していくのかも課題であると実感しました。そのような状況で、第二期目からはメイズや米、豆などの約1カ月分の食糧をNkapita の被災1,060世帯に配布したことに加えて、屋根の補修材としてターポリンとブランケットをMwambo の被災550世帯に配布できたことは良かったです(1期目の事業では、裨益者に食糧物資のみを配布)。また、ターポリンの配布前には裨益者550世帯を対象にしたワークショップも開催し、ターポリンの活用方法の検討や今後サイクロンが発生しました時の避難経路などを確認することができました。日本国内のNPO法人の活動でも課題となっていますが、地域コミュニティへの一方的な援助はむしろ弊害になることも多く(住民の主体性が育たない)、そこに住む住民が地域に対して責任を持ち、地域の問題や課題を住民の手で解決していく姿勢を養うことが大切です。ワークショップでは、裨益者と一緒にサイクロン災害時の防災マップを作製し、サイクロンで洪水が発生する場所を確認したり、洪水や暴風雨にも負けない頑丈な建物に避難するためにはどの経路を歩いて行けばよいのかを確認したりするなど、サイクロン被災時に住民が主体的に動ける一助となるようなワークショップを心掛けました。

Mwamboでのワークショップの様子(防災マップ作成)

 国際NGOの現地駐在員の魅力の一つは、現地の人たちと一緒に仕事したり活動したりする中で、現地の人たちの価値観や考え方、生活などに直接触れることができる点です。事業モニタリング中(2期目)にこんなことがありました。

 ゾンバ県のMbukwiteのMatwika村の裨益者が、村長から食糧物資の半分20kg(メイズ12.5kg、米5kg、豆2.5kg)を許可なく没収されてしまい、村長が村にいる他のサイクロン被災者に食糧物資を配布するという問題が発生しました。そのため、裨益者からVCPC Chairman(地域コミュニティの取り纏め役)に連絡がありましたので、Mbukwiteの群長及びVCPC Chairman及びVCPCメンバー、Matwika村の村長と裨益者を招集し、コミュニティ会議を開催しました。この会議の席上で村長は自らの非を全面的に認めて、10月18日(金)に村長自らがメイズ12.5kg及び米5kg、豆2.5kgを購入し、裨益者に賠償しました。また村長から裨益者への食糧物資の引渡しは、私と現地スタッフ、GVH(群) Mbukwiteの群長及びVCPC Chairman、VCPCメンバー立会いの下で実施されました。

村の係争案件がどのように処理されているのか。このようなコミュニティ本位の活動に直接的に関わることができるのは国際NGOの現地駐在員の仕事の醍醐味だと考えています。

村長から賠償の食糧物資を受け取った裨益者と立会人の一人(現地スタッフ)
食糧物資の引渡しをもって村長と裨益者との和解が成立した。写真左が立会人の一人である
VCPCメンバー。中央が村長。VCPCメンバーと握手しているのが裨益者

今回のマラウイサイクロン被災支援事業では、事業モニタリングを通して多くの裨益者からヒアリングしました。さらに事業モニタリングでは、次の事業に繋がる現地ニーズもヒアリング調査しました。またゾンバ県で事業を実施する機会がありましたら、事業モニタリングで集めました住民の声(ニーズ)もしっかりと事業に反映できればと思います。

ターポリンとブランケット配布時に裨益者とスタッフの集合写真

最後になりますが、約5か月間にわたり、ご協力頂きました関係者の皆様並びに、ご応援頂きました皆様へ感謝を述べたいと思います。

本当にありがとうございました!!


