ウガンダ出張報告(鈴木理事長)

01MPJユースのメンバー12名とボランティアカメラマンがウガンダのルヒーラ村にて2014年3月1日から3日まで2泊、家庭滞在いたしました。私も3月2日の夜、MPJが支援している女児Estherさん(この春、高校卒業)の自宅に、ユースメンバーと一緒に宿泊させていただきました。
Estherさんのご両親は18年前に、部族の紛争によりタンザニアから難民としてウガンダへ逃げてこられたそうです。貧しい人ほど平地から離れた不便で岩の多い場所に住むそうで、彼女の家も富士登山の頂上付近を思い出される険しい坂でした。写真の家に親族の男の子を交えて9名で住んでいます。
家の裏には台所と体を洗う小屋、山羊小屋(6匹)、家の前の斜面にはトイレがあります。もちろん電気はなく、夜になるとケロシンを使ったランタンと懐中電灯を使わなければなりません。外の台所は煉瓦の上に鍋を乗せて薪に火をつけます。日本からは寝袋を用意して出かけましたが、良いベッドを準備してくださって歓迎してくださいました。ただし、そのあとでダニに20か所噛まれていることに気づきました!歓待していただいて、とても有意義で楽しい思い出です。
Estherさん、ご家族の皆さま、ありがとうございました!

【家の裏側にある独立した台所で夕食の準備をしてくださるEstherさんの母親】
【家の裏側にある独立した台所で夕食の準備をしてくださるEstherさんの母親】
【Esther さん、お母さん、MPJユース】
【Esther さん、お母さん、MPJユース】

【斜面に建つトイレ小屋】
【斜面に建つトイレ小屋】
「朝焼け:崖のふちに立つEstherさんの家】
「朝焼け:崖のふちに立つEstherさんの家】

同行したMPJユースも随時レポートを掲載しております。そちらも合わせてご覧ください。
https://www.facebook.com/MPJYouth


ウガンダ出張レポート

MPJが行う女児中等教育支援事業でスタッフの登がウガンダに出張しましたので、それをまとめたレポートをご紹介します。

ウガンダ出張レポート
1. f # factory様 新規支援女児の選考インタビュー
 昨秋、女性グループの「f # factory」様より女児支援のためのご寄付をいただきました。グループでひとりの女児を中学にあがるところから支援してくださることになり、対象の女児を新たに選考するため、グループ代表の北澤様ほか支援者の方々と候補女児とのSkypeインタビューを現地にてサポートしました。候補者はビレッジ内の小学校4校から1名ずつ推薦してもらい、インタビュー前に各家庭を訪問して家庭状況の事前調査を行いました。
 候補女児の生活環境はそれぞれ厳しく、小学校まで1時間かけて通ったという女児の家は、急な坂道を登った丘の上のさらに外れにあるため、水場へ行くのも一苦労です。父親のいない女児の家では、私がインタビューをしている間に現地スタッフが別の部屋をのぞいたところ、マットレスもなく地面むき出しの床に寝ているようでした。進学意欲を確認しようと聞いた「もし中学校に入ったら何にチャレンジしたい?」という質問に「お金がないから」と、うつむく女児の姿には心が痛みました。
 このような環境で育った女児たちにとって、今回のインタビューは選ばれたこと自体が誇りで、とてもエキサイティングな体験だったようです。MVオフィスでのインタビューのために初めて出た街(Mbarara)で2階層以上の建物やたくさんの車を見たり、ホテルのテレビも水洗トイレを使うのも初めてです。MPJが寄贈したRyamiyonga小学校にはPCがありますが、彼女たちがPCに触るのは今回が初めてだったため、インタビュー後はインターネット体験をしました。

