「バオバブ製品の製造販売を通した農民の自立支援 in Malawi」事業最終報告会を開催しました!

外務省の「日本NGO連携無償資金協力」のもと、バオバブの種子からオイルを、果実からパウダーを製造し、マラウイの都市部で販売する事業も、早いもので12月4日に3年間の事業期間を終了しました。27日の報告会では、3年間事業を担当・統括してきた現地駐在員の青木から、これまでの事業の歩みを説明しました。

まず、製造を軌道に乗せること、農民の皆さんにビジネストレーニングを実施することに注力した1年次を経て、2年次、3年次は衛生管理の徹底、製品の品質向上、店舗を対象にしたマーケティング調査と販路開拓、バリューチェーン(原材料供給を担当する農業組合と、製造販売を担当する農業組合のネットワーク)の構築を重視した活動を行いました。こうした活動と努力が実り、おかげさまでマラウイ国内でバオバブ製品の市場は大きく拡大しました。事業成果調査では、農民の93%が組合活動、またはその収益を活用した自己投資事業によって、自身及び家族の生活が向上したと回答したそうです。

今後、農民だけで衛生・品質管理がきちんと順守されるか、バオバブ製品の人気の高まりを受け大手企業が市場に参入した場合、どのように対応すべきか、などの課題については、これまでの人的ネットワークを基盤に、各組合活動の進捗、経過を定期的に見守っていきたい、との青木の抱負が語られました。

最後に当事業開始当時からご指導頂いていた西岡前マラウイ大使からあたたかいお言葉をいただいて、報告会は無事終了しました。

事業は終了しましたが、SPJはこれからもバオバブ製品を応援してまいります!


【第37回SPJ研究会】マラウイ被災支援・駐在員帰国報告会を実施しました!

去る11/7(木)、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」における駐在員帰国報告会を実施しました!!

SPJではジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、今年3月にサイクロン・イダイによる洪水の影響を受けたマラウイのゾンバ県において、5月~7月、8月~11月の二期に分けて、食糧配布支援とリカバリー物資の配布を実施しました。本報告会では事業での裨益者選定から物資の調達・配布・モニタリングまでの内容や、苦労した点、現地の状況等を濱田・飯田両駐在員より報告しました。

報告会の様子

講演時間は1時間程でしたが、写真や動画を多く用い、裨益者選定時のワークショップの様子や、物資配布時のトラブル等、現地の実際の状況が詳しく伝わるように心がけました。参加された皆様のアンケートからは「普段はあまり聞けない現地の経験や生の声を聴けて勉強になった。」「現場での詳しいお話を聞けて非常に重要な機会になりました。」といった声を聞くことが出来ました。

1期目の事業の様子を説明する駐在員・飯田
1期目の反省点をどのように2期目に活かしたのか説明する駐在員・濱田

SPJは今後もこのような研究会を実施していきたいと思います。

下記に本報告会の様子をアップロードしております。ご都合が悪くご参加出来なかった方はこちらをご覧下さい。

報告会で使用されたスライドはコチラ↓

20191107マラウイ被災支援帰国報告会資料-1-29

20191107マラウイ被災支援帰国報告会資料-30-60


【マラウイバオバブ事業】プロジェクトの事業成果調査を実施しました

 2年9カ月に渡って実施されてきた「バオバブ製品の製造販売を通じた農民グループの自立支援プロジェクト」もいよいよ終わりに近づきました。プロジェクト終了に伴い、今月はプロジェクトの対象となっていた農民グループに対し、事業成果調査を実施しました。

 この調査では、プロジェクトの直接的な裨益者合計1,373人の内、無作為抽出した約300人に対して、主に以下の3つについて調査しました。

①プロジェクトを通して何を学んだのか?さらにその修得したノウハウを活用して、組合の活動を促進することができたのか?

②組合活動における組合員の収入はどのぐらい向上したのか?

③組合活動を通して得た収入を活用して、どのように生活が改善されたのか?