裨益者への食糧・支援物資の配布及び事業モニタリングが終了しました。【マラウイ・サイクロン被災支援(第二期目)】

SPJでは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、8月9日から11月8日まで「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施中です。

こんにちは。現地駐在員の濱田と飯田です。

 9月27日(金)から10月7日(月)にかけて、ゾンバ県内のT/A (地区)MwamboとT/A Nkapitaの2地区を対象に、サイクロン洪水被災者に食料・支援物資を配布しました。具体的には、T/A Mwambo の550世帯に対してターポリン(サイクロンで半倒壊した家屋の補修材)と毛布を配布すると共に、T/A Nkapita の1,060世帯に対して、メイズ25kg及び米10kg、豆5kg(約1カ月分の食糧)を配布しました。今回は2期目のサイクロン被災支援事業ということあり、私たちや現地スタッフも仕事の段取りが分かっているので(2期目も1期目の事業で雇用した現地スタッフを同じく採用)、食糧・支援物資の配布前の準備(裨益者リストの作成など)や配布日当日の対応などをスムーズに行うことができました。

T/A Nkapita GVH (群)Mbukwiteでの食糧物資配布の様子
T/A Nkapita GVH Masaulaでの食糧物資配布の様子
T/A Nkapita GVH Fikilaでの食糧物資配布の様子
T/A Mwambo GVH Makawaでの集合写真
T/A Mwambo GVH Mbaluでのターポリン及びブランケット配布の様子

事業モニタリングは10月8日(火)から10月22日(火)にかけて実施し、T/A MwamboとT/A Nkapitaの裨益者から現地で直接ヒアリング調査しました。結果として、モニタリングを299件(T/A MwamboのMakawa28件+Mbalu31件及びT/A NkapitaのMbukwite49件+Fikila16件+Masaula29件+Balamanja35件+Nkasala15件+Mwangata45件+Kapalasa51件)実施することででき、JPFへの事業申請時のモニタリング目標総数250件を大幅に上回ることができました。

 裨益者からは「(配布された食糧が)生活の糧になっており、大変感謝している」や「早速、ターポリンを屋根に設置した。大変役立っている」などのサイクロン被災支援事業に対する良い評価を頂きました。一方で、裨益者から「(裨益者の扶養家族数が多いため、配布された)メイズ及び米、豆を既に食べ尽くしてしまった(もっと食糧が欲しかった)」や「この辺りの土地は痩せており、(食糧に加えて)肥料が欲しかった。また家畜(ヤギ)があれば、繁殖して現金収入が見込める」などの意見もあり、依然としてゾンバ県内のサイクロン被災者の生活環境は厳しく、引き続き支援が必要だと感じました。

事業モニタリングの様子(T/A Nkapita)
事業モニタリングの様子(T/A Mwambo) 裨益者が配布されたターポリンを自宅の屋根に
設置しているところ
事業モニタリングの様子(T/A Mwambo)ターポリンが設置された裨益者宅
裨益者宅(写真8)を内部から撮影。 ターポリンがどのように使用されているのかがよく分かる

マラウイはちょうど今暑い時期で、朝から晩まで事業モニタリングで裨益者宅を一軒一軒訪問するのは大変な作業でした。現地スタッフの体調管理が気になったので、毎日、エネルギー補給と水分補給を兼ねて現地スタッフにコカ・コーラなどの清涼飲料水を持たせました。また写真10は、事業モニタリング中に撮影しました。型典型的な栄養失調の子供たちです。私は途上国での生活が長く、多くの子供たちと遊んできましたが、こんなにお腹がポッコリと出ている子供はあまり見かけません。先日、空腹の子供たちが道端に捨てられたお菓子(ポテトチップスやビスケットなど)の入っていたビニール袋を拾って、袋の内側を舐め回している姿を見かけました。食に飢えるのは本当につらいことです。ゾンバ県での継続的な食糧援助の必要性を強く感じました。 今後は事業地のゾンバ県からリロングウェに戻り、活動報告書を作成したり、関係機関に事業終了の報告をしたりと、帰国に向けて準備します。

マラウイの栄養失調の子供たち

マラウイサイクロン被災支援(第二期目)が始まりました!

