【開催報告:記者会見】隈研吾氏 とSDGs・プロミス・ジャパン: ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業に着手

以前からこのサイトでもお伝えしております本件について、2023年4月24日(月)に記者会見(@海運クラブ)を開催いたしました。

■リリース記事PDFはこちら

当日はジェネヴィーヴ・エドゥナ・アパルゥ駐日ガーナ大使と、隈研吾氏(建築家、東京大学特別教授・名誉教授)にご登壇していただきました。また、司会はNHK名古屋放送局報道部副部長・解説委員、SPJ理事、山本恵子氏にお願いいたしました。

アパルゥ駐日ガーナ大使からは、日本政府やSPJへの謝辞とともに若者支援がテロ対策にも結び付くことなどをお話いただきました。隈研吾氏生からは若い時のガーナで受けた歓迎への恩返し、地球環境問題や紛争問題への解決の小さな手掛かりになることへの希望など、心に残るお話をいただきました。そして、SPJ鈴木からは、この支援事業は単なる教育支援ではなく、日本を代表する世界的な建築家・隈研吾氏による日本とアフリカの文化の融合の画期的な例となる、という期待が述べられました。

左端から:阿波野太郎氏、鈴木理事長、 アパルゥ駐日ガーナ大使 、隈研吾氏、安達賢氏

隈研吾建築都市設計事務所から、今回のガーナ職業訓練校の設計にも関わっていただいている設計記者会見には、隈研吾建築都市設計事務所パートナーの安達賢氏、設計室長の阿波野太郎氏にもお立合いいただきました。

なお、本記者会見は隈研吾建築都市設計事務所様にご協賛いただき、また、駐日ガーナ大使館、クレアブ株式会社様にご協力を賜りました。

この記者会見の内容は、各メディアで取り上げていただきました。改めてご協力いただいた皆様にお礼を申し上げます。

メディア掲載一部(時間経過により表示できなくなるサイトもあります)
FNNプライムオンライン※(動画サイト:45秒)
FNNプライムオンライン (オンライン記事)
読売新聞 (オンライン記事)
日本経済新聞電子版 (会員限定サイト)
※フジテレビ系列28局のデジタルニュースメディア


リリース記事でも紹介させていただいているように、本事業では3年間の校舎総事業費約2億円、その後の企画である寮や村人の憩いの場の建設を加えると総額8億円程度を予想しています。皆さまからのご賛同、ご支援を賜りたく、どうぞ宜しくお願いします。

【ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業 寄付口座】
※SPJは認定NPO法人のため、ご寄付は税額・所得控除の対象となります。
•みずほ銀行 本郷支店 普通口座 2714991 
特定非営利活動法人 SDGs・プロミス・ジャパン
•郵便振替口座 00190−3−650992 
特定非営利活動法人 SDGs・プロミス・ジャパン

※ご寄付をお振込みいただく際、「ガーナにおける職業訓練校建設・運営支援事業への寄付」と明記の上、下記をメール(office@sdgspromise.org 宛)にてご連絡ください。入金確認後、領収書を送付いたします。
➀氏名もしくは法人名、②ふりがな、③郵便番号と住所、④電話番号、⑤肩書、担当部署(任意)、⑥入金方法(みずほ銀行もしくは郵便振替) 

● これまでの関連ブログ①ガーナにおける職業訓練校建設・運営事業に関して、外務省のNGO連携無償資金協力(N連)を締結
● これまでの関連ブログ② 隈研吾氏、「アフリカの魅力とインパクトを語る」 ~アフリカへの想いと建築への原点もお伺いしました!~
● これまでの関連ブログ③ガーナを訪問しました!


「Japan Up Close」にSPJ理事長・鈴木の投稿記事が掲載されました!