【PC操作にチャレンジする女児たち】
【PC操作にチャレンジする女児たち】

2.元MPJプロボノグループへの使途報告
 元MPJプロボノグループの皆様からも昨年度末に女児支援のためのご寄附をいただきました。こちらは2013年度分の奨学金(ウガンダでは2014年2月から始まる年度分)の、高校進学支援分として活用させていただくことにしました。そこで、今年、高校へ進学する女児3名に、MPJ元プロボノグループのがスポンサーになることを伝え、スポンサーに向けたメッセージ(写真・ビデオ)を寄せてもらいました。
 訪問時期が新学期が始まる前の休暇中だったため、女児の自宅を訪問してどのような中学校生活を送ったか等の話を聞きました。先述の小学校を卒業したばかりの女児たちと比べ、中学校4年間を修了した彼女たちは、受け答えがとてもしっかりしていました。3名のうちのひとり、メアリー・グロリアの優秀さは現地スタッフが太鼓判をおすほどですが、彼女も4年前の支援開始時には、公用語の英語があまり上手ではなかったそうで、4年間での成長が感じられました。

【メアリー・グロリア】
【メアリー・グロリア】

 また、この3名だけでなく他の支援中の女児たちも、支援を受けて将来に希望が持てた、支援を当然のこととは思わず大変感謝している、働いてお金を稼ぐようになったら自分と同じような貧しい子をサポートしたいなどと語ってくれて、この支援事業がよい成果をあげていると感じました。他の支援女児も含め、彼女たちが数年後にどのように巣立っていくのかとても楽しみです。

おわりに
 ルヒーラ村の様子は、訪問前にも現地の様子について理事長からお話を伺ったり写真で見たりしていましたが、今回、実際に訪問させていただき、山間にあるルヒーラ村では隣の集落へのアクセスも容易ではない立地条件や、家庭訪問を機会に住環境を実際に見ることができ、人々の生活の厳しさを改めて感じました。このような機会を与えていただき、感謝いたします。見てきたことをどのように支援者や社会に伝えるべきか、また現地との交流等、今後の活動企画に活かしてまいりたいと思います。

【支援フィールドからMbararaへの道】
【支援フィールドからMbararaへの道】


ケニア大使による第22回東大GLS講座スピーチのご紹介です。

昨年12月4日に行われた第22回GLS講座 国際協力機構(JICA)理事長 田中明彦氏講演会にてケニア大使が行ったスピーチをご紹介いたします。(ケニア大使館HPより)

AMBASSADOR CALLS FOR MORE JAPANESE PRIVATE SECTOR INVOLVMENT IN AFRICA’S DEVELOPMENT ENDEAVOURS(ケニア大使館HPより)
まず初めに、東京大学法学部のGlobal Leadership Studies (GLS)連続公開セミナー第22回目となる本日の講演にお招き頂いたMillenium Promise Japan (MPJ)に感謝の意を示したく思います。アフリカ外交団を代表して、この様な場で発表させて頂けることを非常に光栄に思います。
また、21世紀の世界システムと日本の国際協力に関する慧眼な講義をしてくださったJICA理事長の田中教授にも、感謝いたします。参加者の多くの方が、私と同様に感銘を受けたはずです。田中教授の、学術分野から国際協力、開発といった実務分野への素晴らしい転身は、間違いなく多くの若者の心や同じ道を目指す人々にとって刺激となっています。

JICAのアフリカ成長促進における役割は、本当に欠かせないものです。アフリカ諸国にとって、JICAは開発のための主要なパートナーとなってきました。各国の持続的成長の為に適切な協力を支援するプロジェクトを通じ、この機関はアフリカのオーナーシップ推進の最前線で活躍してきたのです。
こうした努力は、アフリカ主導の開発イニシアティブや国際協力を唱導するTICADプロセスにより補われています。活気あるアフリカを育てる目的の基、今年TICAD VはYokohama Action Plan(YAP)を導入しました。これは、経済成長の促進、あらゆる面における人間の安全保障、気候変動を含める環境問題への取り組みという3つのアフリカ開発の重要事項に焦点を当てています。

