NGO海外スタディプログラム 現地からのレポート

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ウガンダの現地NGO団体・TPO Uganda(TPO)へ研修生として派遣されているMPJスタッフの礒部です。ウガンダへ来て早くも一ヶ月が経ちました。

 

今回はTPOの紹介と、この1ヶ月で視察したTPOの事業について少しご紹介したいと思います。

 

TPOは1994年よりウガンダにて心理社会的支援を中心に活動してきた現地NGO団体です。現在は約180名のスタッフが従事し、年間総事業費も約2億円を超えるとても大きな団体です。活動拠点はウガンダ全域25地区に存在し(2017年9月時点)、子どもの保護、女性と子どもの心理社会的支援、SGBVの予防・教育、HIV/AIDS、生計支援、女性のエンパワメント等、多岐にわたる事業を展開しています。

 

TPOが行う心理社会支援では、認知行動療法(CBT)と呼ばれる心理療法を主軸としています。CBTとは鬱やトラウマに効果のあるセラピーで、悪夢を見たときの対処法やトラウマ克服、運動セラピー等が行われます。CBTは日本でも良く取り扱われる心理療法の一つですが、TPOでは難民支援という特別な状況において、通常のCBTでは機能しないこともあるため、難民向けに独自に改良したCBTを行っています。例えば通常のCBTでは悪夢を見た際はどんな夢だったか具体的にメモを取りますが、難民の大半は字が書けないのでメモを取る代わりに石を用意し、石の大きさで悪夢の怖さを表現するようにしています。

 

冒頭の写真は9月20日にTPOの社会福祉士(ジャミラさん、写真左)に同行し、CBTセッションを視察した際の写真です。TPOのCBTセッションは1グループ12名のメンバーで行われ、週1回、合計10回のセッションで構成されています。この日のセッションは9回目のセッションで、夫や家族との関係・近所との付き合いを円満にするためにはどうしたら良いのか、グループで話し合いがなされていました。CBTセッションに参加している女性に話を聞いたところ、CBTのおかげで夜眠れるようになった、心の病に負けないよう心を強く持てるようになった、夫に対する態度を自分が改めことで、夫との関係が改善された、など数多くの成果が見受けられました。

 

TPOはCBTセッションのほかにも、性やジェンダーに基づく暴力(SGBV)予防のためのワークショップ開催や、重症患者に対する専門病院への紹介、女性のエンパワメント等も支援しています。

 

9月22日、ホストコミュニティに向けたSGBVに関する講習会の様子
9月22日、ホストコミュニティに向けたSGBVに関する講習会の様子

 

TPOには臨床心理士や精神医学者といった専門家が従事しており、30万人近い難民を抱えるビディビディ居住区でも、アドバンス心理社会支援を実施する唯一の団体として活動しています。MPJも来年より、南スーダン難民居住区にて心理社会支援を実施するため、今後もTPOにて心理社会支援のノウハウを学んで参ります!


(マラウイ農民グループ支援事業)支援対象グループのメンバーをご紹介!

 

一緒に暮らしている孫(両端)とキャサリンさん
一緒に暮らしている孫(両端)とキャサリンさん

 

今回は、マラウイでの支援対象グループのメンバーについて少し紹介したいと思います。

 

第一回目のグループメンバー紹介となる今回は、支援対象グループの一つ、Wokha Producers and Marketing Cooperative SocietyのメンバーであるCatherin Kazembe(キャサリン・カゼンベ)さんをご紹介します。

キャサリンさん
キャサリンさん

 

現在49歳のキャサリンさんは夫を10年前にHIVで亡くし、それまで仕事をせず経済的に夫に頼りきっていた彼女はとても苦労をしました。キャサリンさんにはすでに結婚し自立した3人の娘たちがいました。しかし、以前から病気を患い未亡人でもあった娘の一人が亡くなり、キャサリンさんはその子ども2人を引き取ることになりました。その子どもたちが寂しくないようにと、さらに2人の娘の子どもの中から1人ずつを引き取り、今では4人の孫と共に暮らしています。

自宅の様子
自宅の様子

 

 

 