特定非営利活動法人SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)の鈴木りえこ理事長が投稿した記事が、「Japan Up Close」というサイトに掲載されました。

「Japan Up Close」は、国内外の各分野の専門家がさまざまな立場や視点から投稿し、国内外の方々に日本への理解を深めていただくための英語で公開されているプラットフォームです。(同サイト説明より)

【初めて訪問したセネガルの子供たちと(2005年)】

投稿した記事は英文ではありますが、ご興味のある方はぜひご覧ください。

投稿記事⇒ https://japanupclose.web-japan.org/policy/p20230203_2.html      
Japan Up Closeについて:https://japanupclose.web-japan.org/about.html

参考⇒ 日本語原稿はこちら
全文は以下となります。

【SPJ設立の背景】
私が理事長を務めるSDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、2008年に夫の北岡伸一(東京大学名誉教授、前国際協力機構‐JICA⁻理事長)と私が設立した東京都の認定NPO法人です(設立時の名称:ミレニアム・プロミス・ジャパン-MPJ‐ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)への移行に伴い、名称変更)。その設立の主旨は、ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学、当時国連事務総長特別顧問)らが設立したミレニアム・プロミス(MP)のグローバルアライアンスとして、微力ながら貧困削減を掲げたMDGs、2016年以降はSDGs達成へ向けて貢献することです。
2004年から2006年まで、政治任命にて国連日本政府代表部次席代表(特命全権大使)を務めていた北岡が、国連のミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(略称MVP―MPと国連開発計画(UNDP)らが連携)へ関わったことが、SPJ設立のきっかけでした。北岡は、サックス教授らが推進したこのプロジェクトに賛同し、日本政府に働きかけてプロジェクトのスケールアップ(2か国から10か国へ)に協力したのです。
MVPは、世界で最も貧しいサハラ砂漠以南のアフリカの僻地にミレニアム・ビレッジ(MV、10か国14カ村)を設定し、村人一人当たり年間120ドルの介入を行いました。そのコンセプトは、食料、教育、ジェンダ―平等、保健衛生、安全な水、インフラなど多角的な方面において包括的な支援を行い、村人たちが貧困のわなから抜け出しMDGsの期限(2015年)までに自立する、という非常に野心的なものでした。私は、サックス教授の「極度の貧困は私たちの世代になくすことができる」という言葉に心を動かされました。

【初めてのアフリカ訪問】
私は、2005年に初めてのアフリカ訪問として、ロール・バック・マラリア・コンサート“Africa Live”が開かれたセネガルの首都ダカールへ、ニューヨークから一人で訪れました。このイベントは、世界中のメディアで大きく取り上げられ、そこで、私はイベントの主要なスポンサー、住友化学の役員と知り合い、後日、彼をサックス教授とともにニューヨークの我が家(公邸)に招きました。その結果、MVに住友化学の蚊帳・オリセットが寄贈されることになり、マラリア対策として大きな成果を上げました。当時、サックス教授はアフリカの経済成長を妨げているのは、HIV/エイズとマラリアと主張され、世界中で講演する度に、オリセットがアフリカの発展に貢献していることを説いて回りました。

【ミレニアム・ビレッジの女児教育】
私は2015年までに、ほとんどのミレニアム・ビレッジを訪問しました。ウガンダのMV、ルヒーラ村を訪ねたとき、村では初めて、しかも数名の女児が小学校卒業資格取得試験(PLE)をデビジョン1(トップクラス)で合格した、と知りました。小学校の教室に裸電球を入れたとき、彼女たちは学校に泊まり込んで勉強を始めたそうです。そこで、SPJでは、小学校を建設し、優秀な成績ながら進学が難しい女児をインタビューして、それぞれ寄宿舎付きの中学・高校で6年間教育を受けるための支援を行いました。山の中腹の斜面に建ち電気も水道もない女児の家にも宿泊し、彼女らとの交流を深めました。その時、私と一緒に宿泊したMPJユース(SPJの学生連携組織)の女子大生は、現在外交官として働いています。支援した20名以上の女児の中でも特に印象的だったのは、100歳の祖母に育てられた孤児のエヴァリンでした。彼女は、日本の女性グループの支援を受け、ウガンダでも有名な女子学校で学び、看護士さんになっています。他にも自力で奨学金を得てマケレレ大学で学び、将来は日本で勉強したい、という女児もいます。