経済成長の促進という面では、議会は民間部門の経済成長・貿易・投資をアフリカ成長の原動力と特定しました。日本政府は、資金面や教育を通じてアフリカの民間投資へ更なる援助を提供することを公約として進めています。それに応じて昨年の8月、経済産業大臣は政府高官及び企業幹部からなる投資・貿易団を連れ、アフリカ、特にケニアやタンザニアといった地域にTCAD Vのフォローアップの為に訪れました。
そこでは改善された政治統治、外国の投資を促進させる経済革新、機能機関の発達、人材開発、そして地域統合の強化といった領域で、経済成長を加速させるというアフリカ諸国の公約がしっかりと守られています。将来アフリカが魅力的な投資機会を持つ世界の成長極になろうとしているという事は、不思議な事ではありません。私たちは、日本の多くの企業がこの投資機会をつかみ、ゲームチェンジャーの一員となることを願っています。
諸地域における重要な改革により、ケニアは東アフリカの中で好適な投資先となりました。ケニアはさらに、2030年までに国際競争力を持ち、豊かで生活水準の高い国になるという青写真を2030年の目標として掲げています。これにより、特にインフラ及びエネルギー開発、農業の産業化、観光業、製造業といった優先的な分野でいくつものベンチマークが設置されています。この発展は、世界中の投資家に無数の投資機会を与えます。これはケニアが、合計市場人口が4億人以上にのぼるEACやCOMESAの一員になったことにより、更に補完されています。

私はまたMillennium Village Project (MVP)のもと行われた、アフリカにおける地域開発プロジェクト支援といったMillennium Promise Japan (MPJ)の素晴らしい業績を評価したいと思います。貧困撲滅の促進、生活水準、教育水準、男女平等の改善への仲介は、特定地域の低所得者コミュニティにおける持続的な経済成長を非常に促進しています。
2004年8月にケニアのサウリとデルツで始まったMillennium Villageイニシアティブは、その地域における食用及び近隣市場向けの作物生産量改善という観点で注目すべき実績を上げています。
MPJイニシアティブは、SHEPとしてよく知られる小規模園芸農民組織強化プロジェクトといったJICAのプロジェクトに似ています。このプロジェクトは、市場志向農業の取入れを目指し、農民組織に技術的支援をする為にケニアのリフトバレー地域で2006年に導入されました。このプロジェクトにより、各農場主の農作物による平均収入は2倍ほどになりました。国内における同様の開発を支援するため、5年間のフォローアッププログラムを通じてSHEPプロジェクトは今も強化されています。
このスピーチを終えるに当たり改めて強調したいことがあります。それは、アフリカは成長、近代化しており、アフリカは次の消費者市場であり、そしてアフリカの影響力が高まってきているということです。お互いの利益の為に、この大陸と友好関係を築くべき時はいまです。将来の日本の経済及び世界の前線における社会進出は、日本の民間セクターが競合に比べていかに早く準備できるかにかかっています。だからこそ日本の企業に、この状況下で適切な地位をとることを切に奨励したいと私たちは思っています。
それではみなさん、グラスをお持ちください。日本とアフリカ、他の発展途上世界間の輝かしい前途とより強い絆に、乾杯。

【左から、ミレニアム・プロミス・ジャパン会長北岡伸一氏。 国際協力機構(JICA)理事長田中明彦氏。 駐日ケニア共和国特命全権大使 ベンソン・オグトゥ氏。 ミレニアム・プロミス・ジャパン理事長の鈴木りえこ氏。
【左から、ミレニアム・プロミス・ジャパン会長北岡伸一氏。
国際協力機構(JICA)理事長田中明彦氏。
駐日ケニア共和国特命全権大使 ベンソン・オグトゥ氏。
ミレニアム・プロミス・ジャパン理事長の鈴木りえこ氏。

【翻訳ボランティア】伊藤 啓二
【URL】http://kenyarep-jp.com/news/13/131206_e.htmlの下部Click for H.E. the Ambassador’s speech…..内原稿より。


ガーナだより 9 ボンサソから~

 アフリカのガーナ滞在中の伊藤よりの最新のレポートをお届けします。また、約3か月間のプロジェクトも終わりに近づき、まとめを兼ねた今回のレポートが最終報告になります。
○多様な開発モデルを提供するミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)
ガーナ北部のサバンナ地帯のSADA-MVPを後にし、再び中部のボンサソに戻ってくると、あれほど暑いと感じていたボンサソの熱帯気候もサバンナ気候と比べれば、不思議と多少は我慢できるように思いました。同じ国土のなかでさえ、それほど気候が異なります。そして、育つ作物も異なれば、土地の生産性も異なります。