 マラウイでは、世界銀行が定める貧困ラインである、1日1.90米ドル以下で生活する人の割合は50.7%にのぼり、国民の80%以上が農業により生計を立てています。その農業も1年に約4カ月間ある雨季の時期にのみ行うことができ、それ以外は仕事や収入がなくなる農家も多くいます。

 今回のプロジェクトを通し、製造業ビジネスに必要なノウハウとして、会計帳簿のつけ方や、衛生管理・在庫管理の方法、商品マーケティングの仕方、新商品開発の方法など、様々なトレーニングから新しい知識や技術を身につけることができた農民グループのメンバーの中には、組合活動だけでなく、組合活動で得た収益を元手に小規模な個人事業(販売用の米や野菜の栽培、販売用家畜の飼育、パンや揚げドーナツの製造販売など)に投資して、その収益を増やしている人も多くいました。

 事業を開始したこの約2年半で、バオバブ製品の販売市場は大きく拡大し、支援グループにおけるバオバブ製品の売り上げは約2.5倍増となりました。その結果、生活が改善されたと回答した人が90%を超え、実際にどの様に生活が変わったのかを嬉しそうに話す組合員の姿に、私たちも思わず目頭が熱くなり、自分たちがやってきたことがきちんと成果となって表れていることを実感でき、本当に嬉しく思いました。

ここで、実際に組合員の声を紹介したいと思います。

「これまでは、半年に一回、5人の子供の学費を支払う際には、親族たちからお金を借りなければ準備できなかったけれど、今では誰からも借りることなく子供たちの学費を払える様になったわ。(50代・女性)」

「今まで、組合のある工場まで来るのに片道1時間半を歩いて来ていたけれど、自転車を買えたことで、工場へ通うのが本当に楽になったよ。(40代・男性)」

「これまでは御座に布を敷いて寝ていたけど、初めてマットレスを買って、その気持ち良さに驚いたの。いつもなら日が明けると自然と目が覚めていたのに、あまりの気持ち良さに初めて寝過ごしたわ。身体も楽だし、本当に快適に寝れるって幸せね。(30代・女性)」

他にも、食卓に肉や魚が出る回数が増えた、新しい携帯電話やラジオを買った、家の屋根を藁葺からトタン屋根に変えたなど、皆さん着実に自分たちの生活の質を向上させていました。

今回の事業成果調査ではマラウイの北から南まで多くの農民グループを訪問しましたが、グループに到着すると、その多くが私たちをアカペラの歌とダンスで歓迎してくれたり、帰りには自分たちのグループで作った商品をお土産として持たせてくれたりと、“Warm Heart of Africa”と呼ばれるマラウイ人の温かさや陽気さを感じる機会が多くありました。彼らが当プロジェクトを受け入れ、感謝の気持ちを持ってくれていたことが、私たちSPJとしても本当に嬉しく、改めて開発支援の重要性や意義を感じました。

このプロジェクトは農民グループの自立を目的としており、今後は彼らの自助努力でグループ活動が運営されることが求められます。プロジェクトが終了しても、彼ら自身の力で、より一層グループが発展していくことを期待する一方で、こんなにも温かくて陽気な人たちともう時間を共にすることができないと思うと、少し寂しい気持ちにもなりました。これからも彼らの活躍に期待をしたいと思います。

組合に対して最後の挨拶を行う駐在員・青木(右)
アンケート調査用紙を記入する組合員たち

マラウイサイクロン被災支援事業を振返って

SPJではジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、マラウイの大洪水被災者支援として、2019年5月17日から7月22日にかけて「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への緊急物資配布事業」(第1期)を実施し、8月9日から11月8日にかけて「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」(第2期)を実施しました。

 2019年3月4日に発生しましたサイクロン・イダイによってゾンバ県では家屋が倒壊したり、作物が流失したりするなどの大きな被害が出ました。そこで、SPJでは約5カ月間(第1期+2期)、ゾンバ県でマラウイサイクロン被災支援事業を実施しました。ゾンバ県に現地駐在員が赴き、実際に半倒壊した家屋を確認しましたところ、被災者宅はトタン屋根やレンガ造り、木造作りの簡素な家が多く、サイクロンで屋根が吹き飛んでしまったり、壁が崩れたりしていました。また、サイクロンでメイズなどの作物が流出してしまいました。さらに、場所によっては元々土地が痩せており、作物が育ちにくい所も散見されました。