SPJでは8月9日から11月8日まで「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施中です。

こんにちは。現地駐在員の濱田と飯田です。

前回事業の「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への緊急物資配布事業」(5月17日から7月22日まで実施)に引き続き、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施しています。

今回の事業では、マラウイ南部を襲ったサイクロンで被災度が大きくまだ十分に支援が行き届いていないゾンバ県内のT/A (地区)MwamboとT/A Nkapitaの2地区を対象に洪水被災者に食料・支援物資を配布します。具体的にはT/A Mwambo の550世帯に対してターポリン(サイクロンで半倒壊した家屋の補修材)と毛布を配布すると共に、T/A Nkapita の1,000世帯(配布世帯数を増やす方向で検討中)に対しては、メイズ及び米、豆(約1カ月分)を配布します。

 もう既にT/A MwamboとT/A Nkapitaの関係者への事業概要説明(8月27日から9月2日まで実施)が終わり、9月4日から9月12日にかけてT/A MwamboとT/A Nkapitaの各GVH(群)で裨益者選定会議を開催しました。裨益者選定会議では、各GVHの村長と住民を集めた全体会議を開催し事業概要を説明した後に、村ごとに分かれて村会議を開催してもらい、食糧・支援物資の配布対象となる候補者リストを村ごとに作成してもらいました。各村から回収しました候補者リストを基に、こちらで候補者の中から裨益者を選定します。

T/A Nkapitaでの事業概要説明会の様子。

また、T/A MwamboとT/A Nkapitaはサイクロンで大きな被害を受けたため、国際機関のWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossなどから既に食糧・支援物資が配布されています。そこで、現在、各村から回収しました候補者リストの中にWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossから食糧・支援物資が配布された裨益者が含まれていないかどうか確認しているところです(既に食料・支援物資が配布された裨益者については、今回の事業の裨益者から除外)。

T/A Nkapitaでの事業概要説明会の様子

現在、T/A MwamboとT/A Nkapitaの洪水被災者への食糧・支援物資の配布に向けて裨益者リストを急ピッチで作成しています。しかし、マラウイ人の名前は私たち日本人には馴染みのないものが多く、例えば名前の最初のスペルがNやMで始まったり(Nhkomaなど)、人によって名前の表記が違ったりして、裨益者リストを作るのに苦労しています。特に、各村から回収しました候補者リストの中からWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossからこれまでに食糧・支援物資が配布された裨益者を除外する作業と、実際に裨益者を一人ずつ裨益者リストに記入する作業に時間がかかっていますが、活動スケジュールに沿って期限までに裨益者リストを仕上げる予定です。

T/A Mwamboでの裨益者選定会議(全体会議)の様子。
T/A Mwamboでの裨益者選定会議(村会議)の様子。

 今回は2期目の事業ということもあり、仕事の傍ら、これまでにマラウイで見聞きしている不思議な事や疑問点を、事業が終わるまでに自分なりに解決できるように努めています。一例を挙げると、ゾンバ県で裨益者選定会議を開催した時に、貧しい村では有り得ないほど立派なイスラム教のモスク(礼拝所)が建設されていました。そのモスクを詳しく調べてみたところ、中東のカタールからの援助によってモスクが建設されたことが分かりました。マラウイではキリスト教の信者数が最も多いようですが、イスラム教などの他宗教も見受けられます。イスラム圏の中東諸国の潤沢なオイルマネーがイスラム教を維持・拡大するために、このような形で途上国に入流していることに驚きます。

裨益者選定会議への参加者の一人。 マラウイではハンドルの近くにペダルが付いている自転車に
乗る人もいる。腕力に自信があれば乗りこなせる。
]裨益者選定会議の会場近くで牛飼いと遭遇。 マラウイの物価は安く、農家の話によると、
牛1頭約1万円で購入できるそうだ。

今後も裨益者の選定作業を進める共に、支援物資の一つであるターポリンの活用方法について知らせるため、ターポリンを配布する550世帯を対象としたワークショップを開催します。食料・支援物資の裨益者への配布に向けて一層の努力をしようと思います。


マラウイサイクロン被災支援が終了しました!

