第36回SPJ研究会を実施しました!

去る3/8(金)、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は「バオバブ製品の製造販売を通じた農民グループの自立支援プロジェクトinマラウイ駐在員一時帰国報告会」を実施しました!! なお、本報告会は日・アフリカ関係の強化に資する事業として、外務省のTICAD7パートナー事業に認定された報告会として実施しました。↓下記URLにTICAD7パートナー事業の認定事業として本報告会が掲載されています。

外務省HPへ

本報告会ではSPJの現マラウイ駐在員である青木から、事業の背景、1年~2年次の活動報告(事業は3年間継続の予定)など参加くださった皆様へ説明致しました。

講話時間は1時間程でしたが、OVOP(一村一品運動)の紹介、バオバブオイルの機能や効果、現地農民の問題点等、細かい点まで説明することが出来、参加された皆様からは「数回分のお話をコンパクトに勉強できた」「決められた時間内でプロジェクトの全体像が分かりとても良い学びになった」といった声を聞くことが出来ました。

報告会の様子
自己紹介をする駐在員・青木

本報告会では前駐マラウイ日本大使である西岡様やJICAの北岡理事長にもお越し頂き、マラウイでの事業実施や、日本の支援取組等についてコメントを頂き、参加された皆様のマラウイへの理解を高めることができました。また、皆様へのおみやげにはマラウイの農民グループが作っているバオバブオイルのサンプルをお渡しし、効果をお試しいただくようお願いいたしました。

説明される前駐マラウイ日本大使の西岡様
一村一品運動について説明するJICA北岡理事長

本報告会では限られた時間で皆様にマラウイについての事業をしっかりとお伝えすることが出来ました。これからもSPJは継続してこのような研究会を実施していきたいと思います。

↓報告会スライドはこちら

報告会スライド


【Zokoma Cooperativeで収入向上報告会を実施しました】

現在、SPJではマラウイにて5つの農民の組合を支援しています。2018年には本格的にマラウイ国内におけるバオバブ商品の製造販売事業を開始し、製造品の品質向上や販路開拓など各組合の運営サポートを行ってきました。そこで、1月下旬にマラウイ南部州のマンゴチ県にあるZokoma Cooperativeにおいて「収入向上報告会」を実施しました。この報告会では、組合の位置する村落地域の伝統首長や村長たちをゲストに招いて、2018年の1年間で組合としてどのような活動を行い、そこに参加する組合員たちが個人的にどれだけ収益を上げ、そのお金を使ってどのように生活向上させたのかを組合員たちから発表してもらいました。今回はその様子をご紹介します。

実際に報告会の様子をお伝えする前に、これまでのZokoma Cooperativeで行った活動と、その成果をお伝えします。

この組合は元々、ハチミツを販売していた養蜂組合です。しかし、その収穫時期は大きく分けて年に2回しかないため、周辺に多く自生するバオバブを使って新たな収入を創出しようというのが目的でした。

2017年2月に1年次を開始し、組合の組織運営能力を高めるために、会計帳簿の記帳方法や原価計算の仕方、事業計画の作成方法などビジネストレーニングを1年かけて実施しました。また、バオバブパウダーの製造研究や衛生管理の研修を行い、バオバブビジネスを開始する基盤を整えました。

2年次には、バオバブの収穫時期である5月~6月にかけてバオバブの実を収穫し、パウダーを製造して、残った種と共に販売しました。販売先は都市部でバオバブパウダーをパッキングして販売し、またバオバブの種からオイルを製造して販売していたSPJ支援している組合のMaluso UnionとHome Oils Cooperativeです。

2018年の売上目標は418,000MWK(マラウイクワチャ)でしたが、実際には1,402,560Kと目標の3倍以上の売り上げを獲得することに成功し、バオバブパウダーを673kg、バオバブオイルの原料となる種を5,483㎏販売しました。


組合員が集めてきたバオバブの種(約4トンあります)

バオバブパウダーと種の売上金と共に記念撮影(写真真ん中の椅子に乗っているのが現金)

今回の報告会には伝統首長(各自治体で一番偉い人)をはじめ、近隣の村長たちなど7名のゲストが参加してくれました。約3時間の日程で行われたプログラムは以下の通りです。

【プログラム】

1.Zokoma Cooperative組合会長による開会の挨拶

2.SPJ現地事業責任者(青木)による挨拶

3.各組合員による発表

4.代表村長による挨拶

5.伝統首長による挨拶

6.記念撮影

7.懇親会(昼食)

①Zokoma Cooperative組合会長による開会の挨拶

 これまでの組合活動を村長たちに発表する機会を得た喜びと、SPJのこれまでの支援に対する感謝の気持ちを挨拶で伝える会長のWasi氏。組合の中でも年長者で、みんなから慕われるリーダーです。

②SPJ現地事業責任者(青木)による挨拶

 報告会に参加してくれたゲストへのお礼と、この一年間、バオバブ事業に真摯に取り組んできた組合員たちへの感謝を述べる青木駐在員。

③各組合員による発表

 今回、発表してくれた組合員は19名。2018年の1年間にZokoma Cooperative販売したバオバブ商品とハチミツの販売量と売上を報告し、その収入をどのように使ったのかを報告してもらいました。