サイクロンで屋根が崩れてしまった被災者宅

サイクロン被災者の衣食住に関わる基本的な生活を維持するために、現地で食糧支援などの緊急援助の必要性を強く感じましたが、毎年サイクロンがやって来ることが分かっている状況の中で、どのようにして住民が主体的にサイクロンの災害に対応していくのかも課題であると実感しました。そのような状況で、第二期目からはメイズや米、豆などの約1カ月分の食糧をNkapita の被災1,060世帯に配布したことに加えて、屋根の補修材としてターポリンとブランケットをMwambo の被災550世帯に配布できたことは良かったです(1期目の事業では、裨益者に食糧物資のみを配布)。また、ターポリンの配布前には裨益者550世帯を対象にしたワークショップも開催し、ターポリンの活用方法の検討や今後サイクロンが発生しました時の避難経路などを確認することができました。日本国内のNPO法人の活動でも課題となっていますが、地域コミュニティへの一方的な援助はむしろ弊害になることも多く(住民の主体性が育たない)、そこに住む住民が地域に対して責任を持ち、地域の問題や課題を住民の手で解決していく姿勢を養うことが大切です。ワークショップでは、裨益者と一緒にサイクロン災害時の防災マップを作製し、サイクロンで洪水が発生する場所を確認したり、洪水や暴風雨にも負けない頑丈な建物に避難するためにはどの経路を歩いて行けばよいのかを確認したりするなど、サイクロン被災時に住民が主体的に動ける一助となるようなワークショップを心掛けました。

Mwamboでのワークショップの様子(防災マップ作成)

 国際NGOの現地駐在員の魅力の一つは、現地の人たちと一緒に仕事したり活動したりする中で、現地の人たちの価値観や考え方、生活などに直接触れることができる点です。事業モニタリング中(2期目)にこんなことがありました。

 ゾンバ県のMbukwiteのMatwika村の裨益者が、村長から食糧物資の半分20kg(メイズ12.5kg、米5kg、豆2.5kg)を許可なく没収されてしまい、村長が村にいる他のサイクロン被災者に食糧物資を配布するという問題が発生しました。そのため、裨益者からVCPC Chairman(地域コミュニティの取り纏め役)に連絡がありましたので、Mbukwiteの群長及びVCPC Chairman及びVCPCメンバー、Matwika村の村長と裨益者を招集し、コミュニティ会議を開催しました。この会議の席上で村長は自らの非を全面的に認めて、10月18日(金)に村長自らがメイズ12.5kg及び米5kg、豆2.5kgを購入し、裨益者に賠償しました。また村長から裨益者への食糧物資の引渡しは、私と現地スタッフ、GVH(群) Mbukwiteの群長及びVCPC Chairman、VCPCメンバー立会いの下で実施されました。

村の係争案件がどのように処理されているのか。このようなコミュニティ本位の活動に直接的に関わることができるのは国際NGOの現地駐在員の仕事の醍醐味だと考えています。

村長から賠償の食糧物資を受け取った裨益者と立会人の一人(現地スタッフ)
食糧物資の引渡しをもって村長と裨益者との和解が成立した。写真左が立会人の一人である
VCPCメンバー。中央が村長。VCPCメンバーと握手しているのが裨益者

今回のマラウイサイクロン被災支援事業では、事業モニタリングを通して多くの裨益者からヒアリングしました。さらに事業モニタリングでは、次の事業に繋がる現地ニーズもヒアリング調査しました。またゾンバ県で事業を実施する機会がありましたら、事業モニタリングで集めました住民の声(ニーズ)もしっかりと事業に反映できればと思います。

ターポリンとブランケット配布時に裨益者とスタッフの集合写真

最後になりますが、約5か月間にわたり、ご協力頂きました関係者の皆様並びに、ご応援頂きました皆様へ感謝を述べたいと思います。

本当にありがとうございました!!


裨益者への食糧・支援物資の配布及び事業モニタリングが終了しました。【マラウイ・サイクロン被災支援(第二期目)】

SPJでは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、8月9日から11月8日まで「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施中です。

こんにちは。現地駐在員の濱田と飯田です。

 9月27日(金)から10月7日(月)にかけて、ゾンバ県内のT/A (地区)MwamboとT/A Nkapitaの2地区を対象に、サイクロン洪水被災者に食料・支援物資を配布しました。具体的には、T/A Mwambo の550世帯に対してターポリン(サイクロンで半倒壊した家屋の補修材)と毛布を配布すると共に、T/A Nkapita の1,060世帯に対して、メイズ25kg及び米10kg、豆5kg(約1カ月分の食糧)を配布しました。今回は2期目のサイクロン被災支援事業ということあり、私たちや現地スタッフも仕事の段取りが分かっているので(2期目も1期目の事業で雇用した現地スタッフを同じく採用)、食糧・支援物資の配布前の準備(裨益者リストの作成など)や配布日当日の対応などをスムーズに行うことができました。