彼女が住んでいるモンキーベイという地域は特に未亡人が多く、現在も50人以上の未亡人がいるそうです。モンキーベイにはマラウイ湖があり、マラウイの中でも娼婦が多く集まる場所です。(レイク沿いには漁師やレイクビジネスを行なっている男性、また旅行者などが多く、その男性たちをターゲットとして娼婦が多くいると言われています。)そのため男性のHIV感染者が多く、その事実を認めずに薬を拒否した男性は亡くなり、同様にその夫からHIVに感染しても薬を飲み続けた女性が生き残っているそうです。   image6 image5image4

 

 

 

 

 

 

 

2006年にモンキーベイ地区に住む35人の未亡人が集まり、知識や技術を共有し、自分たちの抱える問題を一緒に解決できるようにとこのグループを立ち上げました。現在は主にナツメジャムやナツメワインの製造販売を行なっていますが、グループ創設当初はメンバーの子どもがプライマリースクール(小学1年~中学2年)を卒業しセカンダリースクール(中学3年~高校3年)に合格すると、セカンダリースクールへ通うための資金をみんなで少しずつ出し合うこともあったそうです。

グループのメンバーとMPJスタッフの青木(左下)、天野(右)
グループのメンバーとMPJスタッフの青木(左下)、天野(右)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グループを立ち上げてから、ジャムやワインの作り方、また多くのビジネススキルを学ぶことができました。今ではグループから得た知識を活用し、マラウイ湖で採った魚を売るビジネスや家の賃貸のビジネスもしながら生計を立てており、以前よりも生活は安定することができました。自分の時間を楽しむ余裕もでき、教会の聖歌隊で大好きな歌を歌っている時間がとても好きだと話してくれました。

 

MPJのトレーニングも毎回熱心にノートを取ったりと、いつも積極的に参加してくれているキャサリンさん。今後も様々な知識を身につけて、自立し、賃貸用の大きな家を建てて毎月定期的な収入を得られるようになりたいそうです。キャサリンさんの夢がかなうように、現地の青木、天野をはじめMPJスタッフ一同、心から応援しています。

グループワークの様子(中央がキャサリンさん)
グループワークの様子(中央がキャサリンさん)
キャサリンさんが発表している様子
キャサリンさんが発表している様子

(マラウイ農民グループ支援事業)ビジネストレーニングの様子をご報告!

MPJマラウイ事務所では先月より本格的に農民グループへのビジネストレーニングを始動しております。

赴任当初より垣間見ていた農民グループの経営状態は、各グループそれぞれに製造している商品の単価の計算や売上の記録などは残しているものの、会計帳簿の間違えや記入漏れがあることで帳簿がきちんと機能しておらず、また一部のメンバーのみが理解しているというのが現状でした。

 

そこで私たちは農民グループのメンバー1人ひとりが経営知識を習得できるよう、全メンバーを対象にビジネスノウハウ(ビジネスプランの作成、会計帳簿の記帳方法など)のトレーニングから始めることにしました。トレーニングは対象グループである全6グループに対し、2~3週間に一度、約3時間のトレーニングを行なっています。

 

農民グループのメンバーの中には英語が得意ではない人もいるため、トレーニングは現地語であるチェワ語で行ない、資料なども全てチェワ語で作成しています。トレーニングでは講義だけでなくグループワークも出来るだけ盛り込み、メンバー一人一人に積極的に参加してもらえるよう工夫しています。

少人数グループに分かれて実際に会計帳簿の作成をしてもらうグループワークも盛り込みました。

 

 

ビジネストレーニングの流れは、

①    ビジネスプランについての説明

②    少人数グループに分かれてのグループワーク

③    各グループの発表、意見交換

という手順で実施しています。

 

 

下記の写真は、6月度に開催したMadisiグループ(ドーワ県)、Zokomaグループ(マンゴチ県)、Wokhaグループ(マンゴチ県)でのトレーニングの様子です。

 

【6月1日、ドーワ県Madisiグループにて】

外でのグループワークの様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【6月7日、マンゴチ県Zokomaグループにて】

現地スタッフのMathiasがビジネスプランについて説明
現地スタッフのMathiasがビジネスプランについて説明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グループワークの様子
グループワークの様子