現地駐在員の濱田と飯田です。 SPJではジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、5月17日~7月22日までの期間において「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への緊急物資配布事業」を実施しました!

事業地のゾンバ県において、T/A(地区)MwamboとT/A Ngweleroの11GVH(群)の洪水被災者約3,000世帯を対象に、食糧・支援物資を配布しました。この緊急物資配布事業では、現地で住民に事業について説明したり、協同組合から食糧・支援物資を調達したりと、食糧・支援物資を配布し終えるまでに色々と苦労しましたが、何とかプロジェクトを終えることができました。

裨益者に食糧・支援物資を配布していて興味深かったのは、約40キログラムもある食糧を入れた重い縄袋を裨益者が家族や友人などと協力して、村まで持って帰っていることでした。裨益者の中には、村から食糧・支援物資の配布場所まで、片道約1時間かけて歩いてくる人もいます。そういう状況の中で、例えば、昔ながらの自転車を村人から借りて、自転車の荷台に縄袋2つ(約80キログラム)を積んで村まで支援物資を持って帰った裨益者や、高齢の裨益者は、村に住む家族や友人・知人に支援物資を運んでもらっている様子が見受けられました。日本でも昔当たり前のように見受けられた「共助」の仕組みが、各村にまだ根付いていることを改めて確認できました。また、どこの村にも面倒見のよい世話好きのおばさんがいるものです。そういった人たちは、裨益者に食糧・支援物資を配布していると、こちらから頼んでもないのに、ニコニコと楽しそうに食糧・支援物資の配布を手伝ってくれました。

配布受付に並ぶ人々と受付を終え待機する人々

また、食糧・支援物資の配布自体は、黙々と進める作業でしかないのですが、時折、支援物資を渡した裨益者から「神のご加護がありますように」と言われハッとします。裨益者の各村を巡回していると、イスラム教の礼拝所(モスク)やキリスト教の教会をよく見かけます。以前に『聖書』やイスラム教の聖典『コーラン』を読んだことがありますが、それらの経典の中で他者を助けることについて教示されていることは、村人の共助の実践にもつながっているようです。

食糧・支援物資の配布の様子
食糧・支援物資の配布の様子

食糧・支援物資を被災者に配布後、現地の村々を回って、実際に食糧・支援物資が使用されているかどうか、確認して回りました。事業のモニタリングです。配布されたメイズや米、豆などの日々の食卓に並ぶ食糧や食材の多くが既に消費されており、またモリンガパウダーも人気のようで使い切ってしまった世帯が多かったです。

洪水の被害で、裨益者の家は半倒壊しており、家に屋根がなかったり、家の壁が崩れたりしています。そんな防犯上問題のある家で、一体どうやって食糧・支援物資を保管しているのだろうかと疑問に思っていました。ある裨益者宅では、家の屋根が全くなかったのですが、屋根のない部屋には、ゴミが大量に散乱しており、そのゴミにカモフラージュさせるかのようにして、食糧・支援物資を保管していました。「支援物資はここにあるよ」と裨益者が説明して、ゴミの中から支援物資を取り出すまでは、支援物資のありかに気づきませんでした。厳しい状況の中でも、色々と工夫しているようです。  

裨益者の村と村との距離は遠く、村から別の村に移動するのに、徒歩で片道約1時間、往復で約2時間かかるところもありました。村に行く途中、炎天下の影響もあり、私たちも現地スタッフも体力が削られていきます。村に続くあぜ道では、マラウイ人の牛飼いやヤギ飼いと彼らが持つたくさんの牛やヤギたちに、私たちは追い抜かれていきました。結局、約2時間歩いても、たった5件の裨益者のモニタリングしかできませんでした。このように事業モニタリングは非常に難しいことがわかりました。この反省点は次期事業で活かしていきたいと考えています 。