T/A Nkapita GVH (群)Mbukwiteでの食糧物資配布の様子
T/A Nkapita GVH Masaulaでの食糧物資配布の様子
T/A Nkapita GVH Fikilaでの食糧物資配布の様子
T/A Mwambo GVH Makawaでの集合写真
T/A Mwambo GVH Mbaluでのターポリン及びブランケット配布の様子

事業モニタリングは10月8日(火)から10月22日(火)にかけて実施し、T/A MwamboとT/A Nkapitaの裨益者から現地で直接ヒアリング調査しました。結果として、モニタリングを299件(T/A MwamboのMakawa28件+Mbalu31件及びT/A NkapitaのMbukwite49件+Fikila16件+Masaula29件+Balamanja35件+Nkasala15件+Mwangata45件+Kapalasa51件)実施することででき、JPFへの事業申請時のモニタリング目標総数250件を大幅に上回ることができました。

 裨益者からは「(配布された食糧が)生活の糧になっており、大変感謝している」や「早速、ターポリンを屋根に設置した。大変役立っている」などのサイクロン被災支援事業に対する良い評価を頂きました。一方で、裨益者から「(裨益者の扶養家族数が多いため、配布された)メイズ及び米、豆を既に食べ尽くしてしまった(もっと食糧が欲しかった)」や「この辺りの土地は痩せており、(食糧に加えて)肥料が欲しかった。また家畜(ヤギ)があれば、繁殖して現金収入が見込める」などの意見もあり、依然としてゾンバ県内のサイクロン被災者の生活環境は厳しく、引き続き支援が必要だと感じました。

事業モニタリングの様子(T/A Nkapita)
事業モニタリングの様子(T/A Mwambo) 裨益者が配布されたターポリンを自宅の屋根に
設置しているところ
事業モニタリングの様子(T/A Mwambo)ターポリンが設置された裨益者宅
裨益者宅(写真8)を内部から撮影。 ターポリンがどのように使用されているのかがよく分かる

マラウイはちょうど今暑い時期で、朝から晩まで事業モニタリングで裨益者宅を一軒一軒訪問するのは大変な作業でした。現地スタッフの体調管理が気になったので、毎日、エネルギー補給と水分補給を兼ねて現地スタッフにコカ・コーラなどの清涼飲料水を持たせました。また写真10は、事業モニタリング中に撮影しました。型典型的な栄養失調の子供たちです。私は途上国での生活が長く、多くの子供たちと遊んできましたが、こんなにお腹がポッコリと出ている子供はあまり見かけません。先日、空腹の子供たちが道端に捨てられたお菓子(ポテトチップスやビスケットなど)の入っていたビニール袋を拾って、袋の内側を舐め回している姿を見かけました。食に飢えるのは本当につらいことです。ゾンバ県での継続的な食糧援助の必要性を強く感じました。 今後は事業地のゾンバ県からリロングウェに戻り、活動報告書を作成したり、関係機関に事業終了の報告をしたりと、帰国に向けて準備します。

マラウイの栄養失調の子供たち

【第37回SPJ研究会(マラウイ洪水被災者支援事業・報告会)のお知らせ】

SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)は、来る11月07日(木)19時より文京シビックセンターにおいて、SPJマラウイ駐在員を講師として、「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」(ジャパン・プラットフォームからの助成金)の事業報告会を実施します。

SPJでは今年3月にサイクロン・イダイによる洪水の影響を受けたマラウイゾンバ県において食糧配布支援とリカバリー物資の配布を5月~7月、8月~11月の二期に分けて実施しました。今回の事業での裨益者選定から物資の調達・配布・モニタリングまでの内容や、苦労した点、現地の状況等を駐在員二名より報告致します。 研究会の開催要領は、下記の通りです。

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マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業

現地駐在員による事業報告会

【日時】2019年11月07日(木)19:00~20:30(18:30開場)

【場所】東京都文京区春日1‐16‐21 文京シビックセンター5階区民会議室A

(東京メトロ後楽園駅・丸ノ内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分

都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分

JR総武線水道橋駅(東口)徒歩9分)

アクセスマップ

https://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html

【講師】濱田昌大 飯田知美(SPJマラウイ駐在員)

