SPJ、フィリピン・レイテ島へのスーパー台風オデット 災害支援事業を開始

昨年20211216日から18日にかけて、フィリピンをカテゴリー5(最大風速68/秒)の大型台風ライ(現地名:オデット)が横断しました。 

中部と南部を中心に被害は広がり、被災者は20221月時点で約800万人に上りました。2013年に襲ったスーパー台風ハイエンの際の死者数6,300人に比べ、死者数は405人に留まったのは、当時の経験を踏まえて政府が早期に避難指示を出し、また高潮被害も少なかったためと思われます。その一方で、家屋倒壊数は2013年時の20万軒を上回る140万軒で、1月時点で約20万人が避難生活を送っていました。少しずつ避難生活を送る方の数は減ってはいるようですが、2月でも約13万人が不便な生活を強いられていました。

被害を受けた南レイテ島の空撮
被害地域は、セブ、ボホール、スリガオ、南レイテと広範囲の島に及びました。支援は、人口が多く現地のNGOの数も多いセブ島を中心に行われているため、最も被害が大きい一つと言われている南レイテ島では支援が遅れています。更に、南レイテはラニーニャ現象による豪雨に見舞われ、家屋の損害が甚大で避難所に収容しきれない避難者が、豪雨の中での屋根のない環境での生活を行うことで、被災者の状況は更に悪化しています。

レイテ島南沖に浮かぶ直径約10キロメートルの孤島リマサワ島の様子

リマサワ島の集落全体がテント村のような状態
 SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、201312月のスーパー台風ハイエンの際に、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を得て、レイテ州タバンゴ町にて6校の仮設教室を建設しました(20145月)。支援事業を担当した赤坂友紀さん(当時SPJ国際派遣スタッフ)が、その後も個人的に日本から継続して現地の貧困支援・交流を行っていました。ちなみに、レイテ島は第二次世界大戦の激戦地であり、8万人以上の日本軍兵士が戦死、病死、餓死し、現在でも島内のいたるところに日本人兵士の慰霊碑が残る地域です。

過去にSPJからの支援経験があり、歴史的な所縁も深いレイテ島でのオデット台風の被害に関して、再び赤坂さんを通じて株式会社ココウェルや現地プロジェクト推進者との協働をセットアップさせていただき、支援の開始を行うことになりました。限られた予算をどのように使うか、現地調査後、家屋の再建ニーズが高い事が判明しました。最貧困家庭に対しての支援となりますが、今後も進捗状況をお知らせいたします。


MPJ Youthの活動紹介 ~ウガンダ研修とGlobal Sessionについて~

① ウガンダ研修

SPJの関連組織であるミレニアム・プロミス・ジャパン「ユースの会」(MPJ Youth)は3月11日~17日の7日間でウガンダ研修を実施しました。当初予定していたウガンダ研修は現地情勢の悪化と新型コロナウイルスの感染拡大のため中止になりましたが、静岡県伊東市でウガンダについて学び研修会が実施されました。

研修では亀田和明前駐ウガンダ大使や特定非営利活動法人難民を助ける会(AAR Japan)の岸田和香様、東京農業大学の森口岳先生、株式会社RICCI EVERYDAYの仲本千津様、広島大学の齋藤一彦先生によるご講演に加え、スワヒリ語講座などが行われました。学生が主体となり、研修の計画から講演者へのアポイントの取り付け、実施、研修の様子の発信まで行いました。

研修の様子の詳細は以下をご覧ください: 

【Instagram】https://www.instagram.com/mpj.youth/
【Blog】http://mpjyouth.official.jp/home/

(MPJ Youth のホームページブログより)

(MPJ Youth の Instagram より)

 

② Global Session(MPJ Youth × JASPORAの共同イベント)

また3月19日には、日本在住のアフリカ系の学生からなる学生団体JASPORAとMPJ Youthの交流会:『Global Session』が開催されました。お互いの国に対してのイメージなどについて話し合った後に、視聴したTedtalks「固定概念の危険性」に関しての議論も行い、それらを通じて日本とアフリカの交流を深めることができました。

 


【開催案内】SDGsスペシャリスト稲場雅紀氏 特別講演シリーズ第3弾開催決定!2022年3月16日(水)15時~オンライン開催

 

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)では、ゲストに稲場雅紀氏(アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクター)をお招きして、ウィズコロナ・アフターコロナ時代におけるSDGs達成への課題や今後の展望などについて、3回にわたりお話しいただいています。今回はその第3弾最終回で、テーマはアフリカの今後についてです。質疑応答の時間もたっぷり含んだ2時間構成となっております。是非この機会をお見逃しなく!

 

【講演概要】

日時:2022年3月16日(水)15:00~17:00(日本時間)

形式:Zoomによるオンライン配信

参加費:無料 

参加登録:下記リンク・QRコードより、2022年3月14日18時までにお申込ください。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Xmf3ccSUSBKGn7ZWAT_O7g

 

【第3回 講演テーマ】

コロナ禍で再び危機にたつアフリカ =大陸の未来はどう切り拓かれるか=

 

【第3回 講演内容】

2016年に開始されたSDGs(持続可能な開発目標)は、2023年に中間年を迎えます。2030年までに貧困のない持続可能な社会を、という野心的な目標は、コロナによって大幅な後退を余儀なくされ、気候変動や生物多様性の喪失といった「地球の限界」の危機は待ったなしの状況です。

シリーズ第3回となる今回の講演では、コロナ禍のもとで再び「危機の時代」を迎えているアフリカについて考えます。2000年代以降、アフリカ連合の下、アフリカ自身による紛争解決の方法を手にしたかに見えたアフリカも、現在、西アフリカ各国でのクーデターやエチオピア・スーダンの内戦・混乱などで厳しい状況にあります。複雑な歴史に加え、コロナ禍による経済不況と、気候変動などの影響が影を落としています。一方で、ここから立ち上がり、平和の裡に発展するアフリカを求めて努力する人々もいます。アフリカのコロナ禍からの「より良い復興」の道筋について考えます。

 


【講師:稲場雅紀氏の略歴】

1969年生。90年代から、日本の貧困問題や労働問題、LGBTの人権やHIV/AIDSへの取り組みを経て、2002年からNPO法人アフリカ日本協議会で国際保健に関する政策提言に従事。2008年のG8洞爺湖サミットを機に、G7/G20や国連SDGsレビュープロセスなどに関する日本の市民社会のアドボカシーの調整を担う。2012年以降、SDGs策定プロセスに市民社会としてかかわり、2016年、SDGs市民社会ネットワークの設立に参画、専務理事などを歴任。同年から政府「SDGs推進円卓会議」構成員。2021年から政府「グローバルヘルス戦略有識者タスクフォース」構成員として新グローバルヘルス戦略の策定にもかかわる。共著に岩波新書「SDGs 危機の時代の羅針盤」(南博・広報外交担当日本政府代表との共著)など。