モニタリングの様子
モニタリングの様子

食糧・支援物資の配布に伴い、T/A Ngweleroで在マラウイ日本国大使館の職員やDistrict CouncilのCommissionerなどをお招きし、食糧・支援物資の引渡し式(式典)を開催しました。式典当日、裨益者の皆さんが大使館職員などの参加者を歓迎するために、歌や踊りを披露して下さり、深く印象に残りました。感謝の気持ちを表現するために、歌や踊りを披露することは、多くのアフリカやアジアの国々で見受けられます。

引渡し式(式典)の様子

今回の被災者支援では私たちにとって初めての緊急支援だったため、様々な過程で困難がありました。しかしながら約3,000世帯もの被災者へ食糧を配布したことは私たちにとって大きな糧となりました。次の事業でも引き続きこのマラウイの被災者支援を行いますのでご支援ご協力の程お願い致します!


フィリピン・レイテ島仮設教室 2年後の様子

本日は2014年にフィリピンにて実施した仮設教室建設事業の現在の様子をお伝えします。

フィリピン・レイテ島の北西部タバンゴ町では2013年11月に発生したハイエン台風により甚大な被害を受けました。
(詳細は視察時のレポートをご参照ください。 http://sdgspromise.org/archives/6288)
そこで、ミレニアム・プロミス・ジャパンでは、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、全壊した公立小学校6校(Colonia, Inangatan, Kawayan, Tabango Central, Tabayla, Tahad)を対象に、仮設教室の建設を実施しました。

画像は、当時の現地派遣スタッフの赤坂が先日、タバンゴ町を再訪した際に撮影makeshiftしたものです。

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ドアをつけるなどの改装をしながら、生徒会を中心に利用してくれているそうです。

MPJは今後も、現地の人々に本当に必要とされ、長く効果のある支援を実施します!


マラウイの一村一品運動(OVOP)

OVOPの活動 ~マラウイの地域生産品と共に成長する~  
―マラウイ現地新聞に掲載したOVOP記事広告(2015年9月10日掲載)より―
オイルを渡す西岡大使ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)は、2008年4月に設立された日本を拠点とする非営利団体で教育、食料、物質的援助そして災害の影響を受けた全世界の発展途上国の災害対応に携わっている。この組織は、長年に渡りサハラ砂漠以南のミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)を支援している。2014年から2015年にかけての雨季にマラウイで起こった洪水により、多くの家屋と穀物が押し流されるという災難がマラウイの人々に襲い掛かかった事実を受け、MPJは、日本政府から資金提供を受けている日本の組織であるジャパン・プラットフォーム(Japan Platform)と共同して、マラウイの水害被災者を支援することを決めた。MPJは、ゾンバ(マラウイ南部州に属する県)とムランジェ(マラウイ南部州に属する県)の特定の地域の水害被災者を救援物資で援助しようと考え、同時に地元で生産された製品を促進することを願った。