【会費】無料

【申込方法】下記URLにてご登録をお願い致します。

https://forms.gle/CMYJyGx99zfoW4og6 【申込締切】11月06日(水)


【マラウイバオバブ事業】リロングウェ市内ショッピングモールでの商品プロモーション・ブース出展

今回は、9月7日(土)から8日(日)の2日間に渡り、マラウイの首都リロングウェのショッピングモールで実施した、バオバブ製品販売促進のためのブース出展についてご紹介します。

SPJではバオバブ製品の製造サポートや衛生管理指導の他、プロジェクト終了後も製造組合の自助努力でビジネスが継続できる様に、販路開拓や営業活動のサポートも行なっています。今回はその営業活動の一環として、商品のプロモーションと販路拡大を目的に、ショッピングモール入口にブースを出展しました。

マラウイにもショッピングモールと呼ばれる施設がいくつかありますが、私たち日本人が想像するような大規模な施設ではありません。今回ブースを出展したGateway Mallは、リロングウェに2014年12月にできたマラウイで一番大きなショッピングモールです。

このモールには衣料品、電化製品、家具、日用雑貨を販売する店舗や、銀行、美容室、レストラン、バー、そして南アフリカ資本のスーパーマーケットなど、大小約30の店舗が軒を連ねており、休日になると多くの人で賑わいます。

ブース出展を行なったGateway Mall

今回、モールに訪れた買い物客が必ず通るモール入り口の開けたスペースにおいて、SPJで支援をしているバオバブパウダーやバオバブオイルに加え、2017年までJICAのプロジェクトで支援されていたOVOP(一村一品)商品を展示、販売しました。

ブース準備中のMaluso UnionのメンバーとSPJスタッフ
今回展示販売されたバオバブ商品とOVOP(一村一品)商品

バオバブフルーツはマラウイで一般的なフルーツとして親しまれており、市場に行くとバオバブジュースと呼ばれる水に溶かした物や、それを凍らせてアイスキャンディのようにしたものが1つ7円程で売られています。

バオバブフルーツ(白い部分がラクガンのような粉末状になっており、酸味があっておいしい)

しかしバオバブフルーツを粉末状にしたバオバブパウダーは、まだ一般にあまり馴染みがありません。興味はあっても使用用途がわからないという声も良く聞かれるため、今回バオバブミルクシェイクとしての新しい使い方を提案するため、ブースにミルクシェイクの試飲コーナーを設けました。ブースを訪れてくれた多くの方がミルクシェイクの試飲を通し、バオバブパウダーを購入してくれました。

バオバブミルクシェイクを試飲中のお客さんと商品を説明するMaluso Unionのメンバー

今回のブース出展は、商品営業・セールストーク研鑽のトレーニングも兼ねており、参加したメンバーは、どのように商品を展示し、どのように商品の特徴や使い方を説明すれば良いのかなど、戦略を持って考える必要がありました。初めは椅子に座り、ブースに来るお客さんを待っていただけのメンバーも、徐々に自信が付くにつれ、自らお客さんを呼び込み、積極的に営業する姿が見られました。

多くのお客さんで賑わうブース

この2日間、ブースを訪れてくれた方々からの反応や売り上げもよく、参加したメンバーからは毎日でもやりたいとの声や、次回はOVOPアンテナショップのチラシや、営業用の名刺も準備したいとの案が出てくるなど、学びの多い2日間となりました。


【マラウイバオバブ事業】Malawi International Trade Fair

今回は8月に実施されたInternational Trade Fairについてご紹介します。今年で31回目となる同フェアですが、昨年に引き続き、今年もSPJはブースを出展しました。期間は8月6日から15日までの10日間で海外から招かれた団体や、マラウイ国内の民間企業、現地NGOや国際NGOなど約190の団体がブースを出展しました。会場は室内と野外に分かれており、SPJ弊団体は野外ブースにて出展しました。

会場へのメインゲート
室内会場の様子
SPJのプロジェクトブース(外観)

今回、フェアに参加する目的は、組合商品の広報と販売促進、及び新たなビジネス取引の創出です。ブース内では、商品の展示販売を行い、ブースを訪れる人たちにバオバブ商品をはじめ、モリンガやハイビスカス、はちみつなどを紹介していきました。今回のフェア用に各商品の広報ツールや、サンプル配布用のバオバブパウダーを用意し、当ブースに足を運んでもらえるように工夫しました。