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【6月16日、マンゴチ県Wokhaグループにて】

 

説明を聞き、メモを取っている様子
説明を聞き、メモを取っている様子
グループワークの最後に成果を発表している様子
グループワークの最後に成果を発表している様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右からChisanboさん、Mkandawireさん、Kazembeさん、Usenさん、Zuluさん
右からChisanboさん、Mkandawireさん、Kazembeさん、Usenさん、Zuluさん

 

 

ビジネスノウハウについて初めて学ぶメンバーもいますが、真剣に説明を聞きノートを取ったりするなど、とても興味深そうに参加をしていました。嬉しいことに、このトレーニングがメンバー間の口コミで広がり、参加者も徐々に増えてきています。

 

今後も引き続きビジネストレーニング(原価計算など)を行ない、その後は商品パッキングのトレーニングを行なっていく予定です。

 

 

 


マラウイでの農民グループ自立支援事業が始動しました!

2017年2月17日より、マラウイでのバオバブ製品の製造販売を通した、農民グループの自立支援プロジェクトがスタートしました。

このプロジェクトは、国際協力機構(JICA)が支援してきた一村一品(OVOP)運動をさらに強化することで、農民グループの組織運営能力を高め、継続的に安定した収入を確保することを目的としています。

(※OVOP運動とは、地域の小規模な生産者グループが、地元の特産品を一品育てることにより、地域の活性化を図るプロジェクトです。)

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(工場内のバオバブオイル搾油機)

 

MPJとしては特に、バオバブ関連製品の製造販売の支援を通して、ビジネスのノウハウやマーケティング知識を提供し、農民グループの自立支援を行います。

 

具体的にはビジネスプランの作成、農民グループへのビジネス研修、バオバブ製品生産施設の増強、製品の品質改善、販路拡大等を実施し、最終的には、農民グループが体系的なビジネスのノウハウを身に着け、自ら市場を意識した新たな商品の製造販売等を行うことができる力を身に着けることを目的としています。

 

(工場の外での農民グループミーティングの様子)
(工場の外での農民グループミーティングの様子)

 

これから3年間の支援期間を予定していますが、早速今週から現地駐在員がマラウイへ渡航し、まずは事務所の設立から始めるという状況です!

 

今後、現地からの事業報告も随時掲載していきますので、引き続き、皆さまのご支援を宜しくお願いいたします。


ケニア・サウリ村(ミレニアム・ビレッジ)にて地方電化パイロット事業を開始しました!

 国際協力機構(JICA)からの委託を受けた「デジタル・グリッドを活用した地方電化及び新産業創出事業準備調査(BOPビジネス連携促進)」(※)の一環として、この3月から、ケニアのミレニアム・ビレッジ-サウリ村でも日本発のデジタル・グリッド技術を活用した地方電化ビジネスのパイロット事業を開始しましたので、その導入の様子をご報告いたします。
(※デジタル・グリッド・ソリューションズ株式会社、東京大学、株式会社電通等との共同事業)

 サウリ村はニャンザ州の州都キスムから車で約1時間の距離にあるミレニアム・ビレッジです。前回2014年11月に訪問した際には、事前視察・聴取を行っており、そのときから着々とサウリにおけるパイロット事業の準備にとりかかっておりました。そして、3月にサウリ村を再訪し、パイロット事業に一緒に取り組んでくれる事業家の決定と機器設置を行ってまいりました。
 まず、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトDGS2DGS1
(MVP)サウリチームから推薦された10名の事業家候補たちに対し、デジタル・グリッド・ソリューションズ(DGS)スタッフからビジネススキームについて説明を実施しました。また、エンドユーザーとなるサウリの農民のみなさんの集会においても本サービスの説明を行いました。
 今回サウリにてパイロット事業一緒に取り組んDGS4でいく事業家はBernardさんに決定しました。太陽光パネルは、Bernardさんのアイデアで、急きょその場で木材を組んであつらえた枠にはめ込んで、屋根の上に敷設しました。持ち込まれた機器一式がみんなの力で次々と設置され、配線がつながっていきました。そして貸与された40個の電気ランタンが太陽光パネルとつながり、充電が進んでいきます。いよいよ事業の準備が整いました。
DGS5 DGSスタッフのSteveさんが、Bernardさんの子供たちに明るい光を放つランタン見せています。すると、電気の灯りとともに、子供たちの笑顔にも灯りがともりました。このランタンをつかえば、夜でも勉強することができます。
 記念すべき第一号のお客さんはBernardさんのお母さんでした。お客さんであると同時に、強力な広報担当でもあります。コミュニティーの人と人とのつながりを介して、このビジネスの裨益者が広がっていくことでしょう。