【サバンナ地帯にあるSADA-MVP】
【サバンナ地帯にあるSADA-MVP】
【熱帯林に囲まれたボンサソのMV】
【熱帯林に囲まれたボンサソのMV】

今回ガーナに来る前に訪れたセネガルのポトゥは大西洋に面した土地でした。そこでは、農業だけでなく漁業も営まれています。土地の条件に従って、人々の暮らしも異なります。ですからMVPは、広大なアフリカ大陸のさまざまなパターンに応じて多様な開発モデルを提供しているのです。

【ポトゥのMVにある漁村】
【ポトゥのMVにある漁村】

○真の自立へ向けて
MVPは裨益者たる政府やコミュニティーにモデルを提供すると同時に、その活動自体が政府やコミュニティーに引き継がれ自律的に運営されていくプロジェクトです。その意味で、単なる支援以上に、多分に「自治」に信頼しているプロジェクトです。そのことはこの3か月、3か所のMVPの現場に滞在して実感したことでもあります。
57年前の1957年3月6日、ガーナはサハラ以南アフリカではじめて独立を果たしました。そして「アフリカの年」と呼ばれた1960年には多くのアフリカ諸国の独立が続き、セネガルも4月4日に独立を果たしました。そして60年代から70年代を通して政治的独立が相次ぎました。

【ガーナの首都アクラにある独立記念門】
【ガーナの首都アクラにある独立記念門】

半世紀前この大陸で政治的な自立が相次いで連鎖的に生じたように、今世紀は経済社会的な自立を起こせないものでしょうか。MVPがその道筋を示すモデルとなってくれることを期待しています。

以上伊藤からのレポートでした。また、フジサンケイビジネスアイにてシリーズ「サラリーマンからアフリカ支援へ」というコラムを連載中です。ご関心が有る方はコチラも是非ご覧になってください。URL:http://www.innovations-i.com/global/column/id/8.html


ガーナだより 8 ボンサソから~

○スケールアップ ーー 地方政府による取組みの拡大
前回までのレポートで、ガーナ・ボンサソでの保健セクターの取組みいくつかをご紹介してきました。これらは、地方政府や健康保険組合との協力のもと進められています。ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)で効果が実証されれば、県内にそして他県へと取組みを広げていきます。アフリカにある80か所のミレニアム・ビレッジをモデルとし、自律的取組みが広がっていくことが期待されます。

○スタートアップ ーー ガーナ政府による北部サバンナ地帯開発との協調取組み開始
ガーナではさらに大統領がボンサソの取組みに注目しました。そして2012年、ガーナ政府が国土のサバンナ地帯開発を促進するために設置したSADA(Savannah Accelerated Development Authority)と協調し、SADA-MVPがスタートしました。
ボンサソから北にバスを乗り継いで9時間くらい。隣国ブルキナファソとの国境まで40キロほどに迫る人口2万7千人のクラスターで、ボンサソの熱帯雨林とは異なり、低木が点々と生えるサバンナ地帯です。
SADA所管の5県にまたがるサバンナ地帯のなかでもとくに開発の遅れているこのクラスターで、SADA-MVPは今、インフラ、保健医療、教育、農業分野での整備を進めています。

【改装された診療所】
【改装された診療所】
【増築された小学校の校舎】
【増築された小学校の校舎】

○サステナビリティー ーー 人づくり、組織づくり
たとえば、病院は建物を建てるだけでは続いていきません。そこで働くスタッフが必要です。この人材確保についても、のちのちの継続性を見据え、地域の中央病院と相談しながら確保していきます。

【中央病院との打ち合わせ】
【中央病院との打ち合わせ】

また、2年経たいまでも大切に続けられているのが、コミュニティーを巻き込んでのさまざまなミーティング。コミュニティーの隅々までこのプロジェクトの意義や取り組み内容を伝え、またコミュニティー自身の役割分担や主体性を引き出していくのは大変なことです。だからこそ、何度でも足を運びミーティングが催されます。そして、自律的な活動の受け皿となるコミュニティー開発こそが、活動の継続につながっていくのです。

【村の200人以上が集まった集会】
【村の200人以上が集まった集会】
【農業組合の会合】
【農業組合の会合】