テーブルの上にディスプレイされるバオバブ商品

また、今回のフェア参加におけるもう一つのテーマとして、支援組合メンバーの商品セールストークの研鑽がありました。実際のフェア会場において、自分たちの商品について的確に説明し、他の類似商品と何が違うのか、何が特徴なのかを説明できる様になることは、とても重要です。

当プロジェクトでは2年次から、マラウイ国内におけるバオバブ商品の市場開拓の活動を進めていますが、2年次に実施した400件の店舗プロモーション実習の成果もあり、ブース訪問者からの質問にも、きちんと答えられるようになってきました。実際の成果例を以下にご紹介します。

ブース来場者:バオバブ石鹸は何にいいの?

ブーススタッフ:この石鹸はオリーブオイルの約12倍のビタミンEとカロテン、そして保湿効果のある脂肪酸を多く含むバオバブオイル100%で作られています。ビタミンEとカロテンは保湿効果のある脂肪酸も多く含んでいるので、お肌をしっとりと健康な状態に保つことが期待できます。

ブース来場者:バオバブオイルとモリンガオイルの違いは?

ブーススタッフ:どちらもビタミンや複数の脂肪酸など様々な栄養素を含んだオイルですが、一番の違いはオイルの質感です。バオバブオイルは塗った後、肌内に浸透していきますが、モリンガオイルはバオバブオイルよりも少し粘着性が強く、塗った後に肌上に残る感じです。メイク前の下地に使うならバオバブオイル、マッサージなどを目的に使う場合にはモリンガの方が使いやすいかもしれません。

1年半前には、バオバブオイルについて、皮膚がんが治る、アトピーが消えるなど、根拠のない過大宣伝をしがちな状況でしたが、今ではビタミンの豊富さや保湿力が高い理由をきちんとデータや証拠と共に説明できるようになり、確実な成長を確認することができました。

バオバブ石鹸の特徴について説明するメンバー
来場者をきちんと確認して、バオバブオイルのコアターゲットである、おしゃれや美容に敏感な
若者女性にバオバブオイルを勧めています。
多くの人が当ブースに足を止めてくれました。

今回、マラウイ大統領選挙後のデモの影響により、昨年と比べてフェアへの来場者数が少なかったという課題はありましたが、ブース訪問者1人1人にきちんと声をかけて、丁寧に商品広報をするメンバーの姿が確認できました。自分たちのビジネスに対してプライドを持って対応できるようになってきたことを大変嬉しく思いました。


マラウイサイクロン被災支援(第二期目)が始まりました!

SPJでは8月9日から11月8日まで「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施中です。

こんにちは。現地駐在員の濱田と飯田です。

前回事業の「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への緊急物資配布事業」(5月17日から7月22日まで実施)に引き続き、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の下、「マラウイ共和国ゾンバ県における洪水被災者への食糧・リカバリー物資配布事業」を実施しています。

今回の事業では、マラウイ南部を襲ったサイクロンで被災度が大きくまだ十分に支援が行き届いていないゾンバ県内のT/A (地区)MwamboとT/A Nkapitaの2地区を対象に洪水被災者に食料・支援物資を配布します。具体的にはT/A Mwambo の550世帯に対してターポリン(サイクロンで半倒壊した家屋の補修材)と毛布を配布すると共に、T/A Nkapita の1,000世帯(配布世帯数を増やす方向で検討中)に対しては、メイズ及び米、豆(約1カ月分)を配布します。

 もう既にT/A MwamboとT/A Nkapitaの関係者への事業概要説明(8月27日から9月2日まで実施)が終わり、9月4日から9月12日にかけてT/A MwamboとT/A Nkapitaの各GVH(群)で裨益者選定会議を開催しました。裨益者選定会議では、各GVHの村長と住民を集めた全体会議を開催し事業概要を説明した後に、村ごとに分かれて村会議を開催してもらい、食糧・支援物資の配布対象となる候補者リストを村ごとに作成してもらいました。各村から回収しました候補者リストを基に、こちらで候補者の中から裨益者を選定します。

T/A Nkapitaでの事業概要説明会の様子。

また、T/A MwamboとT/A Nkapitaはサイクロンで大きな被害を受けたため、国際機関のWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossなどから既に食糧・支援物資が配布されています。そこで、現在、各村から回収しました候補者リストの中にWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossから食糧・支援物資が配布された裨益者が含まれていないかどうか確認しているところです(既に食料・支援物資が配布された裨益者については、今回の事業の裨益者から除外)。