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 ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)は、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた手法を示すことを目的としており、2006年から2015年末を期限として現地政府やコミュニティへの引き継ぎを目指しています。その後、2016年夏には外部機関による報告書も作成される予定です。
 日本発のデジタル・グリッド技術を活用したこのビジネスが、コミュニティー自立支援のモデルのひとつとなることを願っています。


ウガンダで点滴灌漑事業を始めました!

【村人と最終打ち合わせ】

ヤマハ発動機とウガンダのYAMAHA販売店社長のご寄付に基づき、MPJが出資して、ウガンダのミレニアム・ビレッジ、ルヒーラ村において、点滴灌漑事業のテストケースを開始しました。MPJ技術顧問の江藤誠一氏が、ルヒーラ村のチームリーダーであるデービッド、農業担当のジョゼフなどと相談した結果、村の中で最もふさわしい常に流水のあるKanywamaize地域を選択しました。

 

【藪を切り開きました】

 

 

江藤氏の精力的な働きにより、2か月間でバナナプランテーションの間の藪を耕して、面積1600平方メートルを4つのロット、1.点滴灌漑&肥料有り、2.点滴灌漑有り&肥料無し、3.点滴灌漑無し&肥料有り、4.点滴灌漑&肥料無し(伝統的な村での耕作法)に区分け、4,000株のトマトの成長を見守ります。成功すれば乾季でもトマトが育ち、農民が換金できて生活が安定することが期待されています。盗難を予防するため、穴を掘ってホースを埋め込んだり、

【2トンタンクを支える土台を強化】

ヤマハ発動機を頑丈な柵の中に設置したり、2トンの水タンクが安定するように土台を強化したり、様々な工夫がなされました。農民は普段から集団で様々な活動を行っているグループが選ばれました。毎月労働時間、経費、収益等のデータをとって、仕事量に従い収穫後の収益から報酬を得ます。日本からは村に滞在中の江藤氏のほか、MPJ理事長・鈴木も参加して、実施グループと最後のワークショップを開催してまいりました。

【盗難に備えてポンプを入れる頑丈な柵をつくりました】

点滴灌漑の利点には、収穫高と品質の向上、水の有効利用、労働力の軽減、換金作物の生産による収入増加などがあります。サハラ砂漠以南のような水不足の地域では温暖化対策や干ばつに備える準備としても、ますます必要性が高まると思われます。セネガルのミレニアム・ビレッジ、ポツー村では農業組合がまとめて購入し希望する農夫たちにマイクロクレジットなどで譲り、たまねぎを生産して大好評です。

 

 

 


ビレッジの女性たちの作品が東京で販売!

 ウガンダのミレニアム・ビレッジ、ルヒーラ村では、女性たちが以前からカレ ンダーなどの紙を使って女性用ネックレスやブレスレットなどのアクセサリ  ーを作っていました。昨年春にはMPJインターンの湯川真美子さんが現地 でビジネスプランをたてるお手伝いをしたり、昨年夏からはJICAボランティ アの関口聖子さんが約一年間現地に滞在して熱心に村の女性たちの活  動をサポートしてくださいました。そして、コロンビア大学所属のデザイナー であるダイアナさんの直接指導により、一挙に洗練された作品がつくられる ようになりました。

皆様のご協力の結果、東京・青山にあるトップデザイナーのお店でも、ブレスレットが販売されています。 関口さんは6月下旬に帰国されますので、MPJ研究会にてお話をしていただきます。改めて皆様にご連絡いたします。