【SPJが支援した女児たち@ウガンダ・ルヒーラ村】

【ガーナ職業訓練校建設プロジェクト】
私は、日本の若者にその視野を広げてもらうために、2010年からほとんど毎年(コロナ禍を除いて)、MPJユースの学生約10名とMVを訪れ、2020年春にも、ガーナのボンサソ村に宿泊しました。その際、現地MPスタッフから「土地はあるので、ここに若者のための職業訓練校を建ててほしい」という依頼を受けました。この地域の金鉱山では中国人の違法採掘が盛んとなり、環境汚染や劣悪な労働環境が懸念され、ガーナ政府が規制した結果、現地の若者の多くも生活の糧を失いました。職業訓練校は、彼らに正規の職業を提供したいという地域住民の願いです。
幸運なことに、世界的な建築家の隈研吾氏(東大特別教授)が、ボランティアで設計イメージを作成してくださいました。隈氏は、若いころからアフリカ文化に魅了され、大学院時代には2か月間、西アフリカを車で縦断され、建設予定地周辺も訪問されていました。第8回アフリカ開発会議(TICAD8)では、岸田文雄首相が冒頭演説にて、隈氏とアフリカとの関係について言及されたように、隈氏の設計の原点はアフリカとの経験に基づくため、彼は「アフリカへの恩返し」とSPJに協力してくださっています。
このプロジェクトは、実現できれば、貧困削減、教育、人材・産業育成、環境などの複数分野でSDGsに貢献できることと期待しています。また、可能であれば日本語授業や日本文化も紹介し、相互理解を深め日本とガーナの友好にも役立つことを願っています。

【ガーナ・ボンサソ村の中学生とスポーツ交流を実施するMPJユースの学生達(2015年)】


「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」の第6回会合が開催されました。

「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」(以下、「NTDs議連」)は、2019年5月に、元厚生労働大臣・衆議院議員(当時)の塩崎恭久氏と、秋野公造氏(参議院議員)が呼びかけ人となって設立されました。NTDs議連の第6回会合が2023年3月6日に開催されましたので、簡単にご報告いたします。

今回の会議では、国光あやの衆議院議員・総務大臣政務官がNTDs議連・事務局長代理として司会進行役を務められ、会長には前会長の塩崎恭久氏の後任として松本剛明衆議院議員・ 総務大臣 が選出されました。

左から 秋野公造参議院議員・財務副大臣、 松本剛明衆議院議員・総務大臣、 塩崎恭久氏、 国光あやの衆議院議員・総務大臣政務官

この日、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)CEOの國井修先生、長崎大学熱帯医学研究所 ケニアプロジェクト拠点 教授・拠点長の金子聰先生、長崎大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授・研究科長 北 潔先生、長崎大学プラネタリーヘルス学環 副学環長 平山謙二先生ほか、厚生労働省、外務省、国際協力機構(JICA)の各担当の方々から、NTDsに関する現状、そしてそれぞれの取組みなどに関するプレゼンもありました。

日本はこれまで感染症に関するグローバル・リーダーとしての役割を果たしてきました。会議中に話題となったように広島G7サミットでもNTDsの問題と支援状況についての理解が促進され、コロナ禍でますます顧みられなくなったNTDs対策への支援がさらに進むことを願っています。

※ 顧みられない熱帯病 (Neglected Tropical Diseases: NTDs)とは、世界保健機関(WHO)が定める20の疾患の総称のことで、発展途上国地域の149の国々に暮らす中低所得者層を中心に約10億人もの人々が苦しんでいると報告されている病気です。NTDsは貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となって蔓延し、これらの疾患にかかると、重度の身体障害が残る場合もあり、生涯にわたる身体的、精神的影響を及ぼし、経済成長の妨げにもなっています。そのため、適切な時期に適切な治療を受ければ治癒が可能なのにも関わらず、貧困のためにそれができず、病気のためにさらなる貧困に陥るという負のスパイラルが発生しています。