T/A Nkapitaでの事業概要説明会の様子

現在、T/A MwamboとT/A Nkapitaの洪水被災者への食糧・支援物資の配布に向けて裨益者リストを急ピッチで作成しています。しかし、マラウイ人の名前は私たち日本人には馴染みのないものが多く、例えば名前の最初のスペルがNやMで始まったり(Nhkomaなど)、人によって名前の表記が違ったりして、裨益者リストを作るのに苦労しています。特に、各村から回収しました候補者リストの中からWorld Food ProgrammeやMalawi Red Crossからこれまでに食糧・支援物資が配布された裨益者を除外する作業と、実際に裨益者を一人ずつ裨益者リストに記入する作業に時間がかかっていますが、活動スケジュールに沿って期限までに裨益者リストを仕上げる予定です。

T/A Mwamboでの裨益者選定会議(全体会議)の様子。
T/A Mwamboでの裨益者選定会議(村会議)の様子。

 今回は2期目の事業ということもあり、仕事の傍ら、これまでにマラウイで見聞きしている不思議な事や疑問点を、事業が終わるまでに自分なりに解決できるように努めています。一例を挙げると、ゾンバ県で裨益者選定会議を開催した時に、貧しい村では有り得ないほど立派なイスラム教のモスク(礼拝所)が建設されていました。そのモスクを詳しく調べてみたところ、中東のカタールからの援助によってモスクが建設されたことが分かりました。マラウイではキリスト教の信者数が最も多いようですが、イスラム教などの他宗教も見受けられます。イスラム圏の中東諸国の潤沢なオイルマネーがイスラム教を維持・拡大するために、このような形で途上国に入流していることに驚きます。

裨益者選定会議への参加者の一人。 マラウイではハンドルの近くにペダルが付いている自転車に
乗る人もいる。腕力に自信があれば乗りこなせる。
]裨益者選定会議の会場近くで牛飼いと遭遇。 マラウイの物価は安く、農家の話によると、
牛1頭約1万円で購入できるそうだ。

今後も裨益者の選定作業を進める共に、支援物資の一つであるターポリンの活用方法について知らせるため、ターポリンを配布する550世帯を対象としたワークショップを開催します。食料・支援物資の裨益者への配布に向けて一層の努力をしようと思います。


【フラッグシップ店舗の獲得】

今月は、7月に実施したフラッグシップ店舗獲得に向けたプロモーション活動についてご紹介します。

まず初めに、フラッグシップ店舗とは、アパレル関係の企業を思い浮かべてもらうと分かりやすいと思いますが、全国に支店を持つ企業が、自社の商品コンセプトなどを消費者に浸透させるために特に力を入れてプロモーションなどを行う店舗のことで、UNIQLOを例に挙げると、都市部の駅前にある大規模な店舗などがフラッグシップ店舗と言えるかと思います。ショッピングモールや町中にある通常の店舗に比べて、フロアが広く、商品の取り揃え具合もダントツといった具合ですね。

当プロジェクトの場合は、自分たち独自の支店を持っているというわけではないですが、マラウイ国内において、バオバブ商品のコア・ターゲット層(外国人や中高所得者マラウイ人)が集まるカフェや美容室、マッサージスパなどにアプローチして、商品を店舗内での営業用に使用してもらい、バオバブ商品の存在をもっと国内に広めていくことができるお店のことを「フラッグシップ店舗」と呼んでいます。

最も分かりやすい例としてカフェを取り上げますが、バオバブパウダーを使ったオリジナルドリンク(スムージーやシェイクなど)を店舗側と協力して開発し、店舗のメニューに載せて販売してもらいます。もちろん、その際に使うパウダーは支援団体が販売しているものを使います。SPJはレシピの提案の他に、ポスター、メニュースタンドの作成など広報支援を行い、カフェに来る人にバオバブの存在を知ってもらい、積極的に試してもらえる様にサポートします。さらに、同店舗においてバオバブパウダーを購入できる様に置いてもらうなどが、SPJが提案するフラッグシップのコンセプトです。