OVOPショップMPJは、数ある試みの中でも特に、マラウイの一村一品(OVOP)プログラムと連携した。OVOPは各地域社会において、地元で手に入る資源に価値を付加することによって、地域の農家の生活を改善しようと努めている政府のプログラムである。現在、OVOPは111の協同組合を支援しており、そのうち55以上の生活共同組合は、市場に製品を出している。生産されている製品は米、調理用油(ヒマワリとピーナッツ)、モリンガ石鹸、バオバブオイル、蜂蜜と大豆製品などである。
この役目に選ばれたOVOPグループは、ドーワのムチンジ(マラウイ中部州に属する県)と、マディシ(マラウイ中部州に属する町)の農産加工者団体と、カムウェンドとザイラセンベのクッキングオイル協同組合だった。それらの協同組合によって生産された調理用油は、より多くのビタミンを維持するコールドプレス製法を用いて生産されるので、他の調理油の製法と比べると、非常に栄養価が高い。MPJは、リロングウェ(マラウイの首都)を拠点とするサンシードオイル有限会社から調理用ヒマワリ油を調達した。この会社は、地域の原材料を使用し、マラウイの人々を1000人以上雇用している。
MPVプロジェクトは、ゾンバの水害多発地域での水害被災者を援助するだけでなく、同時にそれらの生活協同組合が拠点としている村の地域の生産者に力を与えている。生活協同組合は、ヒマワリの種を売る地元の農家にとって既存市場の役割を果たしている。MPJの水害被災者への寄付の連鎖反応はそこで終わらず、生活協同組合のメンバーがMPJに加工ヒマワリ調理用油を販売すると、彼らにお金が渡り、その後そのお金は、国内のニーズに応じるために彼らが使用するお金(例えば、子供の学費、家のトタン屋根、など)となる。このように、MPJは、マラウイの人々が支援を必要としている時に手を差し延べたので、高く賞賛されている。MPJはこの取り組みを通して、洪水被災者と地域の生産者を援助している。また、そうすることにより、地域経済の成長を促進している。「kupha mbalame ziwiri ndimwala umodzi」これはマラウイ現地の言葉であるチェワ語で、文字通り一石二鳥(一つの石が2羽の鳥をしとめる)を意味する。OVPOとして私達は、地域で手に入る資源への価値の付加と市場連携によって地域経済を促進させるために、この取り組みを強く勧めている。皆で必要なものを地域で集めよう、マラウイ人として共に成長するため互いに助け合おう!マラウイの製品を買おう!
(MPJ事務局注)マラウイの一村一品運動(OVOP)は国際協力機構(JICA)の協力によって運営されています。
写真上は、支援物資のOVOP製造調理用油を被災者に贈呈する西岡周一郎駐マラウイ日本国大使、
写真下は、OVOPショップを視察するMPJユース(2015年3月)。
【MPJ事務局より】上記の翻訳は、ECC国際外語専門学校の学生さんらのご協力をいただきました。ありがとうございました!
翻訳:
ECC国際外語専門学校総合英語コース翻訳専攻1年
小股敦貴さん、西井優佳里さん、濱渦麻里菜さん


マラウイは自立できる!

挨拶される駐マラウイ日本大使・西岡周一郎閣下
挨拶される駐マラウイ日本大使・西岡周一郎閣下

日本政府「マラウイは自給できる」
― 2015年9月7日掲載のマラウイ現地新聞「THE NATION」記事より ―
2015年9月4日金曜日、ゾンバ県のクントゥマンジ地域にあるチランガ小学校にて、日本政府がミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)を通して、今年(2015年)初めの洪水と干ばつの被害にあった1,370世帯に食糧支援物資を寄付したとき、西岡周一郎駐マラウイ日本国大使は、「食糧や他の生産物の革新的かつ持続可能な生産方法を大規模に導入できるなら、マラウイは自給できるだけの可能性を秘めています。」と述べました。 インタビューの中で大使は、「日本もまだ4年前に起こった地震と津波から復興している途中であるように、災害からの復旧と復興にはたいていの場合多くの時間を要します。マラウイの被災者たちは、避難所から出た後も復旧のための援助を総体的に必要としています。」と述べました。 また一方で、大使は、村人に配布した食糧は地元で購入したものであるということに喜びを表し、「ここで配布したすべての食糧は現地で調達しました。日本政府と他の出資者たちが地域の食糧生産量を最大限に引き上げると、マラウイ経済と食糧安全保障は劇的に変化するでしょう。」と発言しました。 災害対応・復旧担当局長のScholastica Chidyaonga氏は、日本政府が行なった寄付を高く評価し、他国政府に今も援助が必要なこの水害の被災者に関して日本政府に倣うことを強く求めました。
【MPJ事務局より】上記の翻訳は、ECC国際外語専門学校の学生さんらのご協力をいただきました。ありがとうございました!
翻訳:
ECC国際外語専門学校総合英語コース翻訳専攻1年
直原望さん、吉田美咲さん