 収入の使い道については、皆さん思い思いに活用されていましたが、特に多かったのが子供の学費の支払いでした。これまでは親族に借りるなど、ようやく払えていた学費の支払いを今年はスムーズにできたと喜びを伝える組合員が多かったです。 他には、自転車やマットレス(布団)を買ったという人や、家の屋根を茅葺きからトタン屋根に替えた人など、家や生活の環境を整えるために使ったという人もいました。また、食卓に肉や魚などを出せる日が増えて、家族みんな喜んでくれていますという主婦らしい嬉しい声もありました。

自分の生活がどのように向上したのかを嬉しそうに発表する組合員
合員もゲストの村長たち(後ろ側)も真剣に発表に耳を傾けています

④代表村長による挨拶

⑤伝統首長による挨拶 ゲストを代表して2名から挨拶を賜りました。ゲストの皆さん、住民たちが地域の組合を通じて、自らの力で収入を得て、生活を豊かにする努力をしていることをとても喜んでおり、誇りに感じていると有難いコメントを頂きました。また、SPJに対しても深い謝意の言葉をいただき、私たちにとっても地域の有力者の皆さんに活動を理解して頂く、とても良い機会となりました。

挨拶をする村長代表のKili氏

⑥記念撮影

 最後に参加者全員で記念撮影をしました。

⑦懇親会(昼食)

 報告会の終わりには、ゲストも交えての懇親会を行いました。メニューはもちろん、マラウイの主食であるシマ(原料はトウモロコシ)。今回はシマだけでなくご飯も用意され、おかずも牛肉と鶏肉のダブルと、普段の食卓よりも豪華なメニューを組合員のお母さんたちが一生懸命作ってくれました。ゲストも交えてみんなでワイワイと賑やかな時間を過ごしました。

大きな鍋でシマを作る組合員のお母さんたち
左側手前にある白いものがシマです

今回の報告会はSPJにとって非常に貴重な機会となりました。プロジェクトに関わっている組合やその組合員たちが、私たちの活動をどの様に感じているのが、また、どんな影響を与えているのかを確認することができました。私たちがこのプロジェクトを通して目標としているのはバオバブビジネスを使って、持続的な収入を獲得し、自立した生活を営むことが出来るようにサポートすること。今回の報告会では、その目標に向かって着実に歩みを進める人たちの姿を見ることができ、私たちもとても嬉しく、次年次も現地の人たちのために頑張っていこうと勇むことができました。


【日本で美容オイル有識者を集めてのワークショップを開催しました!】

SPJでは2019年3月5日より、「バオバブ製品の製造販売を通した農民グループの自立支援プロジェクト」の3年次を開始しました。1年次には対象農民組合に対して、ビジネスノウハウを身に着けるための研修を実施し、バオバブオイルの搾油機や商品保管庫の供与など、バオバブ事業を開始するための基盤を整えました。2年次には、バオバブ商品の衛生管理・品質改善に向けた支援と、マラウイ国内における販路開拓を重点的に支援してきました。3年次には、さらに商品の品質を向上させ、新商品の開発などにも取り組んでいきます。また、さらなる販路拡大を目指し、フラッグシップ店舗の獲得など、バオバブ商品の認知度向上を目指していきます。

さて、今回は2月に日本で実施した、美容オイルの有識者を集めてのオイル分析ワークショップについてご紹介します。

日本では、シアバターや椿オイルなどがスキン(ヘア)ケアオイルとしてすでに有名ですが、他にも様々なオイルが日本の市場にも出回っています。今回、マラウイ産のバオバブオイルに加え、モリンガオイルやホホバオイルなど、最近注目を集めているオイルを集めて、商品の比較分析を行いました。

今回、ワークショップに参加して下さった有識者は5名で、皆さん一般社団法人日本オイル美容協会認定のオイルソムリエの資格をお持ちで、普段から様々なオイルを実践で使っておられる専門知識を持った方々です。

今回はマラウイ産のバオバブオイルとモリンガオイルに加えて、日本で購入したホホバオイル、アプリコットオイル、マラクジャオイル、マルラオイルの6種類を使って、それぞれのオイルの色や香り、塗り心地や肌への浸透力などを5段階で評価し、各オイルの特徴を洗い出しました。

ワークショップの目的は、さまざまな美容オイルとバオバブオイルを比較し、プロの視点でバオバブオイルならではの魅力を語っていただくことと、バオバブオイルの販売促進にあたって想定ターゲットや、セールスポイントをアドバイスいただくことの2点でした。

事務局にとってとても嬉しかったのは、専門家にバオバブオイルが非常に高く評価されたことです。バオバブオイルの成分による保湿性やエイジングケアへの期待感に加え、肌なじみのよさ、浸透度の高さ、ほどよいつや・しっとり感はほかのオイルよりも優れているとの声が相次ぎました。

バオバブオイルを使った販促アイディア、商品開発のアイディアについては、バオバブオイルまわりの検索ワードが多かった順に「バオバブx効果」、「バオバブx髪」、「バオバブx酸化」、「バオバブxシャンプー」だったことからヘアケアやシャンプーに贅沢にバオバブオイルを配合してはどうか、ネイルやハンド用のオイルにバオバブオイルを配合すると乾燥する冬に良さを実感できそう、などの意見が寄せられました。

日本でのバオバブオイルの認知、使用にはまだまだ拡大の余地があります。しかし専門家から高い評価をいただけたことで、オイルを使った美容、肌の保湿に関心の高い中高年齢層にじっくりアプローチしていけば、利用意向、使用率は徐々にでも拡大できるのではという感触を得られました。品評会の結果はマラウイと共有し、マラウイでバオバブオイル販売の際のセールストークなどに活かしていきます。