実は、この活動は6月から取り組んでいるのですが、2ヶ月間かけてようやく形になりました。最初は、首都リロングウェと国内最大商業都市のブランタイヤにおいて、フラッグシップ店舗になりうる様な場所をそれぞれ10か所程度選定し、コンセプトを紹介してパートナーシップを組めるように提案しました。その中から興味を示してくれた店舗に絞って、さらに協議を進め、レシピの開発や広報ツールの作成などを進めてきました。

リロングウェ市内のカフェにおいて、フラッグシップ店舗のコンセプトを説明(営業)する
Maluso UnionのメンバーとSPJスタッフ
新メニューの試作を行う関係者たち(店舗マネージャー、SPJスタッフ、
Home Oils Cooperativeのメンバー)

結果として、7月末までの時点で、リロングウェにおいて2店舗、ブランタイヤにおいて3店舗のお店と、フラッグシップ店舗としてのパートナーシップを獲得することに成功しました。

それでは、1つずつ紹介していきましょう!

【リロングウェ】

①カフェ(Café RaS)

スーパーマーケットや個人商店が集まる、リロングウェ市内の中心地(Area3)にある韓国人経営のカフェ。外国人が集まるオシャレな場所です。このお店は現地NGOと提携してマラウイの製造組合の作った商品(チテンジ:アフリカ布を使ったバックや小物など)も展示販売しています。

今回、カフェのメニューに新たにバオバブを使ったオリジナルメニュー(バオバブハチミツシェイクとバオバブバナナシェイク)を加えてもらえることになりました。また、同店舗内において、バオバブオイルとパウダー、さらにはハチミツやハイビスカスティーなどMaluso Unionが取り扱う商品を展示販売してもらうことになりました。

今回、新たにメニューに加わったオリジナルのバオバブドリング
店内で販売される、バオバブほか、OVOP(一村一品)の商品

②カフェ(Warm Heart Coffee House Café)

外国人やマラウイ人の富裕層が多く住む、リロングウェ市内の住宅地(Area10)の中にあるカフェです。お庭が広くて、とても気持ちの良いお店です。こちらのお店はカフェとギフトショップが併設されています。

今回、こちらのお店でも、新たにバオバブドリンクを開発してもらい(何と3種類も)、販売を開始してもらいました。また、併設されているギフトショップにてバオバブオイルとパウダーの販売も開始しました。

SPJが作成した、商品ポスター
併設するギフトショップ

【ブランタイヤ】

③理髪店(Executive Barber Shop)

ブランタイヤの市内にある、主に男性に人気の理髪店。マラウイ人の男性は坊主頭にする人が多く、月に2回ぐらいは散髪しているため、いつも多くの人で賑わっています。店の外には順番待ちする人の姿も見えます。

今回、こちらの店舗では、髭剃り後のアフターローションとして、バオバブオイルを店内で使ってもらうことになりました。また、店舗内でもバオバブオイルの販売を開始し、早速、徐々に売れ行きが伸びてきています。

店内に掲示されているSPJ作成のポスター

④美容室(Africana Beauty Parlour)

ブランタイヤ市内のサロンが集中している地区の一画にあるサロン。ヘアカットや髪の編み込み、トリートメント、マッサージなどもやっています。

そして、このお店が特別なのは、美容師になりたい、自分のお見せを持ちたいという人向けに講習会を実施しているのです。ここのオーナーがバオバブオイルをとても気に入って下さり、営業用や店舗内での販売用にバオバブオイルを取り扱ってくれるようになったのですが、さらに、講習会に参加する生徒にも奨めてくれています。実際に卒業生が在宅ビジネスとしてマッサージサロンを開業し、バオバブオイルを使ってくれているなどの成果が表れているいます。

髪の編み込みを練習する生徒たち

⑤カフェ(Kwaharaba)

ブランタイヤ市内にある、外国人に人気のおしゃれなアートカフェです。店内にはアーティストが作成した絵画やクラフトなどが並んでいます。

今回、こちらのお店でもオリジナルのドリンクメニューを開発してもらい、バオバブとビーツなどを使った、健康にも良いおしゃれなスムージーが販売されました。

SPJが作成した新商品の店内ポスター

オリジナル感たっぷりで、ドリンクの名前も「家の中の巨人:Giant in the House」と巨大な木であるバオバブらしさが出ています。また、同店舗内にてバオバブオイルの販売も開始されました。

以上、現時点で獲得したフラッグシップ店舗を紹介させて頂きました。もちろん、この活動はまだまだ続行中ですので、新たなパートナーシップ獲得に向けて頑張って行きたいと思います。